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公開日:2016.06.14  /  最終更新日:2018.11.03

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中古住宅リフォーム

中古一戸建て×リフォームは、お金の面で賢い家づくりの選択肢

住まいを購入する時に、新築ではなく「中古一戸建て」を選ぶメリットは何でしょうか? 中古市場で価値を出せる家と、流通にも乗らない空き家を分けるものとは? 住宅を使い捨てにせず、長く住まい続ける姿勢が、どうやら日本人には欠けていたようです。成熟した視点をそろそろ持ってみませんか。

その家は将来売れますか? 中古市場で通用する資産価値とは

お金の面で賢い家づくり

日本では1960年代まで住宅が世帯数より少なく、明らかに不足していました。そこで自助努力による持ち家取得が、当時から住宅政策の基本とされてきたのです。その甲斐あって、今では持ち家率は61.5%となっています(2013年総務省調べ)。

持ち家の多くは一戸建てで、注文住宅か建売住宅かになります。市場の状況を見てみると注文住宅は、世帯数が伸び悩む中でも建て替えや二世代住宅といったニーズに応えてきました。建売住宅の世界では「パワービルダー」と呼ばれる業者が、間取りや仕様の統一で価格を抑えて人気を博しました。

こうした戸建て住宅は、中古市場ではどう評価されるでしょうか?

施主のこだわりで建てられる注文住宅は、構造や間取りに特徴のあることが多く、それが使いづらいと見なされてしまうと、中古住宅としては価値が低くなることがあります。間取りは一般的で使いやすそうな建売住宅でも、価格が抑えられたために耐久性に難ありと見られる可能性があるでしょう。

新築一戸建ては年が経つとともに当然、新しくはなくなるために、中古市場では価値が下がっていくものです。こうして資産価値が下がるにつれ、空き家として放置される可能性は逆に高まるのかもしれません。

もし持ち家が十分な資産価値を保てれば、空き家にせずに、売却や賃貸といった有効活用も考えやすいでしょう。そうすれば、年齢とともに高齢者向け住宅などに住み替える選択もしやすくなります。

また、自宅を担保に生活資金などを借りて、死亡後に担保を売却して返済するリバースモーゲージという仕組みも、持ち家に価値があれば利用しやすいですね。これならすぐに売却するのと違い、持ち主は住み続けながら生活費などの資金も得られますし、その後は次の世代へと引き継げばよいのです。

いずれにしても、家が中古として価値を持たないようなものであれば、使い捨てにつながってしまうことでしょう。

新築の半値以下! 安く買い取った空き家の再販ビジネスが活況

驚くことに、空き家数は820万戸にも達しました

驚くことに、空き家数は820万戸にも達しました(2013年総務省調べ)。売却・賃貸の途中段階のものや別荘も含まれますが、問題なのはその4割近くもの318万戸が放置されている、つまり借り手も買い手も募集されていないままなのです。放置の7割は木造で、半数以上が相続されたものです。

実はこうした状況に反応した、新しいビジネスも活発化しています。空き家を安く買い取って最低限の改修を行い、新築の半値以下で再販売するのです。空き家が放置されずに活用されるなら社会にとっても良いことですし、中古住宅が市場に出回りやすくなる意味でも望ましいですね。

ただ中古市場では本来、住宅の所有者による改修や修理・修繕の履歴を残すなどして、手入れの価値が評価されるべきだと私は思うのです。手入れしたことが資産価値の評価につながれば、売却や住み替えも行ないやすく、中古市場の活性化につながるからです。

米国では不動産業者を通して履歴情報が公開されるのが基本で、それにより適切な価格づけがされています。日本でも近年は、住宅メーカー中心の「スムストック」というブランドで修理・修繕履歴を残す取り組みが進んでいます。中古住宅の売却時に履歴を基にした修繕の価値が評価される仕組みですが、自社施工物件の中古市場での流通促進やリフォーム需要開拓を狙ったものでしかありません。

日本でも米国型の情報システムを作る試みはあります。2015年6月から国交省が横浜市で試行運用している不動産総合データベースです。それでも、そもそも修繕履歴の情報のある物件が現時点でほとんどなく、米国のように機能させるのはまだまだ難しそうです。

国交省が5年ごとに見直す、今後10年の住宅政策の指針である「住生活基本計画」の最新版が2016年3月に閣議決定されましたが、そこでも“住宅市場は既存の住宅ストックを活用する方向へ転換すべきだが、遅れている”ことが課題とされています。

「住生活基本計画」の最新版

日本は6割以上という持ち家率の高さにもかかわらず、住宅市場ではその資産価値が維持されにくい構造になっています。空き家問題は、今は持ち家の一戸建て中心ですが、近い将来には分譲マンションの空き部屋も深刻な問題になることでしょう。

2019年以降、全国で世帯数が減少し始めると予測されている日本では、今のまま新築を増やしていくよりも、本気で中古住宅を活用することを考えるべき時に来ているのではないでしょうか?

堅実消費・将来不安が広がる時代に、中古住宅はコストパフォーマンスの良さを活かし、限られた予算でいい家に住みたいというニーズに応える選択肢として認知を図るべきです。

質の高い中古住宅が手ごろな価格で手に入り、資産価値が長く維持される社会になれば、日本の中古住宅市場も豊かになり、住まい選びの選択肢として十分魅力的なものとなるかもしれません。

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HOUSEBASE 代表取締役 植村将志

住宅・建築分野におけるリアルな情報発信や、役立つコンテンツやサービスの提供、実務者向けのソリューションを通じて、すまい手やつくり手にとって納得のできる家づくりを目指しています。

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