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2017.09.15

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設計事務所・工務店

工務店とパワービルダーの住宅の価格はなぜ大きく違うのか?

家づくりのご相談で多いのは、「家の価格」に関することです。住宅の価格・コストは坪単価や総額で表すとわかりやすく注目されやすいのですが、賢い消費者を目指すのなら目立たない、しかしながらとても大切な内容とコストにも目を向けてみましょう。このコラムでは、工務店とパワービルダーの住宅の価格の違いについて解説します。

工務店とパワービルダーの住宅の価格はなぜ大きく違うのか?

家づくりの価格差は、ヒト、モノ、諸経費の考え方の違いが原因

住宅を取得するにあたって、最も関心があることの一つに「価格」があると思われます。そして、一般的にパワービルダー(大規模な住宅事業者)と、工務店(中小規模の事業者)では、総じて前者の方が価格が安いと、思われているのではないでしょうか。

パワービルダーと工務店が建てた家を比較する場合、同じような面積、間取り、外観、内装、設備の住宅が2棟あるとして、パワービルダーの方が安くなるはずです。その理由は、以下のような理由にまとめられます。

  • ヒト(大工さんや職人さん)による価格差
  • モノ(構造躯体や建材、設備等)による価格差
  • 諸経費(現場作業以外の人件費や広告費、工事関連費用の金額)の考え方の違いによる価格差

このコラムでは、上記の理由について解説します。

大工さんの価格差は、「丁寧さ優先」か「スピード優先」かで生じる

まずは、「ヒト(大工さんや職人さん)による価格差」についてご説明します。

パワービルダーと工務店の違いで最も分かりやすいのが、大工さんや職人さんなどへの「手間代」と呼ばれる施工費です。

大工さんの場合ですと、「大工手間」などと呼ばれ、工務店が大工さんに仕事を発注する際は、1日あたり2万円前後の金額が相場となっています。もう一つの考え方としては、大工さんの施工費を坪あたりで換算して、大工手間を「坪単価」で決めている場合もあります。

新築住宅の場合、大工さんの施工日数をあらかじめ決めて発注することは困難なため、工務店もしくはパワービルダーが大工さんに仕事を発注する際は、「坪単価」を決めて発注しているのが現状です。

工務店が大工さんに仕事を発注する際の坪単価としては、仕事の内容にもよりますが6万円/坪前後のところが多いと思われます。パワービルダーが大工さんに仕事を発注する際の坪単価としては、4万円/坪前後のところが多いと思われます。

工務店が依頼する、優秀かつ熟練した大工さんの方が、やや単価が高くなります。パワービルダーの場合は、大工さんに「定期的もしくは大量に仕事を発注する」ことを前提に、相場よりも安い単価を設定していることが多いです。

工務店とパワービルダーの価格差が大きくなるのは、「施工期間」に関する考え方です。工期が短い方が、現場にかかる経費も抑えられますし、早く引き渡しを行うことで工事金額も早く回収できます。パワービルダーの場合、工期を短くすることで、コストパフォーマンスを実現するという考え方です。

特に大工さんの施工範囲である「木工事」(構造躯体の上棟から下地ボード張りまで)にかける施工期間は両者で大きく異なります。

仮に木造の新築住宅30坪の施工で、大工さんの「大工手間」と「施工期間」を比較してみます。

大工手間

  • 工務店の発注金額:30坪×6万円/坪=180万円
  • パワービルダーの発注金額:30坪×4万円/坪=120万円

施工期間

  • 工務店の木工事の標準的な期間:3ヶ月
  • パワービルダーの木工事の標準的な期間:1.5ヶ月

工務店の仕事を行う大工さんは、3ヶ月で180万円の売上となります。一方で、パワービルダーの仕事を行う大工さんは、1.5ヶ月で120万円の売上となります。一見、パワービルダーの仕事のほうが大工さんは稼ぐことができそうですが、限られた時間での施工となるため、間に合わない場合は仲間の大工さんや弟子の大工さんに応援に入ってもらって施工を行うことも多いので、一人あたりの売上としてはそんなに大きく変わらないのが実情です。

同規模の住宅の施工で、「スピード優先」の1.5ヶ月で大工さんが仕事をしてくれた家と、「丁寧さ優先」で3ヶ月かけて大工さんが仕事をしてくれた家と、どちらの家に住みたいと思いますか?

