実はエアコンが圧倒的に省エネ!家づくりのプロが選ぶ、お得な住宅設備
設備計画もできるだけ省エネにするためには大きなポイントです。
冷暖房、換気、給湯、照明などの設備はどのように計画すると良いのでしょうか。
省エネ設備:自然エネルギーだけでは無理なので・・・
建物を高性能にして自然エネルギーを利用すると言っても、残念ながらそれだけでは簡単にゼロエネにはなりません。出来るだけ自然エネルギーを利用し、あとは機械設備でバランス良く補うという事が必要になってきます。冷暖房は自然エネルギー利用でかなり減らすことが出来ますが、給湯、照明、調理などにエネルギーは必要ですし、さらに様々な家電製品などもあります。そこでそれらを選ぶとき、出来るだけ省エネ性能の高いものを選びます。また使用エネルギーをチェックし減らす設計の工夫も必要です。
冷暖房:エアコンが圧倒的に省エネです。
エアコンというと「電気代が高い」と思われがちですが、じつは一般的な暖房機で一番省エネなのはエアコンです。エアコンはヒートポンプという仕組みで外気が持っている熱を汲み上げ(エアコン自体で熱を発生するのではなく、汲み上げるのに電気を使うだけなので非常に効率が良く)使う電気の3倍以上の熱を作る事が出来ます。しかしエアコンからの温風、冷風が不快という方も多いですね。でも高気密高断熱ならエアコンは緩やかに働きますし、設置方法の建築的工夫でも解決できます。
雑司が谷ZEHでは暖房は床下にある10帖用、冷房は3階吹抜上部の8帖用各1台のエアコンのみで全館の冷暖房をまかなうことが出来ます。暖房用は床下にあるので、温風は感じず床暖房のように床全体が暖まります。冷房用は3階吹抜で直接風が当たらない場所です。小型のエアコンたった2台だけですから、ランニングコストはもちろん、イニシャルコストも非常に安く済みます。
換気:シンプルな方法が一番。
換気は通常の換気扇を使っています。換気するときに熱を逃がさない熱交換換気扇もありますが、これはコストが高いですし、ダクト式で工事が複雑なものも多く、デメリットを考えるとわざわざ採用するほどの省エネ効果はありません。
雑司が谷ZEHの換気方式は第3種換気と呼ばれる、各部屋には給気口を取り、トイレなど数カ所の換気扇で排気する一般的な方式です。パッシブデザインの開放的なプランならそれで十分に換気が行き渡ります。給気口は通常より多く設置し夏冬で使い分けています。夏は北面から涼しい空気を、冬は南面から暖かい空気を採り入れる事で熱のロスを低減します。なお寒冷地の場合は省エネ効果が大きいので熱交換換気扇がお勧めです。
給湯もヒートポンプです。
給湯もランニングコストの点では、エアコンと同じヒートポンプの仕組みを使ったエコキュートが断然一番です。しかし電気を多く使うことに抵抗のある方も多いと思います。実際エネルギー効率で考えると、ヒートポンプが3倍の効率だとしてもそもそも電気を作る時点で1/3(火力の場合)の効率なので結局ガスと大差ないですから、ガス給湯というのも一つの見識だと思います。
とは言え、雑司が谷ZEHではエコキュートを採用しました。将来、ガス、灯油などの化石燃料は無くなるかもしれませんが、電気はいずれ風力、太陽光、地熱などの自然エネルギーに切り替わると思うからです。また、エコキュートのタンクには常に新鮮な水(お湯)が300L以上あるので緊急時用の貯水タンクとしても意味があります。
照明:デザイナー好みの多灯分散方式。
照明についてはLED化の波がとどまることはないでしょう。消費電力は白熱電球の1/10程度ですし、品揃えも豊富になり、価格もずいぶんこなれてきました。欠点としては光の色が多少不自然ですが、一般使用には十分ですし、必要があれば高演色性の器具も用意されています。
白熱電球をLEDに換えるだけで十分省エネですが、さらに多灯分散式と呼ばれる照明計画があります。これは部屋の真ん中にドンと明るい照明を一つ付けるのではなく小さめの照明を多数分散して付け、必要な照明を必要なときだけ点灯することにより省エネになるというものです。照明による空間の演出と相性がよいので、デザイナー好みと言えます。雑司が谷ZEHもこの方法を採用していますが、照明器具の数はかなり多くなるのでイニシャルコストは割高です。
その他の設備:雨水利用,生ゴミ処理のコンポスタなどもあります。
このあたりは、省エネというよりはエコという問題ですね。雑司が谷ZEHは2階リビングですから簡単に庭に出ることが出来ないので地面に埋設するタイプのコンポスタは考えていませんが、生ゴミ処理機については検討中です。雨水タンクは250Lのもの2台設置予定で1台は2階バルコニー、もう1台は庭に置くつもりです。植物への水やりや洗車などに使えますが、どちらかというと非常用の水のストックと考えています。
まとめ
省エネの設備計画は簡単に言ってしまえば出来るだけ消費電力の少ない(燃費の良い)器具を選ぶという事に尽きますが、快適性を確保する為には各器具の欠点を補う設計上の工夫も必要ですし、非常時の有用性も考えておきたい所です。また、単に省エネというだけでなく広く環境に配慮する視点も欲しいと思います。
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