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なぜ耐震化が進まない?木造住宅が抱える大きな問題点

日本は、世界一の地震大国です。耐震性は、住宅の価値を左右するもっとも重要な性能と言えます。阪神大震災、東日本大震災、そして熊本地震と、住宅に甚大な被害がもたらされる災害が続いているにも関わらず、耐震性の向上が図られていないのが現実です。なぜ住宅の耐震化が進まないのか、これからつくる家はどのように耐震性を確保してはよいのかについて説明します。

なぜ耐震化が進まない?木造住宅が抱える大きな問題点

建築基準法はあくまでも最低基準を示しているに過ぎない

建築基準法は、住宅・建築物を建てるために基準を規定している法律です。実はこの法律が求める住宅・建築物に定める基準が、「最低限これだけは守らなければならない」と規定しているのをご存知でしょうか?

以下に建築基準法の第1条の条文を記載します。

第一条  

この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。

第1条でいう「最低」とは、憲法第13条にある「個人尊重の理念」に基づき、建築基準法という法律をもってしてもその制限は最低限のものでなくてはならないという部分から来ているようです。

建築基準法上の耐震性能は、震度6強から7の地震で「倒壊、崩壊」せず、震度5強程度の地震で「損傷」しないというレベルに設定されています。そのままでは住み続けることができない「全壊」は、建築基準法の想定内の出来事です。つまり、普通の家は、震度6強の地震が発生すれば全壊してもおかしくないということになります。

耐震性を確保するためには「耐震等級3」がおすすめ

建築基準法が「最低基準」を示していることに対し、住宅の性能を見える化するために「住宅性能表示制度」があり、耐震性能についても構造的な強さに応じて3段階の等級があります。

  • 耐震等級1:建築基準法レベル
  • 耐震等級2:建築基準法レベルの1.25倍の建物強さ
  • 耐震等級3:建築基準法レベルの1.5倍の建物強さ

現状の日本の住宅は、ほとんどが「耐震等級1=建築基準法レベル」です。理由は、構造性能を向上させるとコストアップにつながるので、つくり手はすまい手に求められない限り「耐震等級1」レベルで家づくりを行っている会社がほとんどです。つくり手の中でも良識的な判断基準を持っている会社の中には、「耐震等級3」を標準化している会社もあります。

耐震等級を1から3に上げるためのコストは、工法にもよりますがそれほど高額なものではありません。「地震保険」という任意の保険がありますが、耐震等級2もしくは耐震等級3の住宅ですと、耐震性が高い=地震によるリスクが少ないということで、構造図・構造計算書等を第三者評価機関が審査するという条件付きですが、地震保険料が割引になります。耐震等級を上げることは、家の資産性を考えれば、十分に元がとれる投資です。

正しい構造設計、構造計算に基づいた安全性の検証が必須

木造住宅の耐震性については、設計、材料、施工等のさまざまな問題があり、なかなか向上していかないのが現状です。特に構造設計、構造計算に関しての状況は悩ましく、建築士の免許を持っていても、木造の構造に関する専門的な知識を持たず、きちんと設計や計算ができないという実情があります。

きちんと設計、施工が行われることによって、耐震性が確保された住宅をつくることができます。家の工事を始める前に工事の許可をとる「建築確認申請」において、構造に関する安全性の検証を示す資料の提出が義務付けられていない現状を改めないかぎり、地震被害の軽減は見込めません。

まとめ

住宅の耐震性を確保するためには、構造計算による科学的な安全性の検証が必須となります。材料や施工の精度の問題もありますが、その前提として構造上きちんとした設計が為されていないことが大きな問題です。

国は「国土強靭化計画」として、木造住宅の耐震化率を高めることを政策で掲げていますが、住宅業界の混乱を考慮すると、すぐに木造住宅のすべての「構造計算」を義務化するには、まだまだ時間がかかりそうです。

実際の家づくりにおいては、つくり手に対して「構造計算をしてもらうこと」と「耐震等級3を確保」してもらうことを必ずお願いすることが重要です。

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HOUSEBASE 代表取締役 植村将志

HOUSEBASE 代表取締役 植村将志

住宅・建築分野におけるリアルな情報発信や、役立つコンテンツやサービスの提供、実務者向けのソリューションを通じて、すまい手やつくり手にとって納得のできる家づくりを目指しています。

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