建てられる家は「用途地域」で決まる! 間取りに関わる法規②
前回のコラムでは、家が建てられる土地、建てられない土地があることをお伝えしました。今回はさらに、「市街化地域」=人が住むことを前提とした土地のエリア分けについて説明します。家づくりをするための土地を何も考えずに選んでしまうと、希望の間取りが取れない可能性もあるんですよ!
建てられるエリアは建物の目的ごとに決まっている
「用途地域」…家づくりを考えている人以外には、あまりなじみのない言葉だと思います。
これは、その名の通り、土地によって「使える用途」が決められているということです。
前回学んだ復習から。
ルールなく人が建物を建てて、自然や生活環境を壊さないよう「都市計画法」という法律がありましたね。
この都市計画法では、「計画的に建築物を建てていきますよ」という土地を定めていて、それが「都市計画区域」でした。そしてその中には、人が生活し、生業を営むことを前提とした「市街化地域」が設定されていました。
「用途地域」とは主にこの「市街化地域」について、さらに細かくエリア分けしていくものです。
例えば、子育てをし、老後を静かに過ごそうと思って建てた家のすぐ横に、夜中も営業するきらびやかな飲食店が立ち並んだらどうでしょうか。
そういうミスマッチがおきないように、ここは住環境を守るエリアですよ、とか、商業や工業を活性化するためのエリアですよ、などと区分けがされているのです。
「用途地域」は、下記の表の12種類が定められています。
家の目的に合ったエリアを選ぶのが大事
用途地域は、その目的ごとに3つに分けられます。
人が生活することを主眼とした「住居系」の地域、日常の買い物から娯楽まで、商業を主眼にした「商業系」の地域、いわゆる町工場といった軽工業から重工業まで営める「工業系」の地域です。
とくに「住居系」の地域は、マイホームを建てるための土地として、人気が高いエリアですが、一方で住環境を守るために「建ぺい率」や「容積率」などの各種規制が厳しいことでも知られています。
「お互いさま」で環境を守っているわけですね。
自営業を営んでいて、店舗兼自宅を建てたい場合などはこのエリアよりも「商業系」のエリアが適していることがあります。また、自宅兼集合住宅で大家さん業デビュー、なんてときも、高層建築可能エリアを選ぶ必要がありますね。
土地を検討する時には、自分の家が「住むためだけの家」なのか、それともそれ以外の目的も果たす家なのかも考えてください。
まとめ
「用途地域」は、自治体のwebサイトや都市計画担当部署への問い合わせで調べられます。気になる土地が出てきたら、まっさきに調べてみましょう。
今回見てきたように、「用途地域」を知るとそのエリアにどんな建物が建っていくのか予想できます。また、実は「用途地域」は家の広さや大きさ、間取りにダイレクトに影響する「建ぺい率」「容積率」設定の根拠ともなっています。
次回はこの「建ぺい率」「容積率」についてお話します!
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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