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公開日:2016.06.10  /  最終更新日:2018.11.03

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スケルトン&インフィル

これからの新築住宅は「コンパクト」と「可変性」がキーワード!

新築か中古か、戸建てかマンションか。購入にあたって一度は悩むところです。まずは「新築住宅」について、日本の住宅市場における立ち位置や背景、評価を知ることから始めてみましょう。これから建てる場合には、その時々の“家族のありよう”に合わせられるかどうかが大切です。

日本人は新しいモノ好き?! 住宅市場は「新築」が主流

日本では取引される住宅の大半が「新築」ですが、これは日本ならではと言えます。

2013年は全住宅取引の85.3%が新築でした(総務省調査より試算)。8~9割が新築ということで、市場を表す指標は主に新設住宅着工戸数が用いられます。海外では家をメンテナンスすることで資産価値を下げない考えが定着することで中古住宅市場が形成されていることもあり、中古住宅の取引のほうがメインで、例えば米国では約1割(2010年調べ)しかなく、日本とは真逆です。

日本の新設住宅着工は年間約160万戸をピークに、今も年間約90万戸が供給され続けています。

1996年度が約160万戸、2015年度が約90万戸

一方で空き家は約820万戸あり、住宅総数に占める割合で言うと13.5%にもなっています(2013年調べ)。新築が続く一方で、空き家増加に歯止めがかからないのが、今の日本の状況なのです。

少子化が社会問題となっているように日本の人口は減少傾向ですが、世帯数が減らないことで住宅事情は支えられてきました。大家族から単身・2人へと世帯が小型化したものの、世帯ごとに家は必要だったわけです。しかし2019年以降はその世帯数が減少を見込まれていて、それにより住宅需要も縮小が予想されるのです。

日本の住宅はすでに数は十分で空き家があり余るほどですが、今後はさらに供給が上回りそうです。新築着工と住宅の取り壊しが現状のペースのままだと、2033年には空き家率がなんと28.5%、3割近くにもなると試算されています。

何らかの対策を講じたとして、新築着工を半減させ、取り壊しを倍のスピードにできたとしても、22.8%は空き家だとも言われているのです。

これに着目して、空き家を含む「中古住宅」をもっと流通させようとするビジネスも現れてきています。あなたが住宅の購入を考えているなら、こうした動きには注目でしょう。

 

欧米の半分しかない! たった30年の日本の住宅寿命

日本人は新築志向に加え、家の「所有」志向も強いと言われます。2015年の内閣府調査では、住宅を「所有したい」「どちらかといえば所有したい」人が合わせて75%もいました。4人に3人の割合です。2004年には79%だったので若干減ったとは言え、まだまだ根強そうですね。

日本人は新築志向に加え、家の「所有」志向

年代的にはどうでしょう?

意外なことに若年層でも所有志向が見られ、20代では79%とむしろ全世代平均より高いです。ただし、そのうちの31%は「どちらかといえば~」を選択しており、迷いも感じられる結果です。この層は、賃貸住宅などで良い物件に出会えれば所有にはこだわらないかもしれません。

一方、同じ調査の「住宅を買うなら新築か中古か」という質問では、マンションと一戸建てを合わせて新築志向が73%と、やはりこちらも4人に3人に迫る勢いです。この傾向の基になっている、日本の住宅市場の背景を見てみましょう。

実は日本でも第二次世界大戦前は、持ち家は手入れをして次世代に受け継ぐのが普通で、長持ちするよう気候風土に合わせて構造も工夫されていました。今のような新築志向に変わったのは、戦後から高度成長期にかけて、住宅不足を解消するために大量に新築住宅が供給されたことによるのです。

供給を急ぐことで、建物の質は問われなくなりました。「土地は値上がりし続ける」時代もあったことから、建物の価値よりも土地取得のほうが重視されたこともあります。また残念なことではありますが、業者にとっては質の劣る住宅のほうが建て替えニーズにつながりやすいため、好都合だった側面もあります。

こうして、住宅を建てては比較的短期で壊すのが普通になってしまいました。住宅を取り壊すまでの年数は米国で70年、英国で80年ですが、日本では半分以下の約30年という短さです(国交省調べ)。一世代しか使わない建物ということから「中古は良い物件がない」との固定観念も生まれ、日本人の新築一戸建て志向がいっそう強まることとなったのです。

 

少し前までは住宅の建て替えといえば、子どもと同居するための二世帯住宅でしたが、国交省調査でも最近では、自分や夫婦のための建て替えが増えています。断捨離や人生のしまい方といった考え方もある時代ですが、建て替えの際に面積もむしろ小ぶりになっています。

古いので建て直すという修繕目的だけでなく、子どもが独立した、あるいはもともといないなど「夫婦のみ」の家庭が以前よりも増えたために、今の生活に合った「コンパクト」な家が求められるのです。

そう考えると、日本の住宅の寿命が30年と短いのは老朽化だけでなく、実はそこで暮らす家族の変化にうまく対応できていないからなのです。

であれば、これからの住宅には耐震性・耐久性や、ずっとその家に住んでいたいと思えるような美しいデザインとともに、将来の暮らしに対応できるような「可変性」が大切なのです。

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HOUSEBASE 代表取締役 植村将志

住宅・建築分野におけるリアルな情報発信や、役立つコンテンツやサービスの提供、実務者向けのソリューションを通じて、すまい手やつくり手にとって納得のできる家づくりを目指しています。

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