公開日:2018.07.27 / 最終更新日:2018.07.28
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地域の工務店があえて「高級住宅」を狙うべき理由
ハウス・ベースでは、地域の工務店様のコンサルティング業務を行なっております。
地域の工務店様は、地域も、顧客層も、創り出す住宅のスタイルもそれぞれ異なりますので、共通した「成功の方程式」があるとは個人的には思っていません。
ただ、住宅・建築業界で20年以上仕事をしてきた情報や経験値、ハウス・ベースを起業してから自社のメディア、サービスの運営、クライアント企業様のリアルな情報などを総合すると、一つの共通の課題(もしくは機会)があると思っています。
それは、
「地域の工務店こそ、高級住宅を自社の強みにすべき」
ということです。
高級住宅も、地域差はありますので、このブログでは「大手ハウスメーカーよりも高額の住宅」と定義します。
エリアによって状況に差はありますが、地方の高所得者層の住宅ニーズを地域の工務店はつかめていないと感じています。
地域の工務店こそ、高級住宅に力を入れるべきだと思う理由は下記の私の仮説です。
- 高所得者層の方が住宅のリテラシーが高い場合が多い
- 高所得者層は多忙なビジネスパーソンであることが多く、自宅でくつろぐことができるデザインや性能の優れた質の高い住宅を求めている
- 高所得者層の方が「どこに住宅建設を頼んでいいかわからない」と考える人が多い
- 高所得者の多くは、ハウスメーカー、設計事務所、工務店の順に依頼している
- 高所得者層は、資産家、会社経営者、医師などが多く、節税対策などで自邸建設の動機が比較的強い傾向がある
- 高所得者層は、車や衣服、趣味のものなど「所有するモノが多い」傾向にあるので、自邸にはそれなりに広いスペースを求める
- 地方や郊外は、高所得者層が欲しいと思うようなマンションはあまり無い
- 地方や郊外の方が、土地の価格が低いため、相対的に建設費にお金を使える
- 高所得者層は、お金にシビアな面はあるが、自己資金が無いわけではないので、無理な値引き要求は比較的少ない
などです。
地域の工務店がそうした住宅ニーズを把握して、対応できる体勢を構築すれば、競合する会社との明確な差別化にもつながります。
地域の工務店こそ、高級住宅に力を入れるメリットとしては、以下の項目が挙げられます。
- 高級住宅を提案することで、工務店としてのブランドイメージを向上できる
- 「高級住宅=デザイン、性能のこだわり」を実現しやすいので、家づくりの仕事にやりがいを求める優秀な人財の採用にもつながる
- 高級住宅を手がけることで、売上、粗利をきちんと確保できる
そしてハウス・ベースが考える「高級住宅を得意とする地域の工務店」になるための条件は下記となります。
- 「やることと、やらないこと」を明確にして、自社独自の住宅スタイルを確立する
- 施主の満足度を高めるために魅力的なコンセプトや世界観をわかりやすく伝える
- 個別の提案では、明快なストーリーを前提に、価格、間取り、デザイン、性能、インテリアなどすべての面で施主の期待値を超えるレベルで提案できること
- 「高級住宅」を実現するには、高い「設計力」を持つ
上記の中で、最も重要であり、最も難しいのが、高い「設計力」を持つことだと思われます。
顧客満足度の高い「高級住宅」を実現するには、実力・実績のある優秀な設計者の存在が欠かせないからです。
相談段階から提案、契約、設計、施工の一連のプロセスに至るまで、施主と密なコミュニケーションができる人であることが前提です。
地域の工務店が高い設計力を持つには、以下の2つの選択肢があります。
1.自社で設計人材を採用し、実務や研修等で研鑽に励み、優秀な社内設計士を育成する
2.実力・実績のある優秀な設計事務所(建築家)と協働する
上記1が本来は理想ですが、住宅・建築業界の実情を考えると、社内で設計人材を採用し、ハイレベルな設計者に育成するのはあまり現実的ではありません。
そこで上記2の「実力・実績のある優秀な設計事務所(建築家)と協働する」ことが、高級住宅を強みにするために最も必要なことです。
ハウス・ベースでは、「実力・実績のある優秀な設計事務所(建築家)とのネットワーク」を構築しておりますので、多くの地域の工務店のお役に立てると考えております。
優良な設計事務所の中には、実は工務店との協働に前向きな設計者も少なくありません。
設計事務所の多くは、「交通費を負担してもらえれば全国で仕事は可能」です。
高級住宅を依頼する高所得者層の施主であれば、「理想の高級注文住宅を実現するためのコスト」として、設計監理料に加えて交通費負担も理解してくれるはずです。
各地域で「家を建てたいけど、誰に頼んでいいかわからない」と悩んでいる人は多いはずです。
そうしたお客様に寄り添うことができるのは、その地域の工務店です。
そうした工務店の「設計力」をぜひサポートさせていただきたいと、強く思っております!
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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