公開日:2019.10.02
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「5人の先生が教える一生幸せなエコハウスのつくりかた」を読んで
「5人の先生が教える一生幸せなエコハウスのつくりかた」を読んで
エクスナレッジさんから出版された
「5人の先生が教える一生幸せなエコハウスのつくりかた」
を読みました。
「日本エコハウス大賞」の審査員が、「日本エコハウス大賞」の受賞作の中でも特に秀逸な5作品を丁寧に詳しく解説してくれるという素晴らしい内容になっています。
審査員の皆様の専門家としての知見が、とてもわかりやすく書かれていることも魅力です。
ハウス・ベースでも、耐震やエコハウスには特に注力して活動、情報発信をさせていただいておりますので、「ユーザー視点」でじっくり読ませてもらいました。
ユーザー向けにわかりやすく伝えることは、プロに伝える何倍も難しいことを実感しておりますので、その「伝え方」を意識しながら読みました。
本を読んだ正直な感想としては、
「エンドユーザー向けの家づくり本としては、とても秀逸」
だと思いました。
久しぶりに「オトナ買い」して、配り回ろうかとも思いました(笑)。
個人的にそう思った理由を以下にまとめて書きました。
エンドユーザー向けの家づくり本として秀逸な7つの理由です。
1.エコハウスに求めることを明確にしてくれている
エコハウスに取り組む人たちには、それぞれの「主義・主張」があり、明確な評価軸がありません。
このような状況では、ユーザーにとっては「何が、誰が正しいのか?」が本当に判断しにくいと思います。
この本では冒頭にエコハウス対象のコンテストの5つの評価基準を示してくれています。
(以下、引用します)
1.高い水準で躯体性能が確保されている
2.周辺環境を読み込み、現代の家族構成や生活性を考慮してプランされている
3.地域の気候や風土、慣習を尊重している
4.エネルギーに対して経済性や持続可能性を考慮し、工夫・挑戦している
5.地域、社会、未来に対して思いやりのある設計がされている
上記の基準を理解し共感できるユーザーにとっては、これからの家づくりで明確な指針を得られることにつながります。
2.ユーザー向けのエコハウスのメリットをシンプルに伝えている
「最初に断熱性能を上げれば工事費が上がるけれども、冷暖房費は安くなる。
最初に断熱をケチれば、冷暖房費が高くなる。」
このシンプルな事実をベースに、エコハウスを建てることの意義が丁寧に書かれています。
3.エコハウスをファクトとデータで示している
日本の家づくりは、ほとんどのつくり手が「情緒的」なアプローチで建てています。
住宅の基本性能は、本来はつくり手が決定して、すまい手に提案すべきものです。
この本では掲載している住宅を図面や写真、テキストに加えて、
高画質サーモカメラで「断熱性能」を検証されています。
4.「エコハウス=環境性能のみ上げる家」という誤解を解いている
エコハウスという言葉の響きから、「エコハウス=環境性能のみ上げる家」という誤解を持つ人が、ユーザーもプロもとても多いことを感じています。
特に「情緒的」な家づくりを実践しているプロからすると、聞きたくもない言葉かもしれません。
この本では、高いレベルでデザインと性能が両立した住宅が「真のエコハウス」であることを、トップランナーの建築家がわかりやすい解説で説明してくれています。
5.家づくりのプロ向けの本としても情報が充実している
ユーザー向けに書かれた本ですが、図面情報や性能に関する解説が充実しているので、エコハウスを実践したいプロにとっても良い本だと思います。
エコハウス初級者の方は、いろいろな手法を学ぶことができます。
エコハウス上級者の方にとっても、トップランナーの設計手法は参考になるはずです。
6.エコハウスを建てた実際の暮らしが丁寧に書かれている
実際にエコハウスに住んでいるユーザーの意見や感想、データはとても貴重です。
エコハウスは、すまい手がその住宅を積極的に使い込むことで、より良い住宅に進化していきます。
そういう意味でも、暮らしやエコの意識の高いユーザーに出会う、あるいは啓蒙していくことが強く求められています。
エコハウス大賞の受賞作という素晴らしい住宅の「リアルレポート」は本当に貴重です。
7.ハウス・ベースでお世話になっている建築家の事例が掲載されている
個人的な話で恐縮です(笑)。
とても尊敬している
SUR都市建築事務所の浦田さんや、
i+i設計事務所の飯塚さんの
事例が紹介されるということもあり、とても楽しく読むことができました。
まとめ
最後になりましたが、企画された「建築知識ビルダーズ編集部」様はさすがだと思いました。
プロ向けの情報発信や活動を行なっている会社はとても多いのですが、ユーザー向けはまだ限定的です。
このような「チャレンジ」をしていただくことに、とても敬意を持ちました。
個人的に、日本の家づくりに関しては
「プロを変えるよりもユーザーを変えるほうが進化は早い!」
と思っていますので、このような本が増えることを願っております。
ハウス・ベースの活動や情報発信も更に強化しなくてはと思いました。
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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