公開日:2018.11.03 / 最終更新日:2018.11.04
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建物の法律家:佐久間悠さんの著書「建物改修・活用のための建築法規」は必見
株式会社建築再構企画様は「建物の法律家」
友人の株式会社建築再構企画の代表である佐久間悠さんが、本を出版されましたので、早速読みました。
本のタイトルは「事例と図でわかる 建物改修・活用のための建築法規 適法化・用途変更・リノベーションの知識」(学芸出版社)です。
建築再構企画様は、新築及び内装デザインの設計監理の経験を活かし、「建物の法律家」として、違法建築、既存不適格の違法改修に高い専門性を持つ会社です。個人住宅から上場企業の保有施設まで、幅広いクライアントに対して、サービスを展開されています。
佐久間さんには、以前に弊社の「HOUSE BASEセミナー」に講師としてお招きして、講演をしていただいたこともあります。
事例と図でわかる 建物改修・活用のための建築法規 適法化・用途変更・リノベーションの知識
今回の本は、建築再構企画様による「リノベーション法律入門」です。シェアハウス、福祉施設、ホテルなどの建物オーナーあるいはテナントを借りる事業者にとっての必読のノウハウが、たっぷりと詰まっています。(ここまで書いていいのか!という感じです。)
建物を活用して事業を展開したい関係者には下記のような悩みが常にあると思います。
- 中古物件に入居したいけど、性能は大丈夫なのか?
- 中古の建物を用途変更したいけど、本当にできるのか?
- 違法建築(検査済証のない建築)を活用したいけど、本当にできるのか?
- 事業性を損なわずに適法化できるのか?
そんな悩みに対して、佐久間さんが具体的な事例を、図面や図解などを使いながら、わかりやすい解説と要所でのアドバイスを入れてくれるという素晴らしい内容になっています。
本の企画段階では「建築士の法解説本」という依頼内容だったようですが、佐久間さん本人に聞いたところ、「事業者向けの本」にしたいという佐久間さんの意向が通り、その方向性でまとめられた本になっています。
本を読んでみて、この判断は大正解だと私も思いました。
専門家向けの本は、「専門家のスキル向上」が主旨となる本の内容になりやすいので、発注者のための情報(事業性や資産性など)が不足しがちです。
今回の佐久間さんの本では、事業者向けにわかりやすく流れに沿ってバランスよく情報が盛り込まれているため、結果として建築実務者にとっても有益な本になると感じました。
建築実務者の新人の方や建築士を目指す人にとっては、この本を読んで「リアルな法律の役割や解釈」を知ってから建築基準法を学ぶと、より理解が深まるのではないかとも思えました。
また、既に建築実務に携わっている人でも、既存の建物を正しく「適法化・用途変更・リノベーション」できる人は限られていると思いますので、その教科書としてもふさわしいと思えました。
この本で掲載されているのは、下記の事例です。
- 居住用施設の改修:シェアハウス、ゲストハウス、店舗付き住宅等
- 福祉系施設への改修:保育園、老人福祉施設、障害者支援施設等
- 商業系、宿泊施設、工場等への大規模な改修:オフィス、店舗、ホテル等
建物改修の話は、オフレコ(ギリギリ、スレスレ、目をつぶるなど)な世界に思われがちですが、佐久間さんが実践する方法のように、高い法律知識、適切な判断、関係者との合意形成を正しく実行することで、適法化による建物活用が可能になることを学べました。
佐久間さん、素晴らしい本を書いていただいて、ありがとうございました!
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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