住宅設備機器や建材は、製品や購入量によって「仕入れ価格」が大きく変わる

次に、「モノ(構造躯体や建材、設備等)による価格差」についてご説明します。

パワービルダーは仕様を固定化し、割安な製品を大量に購入することで、仕入れ価格を下げています。一方で工務店は仕様を固定化していない会社が多いことから、お客様の選んだ製品を仕入れます。

特に仕入れ価格の差が大きいのが、住宅設備機器です。例えば、定価100万円のユニットバスで比較します。同じ大きさのユニットバスでも、選ぶ製品によって大きくことなります。各メーカーとも、新製品等は割引率が低く、古い製品やローコスト住宅用に開発した量産型の製品は割引率が高いのです。

ユニットバスの仕入れ価格

  • 工務店が選んだ新製品のユニットバス(割引率が50%と想定):50万円
  • パワービルダーが選んだ量産型の製品のユニットバス(割引率が75%と想定):25万円

仕入れ価格については、他の建材でも同様のことが多いです。工務店で家を建てる場合でも、各社とも今までの取引実績や関係性によって「このメーカーの製品だったら、他の工務店より安く仕入れられる」という建材がある会社もありますので、特にこだわりのない建材に関しては、工務店に「オススメの建材」を教えてもらうとよいでしょう。

諸経費はパワービルダーのほうが必要なので、相対的に工務店の家は適正価格

最後に、「諸経費(現場作業以外の人件費や広告費、工事関連費用の金額)の考え方の違いによる価格差」についてご説明します。

パワービルダーと工務店で比較すると、諸経費はパワービルダーのほうが圧倒的に高いです。自社のアピールに使われる広告費が必要ですし、営業マンなどの人件費など、経費は膨大にかかります。展示場にモデルハウスを設けている場合は、その建設・運営の費用も必要です。パワービルダーのビジネスモデルは、ヒト、モノの費用を最小限にしつつ、諸経費を可能な範囲で抑えることで、コストの安い住宅を提供する仕組みです。

工務店はそもそも広告すら行っていないケースもありますから、その分、住宅価格が抑えられるわけです。
工務店の中にも独自にモデルハウスを設けている場合がありますが、それほど多くはありませんし、パワービルダーのように一定期間で建て替えることも少ないですから、価格に反映される度合いは少なくなっています。

メンテナンスについても同じような考え方ができます。現在、住宅事業者のほとんどが長期保証を掲げていますが、将来的に事業継続が難しいような事業者なら、長期にわたる点検・維持管理を期待するのは難しいのです。

パワービルダーは、事業規模が大きいですが競合先も多い業界なので、寿命の長い企業は一握りです。新築住宅をより多く建てていかなくてはならないビジネスモデルということもあり、メンテナンスや点検などに熱心な会社というのは、あまり聞こえてきません。

工務店は、地域に根ざした仕事となりますので、「建てて終わり」というわけにはいかないのです。経営規模はパワービルダーと比較すると小規模となりますが、企業努力次第で事業を継続、発展できる業種でもあります。家を建てたお客様の評判や評価が次の仕事にもつながる側面もありますので、メンテナンスや点検をきちんと行う必要があります。

まとめ

住宅の価格は、モノ、ヒト、諸経費の合計で決まります。家づくりの価格には、将来的に事業継続ができる健全な経営を可能にするコストも住宅価格には含まれているということであり、住宅取得を目指す方々はこのような点にもしっかりとチェックして頂きたいと思います。

日曜大工でモノをつくる場合でも、1日でつくったものと、2日かけてつくったものでは、仕上がりや精度は違いますよね。身の廻りのものでも、長く使えるモノは、丁寧にしっかりと造られたものが多いと思います。住宅は、長い時間を過ごす場所となりますので、より丁寧に、しっかり造られた住宅をオススメします。

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HOUSEBASE 代表取締役 植村将志

HOUSEBASE 代表取締役 植村将志

住宅・建築分野におけるリアルな情報発信や、役立つコンテンツやサービスの提供、実務者向けのソリューションを通じて、すまい手やつくり手にとって納得のできる家づくりを目指しています。

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