省エネルギー住宅のポイントが全てわかる。ZEHの自邸で暮らす建築家によるリアル解説
HB PRESSでは、すまい手の皆様に「省エネルギー住宅」をよりわかりやすくお伝えするために、地中熱利用のパッシブデザインでゼロエネ・エコハウスの設計実績が豊富な「SUR都市建築事務所」の浦田義久さんに解説記事をコラムとして連載していただくことになりました。
このコラムでは浦田さんが自らの設計で建てたZEH(ゼッチ)仕様の自邸の情報を基に、家づくり段階での施主の視点、設計者の視点、そして生活者として実際に暮らして気づいたことなどを、リアルな情報としてお伝えしていきます。省エネルギー住宅を検討している人には必見の内容です。
第1回目は、浦田さんが自邸を建てることになったプロセスについてです。
終の棲家
はじめまして。SUR都市建築事務所の浦田です。
自邸「雑司が谷ZEH」についてこれから何回かに分けて詳細をご紹介したいと思いますが、まずはどのようにして計画が始まったのかという事の経緯からお伝えします。
それまで私が住んでいたのは15年ほど前に建築した鉄筋コンクリート造2階建て、親世帯との二世帯住宅で、家族4人(妻と娘2人)の終の棲家とするつもりで設計したものです。
15年ほど前の設計なので今の水準から考えると温熱環境は不十分ですし、使い勝手の点でも細かいところでの不満はありますが、
山手線の駅から徒歩圏内で緑も多い恵まれた住宅街ですし、建物も各世帯30坪を少し越える程度で必要十分な広さがあります。
そして何より、大きな吹抜のとても気持ちの良い開放的な空間構成が気に入っていたので手放すことはまったく考えていませんでした。
突然の話
しかし数年前から父母とも自宅で生活するのが困難になって、親世帯が空くことになりました。
そのような事態になることを想定して、完全分離の二世帯住宅とし弟が引き継いで住むか、賃貸できる設計にしていましたが、弟は自分のマンションをわざわざ引き払って移ってくるのも気が進まないということで、とりあえず賃貸していました。
しばらくはそれで落ち着いていたのですが、数年前に父が亡くなり相続をどうするか考えていた時に借家人が突然2世帯住宅まるごと売る気はないかと言いだしたのです。
予期していなかったことで驚いたのですが、真剣に検討してみた結果、
- 思ったより売却の相場は高く、売却後の生活は十分組み立てられる。
- 賃貸しているのは何かと気を使う必要がありわずらわしい。
- 相続の問題が一気にスッキリ解決する。
など、メリットも多く、急に売却する方向もありという事で動き出しました。
新たに住宅を建てる
ですがその後どこに住むのかと言う大きな問題が残ります。
やはりせっかくの機会ですから住宅作家の端くれとしては、最新のノウハウを注ぎ込んで自ら設計した住宅に住みたいものですが、さすがに新たな土地購入を含めてすべてを売却代金でまかなうのはかなり厳しいようです。
しかし幸い妻の実家の土地が空いており、その一部を譲ってもらって新築するということなら、経済的な問題も含めて可能という事になりました。
妻としては住み慣れた場所なので大賛成、子供たちも馴染みのある場所なので賛成と言うことで、ついに二世帯住宅を売却し、二度目の自邸を建築するという決心をしたのです。
そんな経緯で、突然の話でしたが、いろいろなことが幸運にもうまくかみあって「雑司が谷ZEH」計画がスタートしました。
まとめ
二世帯住宅というのはなかなか難しいものです。
完全分離型は比較的つぶしがききますが、それでも建築当初の予定通りには、事は運ばないものです。
私はいつもあまり先の事は考えず、今を一番快適に過ごせるように計画すべきだと思っています。
ただし将来の改変が可能な「スケルトン・インフィル」のスタイルにしておけば、
予期せぬ事態に対するかなりのリフォームに対応できます。
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