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公開日:2016.06.03  /  最終更新日:2018.11.03

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耐震住宅

これなしでは安心して生活できない!「構造計算」とは?

「耐震性が保証されていない家に、あなたは住めますか?」のコラムで前編と後編にわたって、家を建てる時にしっかり「構造計算」を行うことがいかに大切かをお話ししました。「そんなに大切な構造計算って、一体なにを計算するの?」と疑問に思ったあなた。ここで、なるべくわかりやすく解説してみましょう。

構造計算ってなに?なんで大切?

構造計算
構造計算は、家づくりを請け負った設計事務所や工務店からの依頼を受けた、構造設計・構造計算専門の会社の「構造設計者」が行います。彼らは構造力学をはじめとする建築や構造に精通した専門家で、専用のソフトなどを使って建物の細かな構造を計算するのです。そんないかにも難しそうな構造計算ですが、仕組みを理解することでどれだけ大切かがわかるので、少し勉強してみましょう。

構造計算とは、簡単にひと言で言うとすれば、「建物の重さを計って、縦や横にかかる力を想定し、その力が実際にかかった時に建物がどのくらい傾くか」を計算すること。それが建築基準法で定められた基準値内に収まっているかを確かめるのです。地震大国・日本ではひっきりなしに大小さまざまな地震が起きていますが、その時にまったく傾かない建物はありません。揺れが起きてもまた元に戻る範囲内の微小な傾きであることが重要なのです。

建築基準法に定められている構造計算の項目は、大きくは次の2つになります。

<A>軒高9m以下の3階建住宅の場合

許容応力度計算、層間変形、偏心率

<B>軒高9m以上の3階建住宅の場合

許容応力度計算、層間変形、偏心率、剛性率

※「軒高」とは、屋根を支える梁の高さです。屋根の形状により位置や高さが異なります。

おやっ?」と思われた方も多いでしょう。そう、日本の家の多くを占めるのは平屋もしくは2階建ての木造住宅です。それが含まれていませんね。

実は、「2階建て以下で延べ面積が500m2以下の木造住宅」は、建築基準法で構造計算が義務づけられている対象の建物ではありません。

これが住宅・建築業界における大きな問題のひとつなのです。この問題を解決するために、すまい手のことを第一に考えている設計事務所や工務店では、2階建て以下の木造住宅に対しても上記<A>の構造計算を自主的に実施しています。構造計算をクリアした家は、もしもの時にも耐えられる、安心・安全な家だと言えるでしょう。

構造計算の詳しい仕組み

構造計算は「家にかかる重さのすべて」を想定して調べる「許容応力度計算」から始めます。地球の重力に対して耐えられるかどうかはもちろん、地震の時に家にかかる力は家が重いほど大きくなるので、最初に家の重さを調べることが重要なのです。

  • 家自体の重さを調べます。
  • 家の床に載せる人や家財道具の重さ(積載荷重)を想定します。
  • 雪が積もったときに屋根にかかる重さ(積雪荷重)や、ピアノや水槽などのように特に重量のあるものの重さ(特殊荷重)を考慮します。
  • 上記を合計します。

家の重さはどうきまる?
さらに、「家にかかる重さが力としてどのように伝わるか、そしてその力に耐えられるか」を調べます。
地震や台風に持ちこたえられる建物かどうかがわかります。

  • 家にどのように重さ(下向きの力)が伝わるかを調べます。
  • 伝わった重さに、建築に使用されている材料が耐えられるかを調べ、地震や台風が来た場合を想定して強さを検証します。
  • 地震が来たときにかかる力を、家の重さから計算します。
  • 台風が来たときに、家にかかる力を調べます。
  • 地震や台風のときに家にかかる力(横向きの力)に、材料が耐えられるかを調べます。

ここまでの一連の流れが「許容応力度計算」。なかなか複雑ですね。さらに、地震と台風それぞれの場合に、家がどのくらい傾くのかを計算する「層間変形」、家の重さと硬さが偏っていないかを確認し、バランスよく重さを支えられるかを調べる「偏心率」を計算します。

ここまでが軒高9m以下の家の構造計算。軒高9m以上になると大規模建築物とみなされ、これまでの計算に加えて建物の上下階の硬さのバランスを調べる「剛性率」も必要になります。さまざまな条件により変動しますが、建物が高さの1/120から1/200以上傾くと「損壊」とみなされるため、それ以上は傾かないように設計します。例を挙げると、3mの高さの建物に許される傾きは1.5cm以内程度。この程度であれば、地震で傾いたとしても揺れが収まると同時に元に戻ることから、この基準が設けられています。

揺れが収まる

構造計算「あり」と「なし」ではどう違う?

木造住宅の重さは、家の仕様や特殊荷重により違いはありますが、おおむね1坪あたり約1tだと言われています。30坪の家だと約30t。ここに、雪国であれば雪の重さを加算します。大雪が積もるとかなりの重さになることはご存じの方も多いでしょう。ここに地震が来ると、家は約6tの力で横から押されることになります。家にかかる力はとても大きいことがわかっていただけますよね?

構造計算をクリアした家は、地震などで大きな力がかかったとしても微小な傾きで済むことが検証できているため、安全性が確保できるのです。逆に言えば同じ力がかかった時に、構造計算をクリアしていない家は倒壊してしまう可能性が低くはないということ。構造計算「あり」と「なし」では、安全面でこれほど大きな違いがあるのです。

複雑な構造計算の仕組みを解説してきましたが、みなさんはこんな計算方法を覚える必要はありません。家をつくる時には、つくり手と打合せを重ねて作成した設計案に基づき、しっかりと構造計算を行ってもらうこと。そして、その内容を正確に反映できる工法や技術力を持った会社に家づくりを依頼することが大切だと理解していただければ、今回のお勉強は大成功です。

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HOUSEBASE 代表取締役 植村将志

HOUSEBASE 代表取締役 植村将志

住宅・建築分野におけるリアルな情報発信や、役立つコンテンツやサービスの提供、実務者向けのソリューションを通じて、すまい手やつくり手にとって納得のできる家づくりを目指しています。

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