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公開日:2016.06.21  /  最終更新日:2019.08.16

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設計事務所・工務店

「工務店」の種類と仕事を理解しよう![工務店との家づくり①]

新築一戸建てのつくり手といえば、ハウスメーカーをイメージする方も多いのではないでしょうか。
しかし、実は戸建て住宅の総数からすると、大手ハウスメーカーの持家施工実績は、全体の2割程度。その他の大部分を建てているのが「工務店」と呼ばれる建設会社なのです。今回はその「工務店」について解説します。

あの会社もこの会社も「工務店」? 業態別分類で理解しよう

「工務店」の種類と仕事を理解しよう

国土交通省のデータによれば、平成27年度の新設住宅着工戸数は全体で約92万戸。うち、持家(=分譲を除く新築一戸建て住宅)は約28万戸でした。この分野における大手ハウスメーカー全社の合計が約6万戸程度なので、残りの約8割は地元に根づいた建設会社である「工務店」が建てていることになります。

つまり、すまい手=建て主としての皆さんが出会う確率がいちばん高いのがこの工務店です。

…が、一口に工務店といっても、一人で経営している会社も大規模な会社もあれば業態もさまざまなので戸惑う方も多いようです。わかりやすく、業態のタイプで5つの分類をしてみました。

1.独立自営型

注文住宅の設計・施工を主業務とする工務店です。営業活動から、設計・施工まで自社の社員で管理・主導のもとで行います。各種保証や融資相談にも対応できる会社です。

比較的広めの地域に対応できたり、社員数が多かったり、独自の工法で規格化を進めていたりするような会社もあります。

2.施工特化型

地域に根差し、注文住宅施工を主業務にする工務店です。小規模な会社も多く、営業人員をおかず紹介のお客様の仕事を中心に行っていることも多いです。技術力の高い工務店の中には設計事務所案件の見積りに参加し、受注している会社もあります。

3.下請け型

ハウスメーカーや分譲住宅会社の施工に特化している工務店です。すまい手から見ると、直接契約する機会はほとんどありません。ハウスメーカーの仕事がメインであればメーカーが求める基準に1棟ずつ対応できる会社で、分譲住宅会社の仕事であれば大量に早く安くつくることを得意とする会社です。

4. リフォーム専門型

注文住宅ではなく、リフォームをメインで引き受ける工務店です。

5.不動産会社の建築担当型

不動産会社が建築条件付き土地を販売する時に、建築部分を担う工務店です。

直接すまい手と契約する可能性があるのは、上記1、2の工務店です。

設計と施工を合わせて、トータルな家づくりを依頼したい場合は上記1の工務店から、設計を建築家(設計事務所)に依頼する場合は、上記2の工務店から選ぶ場合が多いです。3~5の工務店にすまい手が直接依頼することはほとんどないと思います。

 

工務店の存在や活動、家づくりを伝える「広報」

注文住宅の仕事に対応できる工務店の仕事について、概要をお伝えします。

家づくりは多くの人にとって一生に一度の機会ですので、日常で工務店と接することはほとんどないということもあり、地域の工務店の認知度は決して高くありません。そのために、工務店としては地域の人に自社の存在や家づくりのサービスを知っていただくために「広報」活動が必要になります。

工務店の広報とは、下記のような活動です。

・WEBサイトを制作して運用

・SNSを使って認知を広げる

・地域の人に向けてイベントを開催

・完成見学会などを実施

会社によっては広告も実施しており、雑誌に広告記事を掲載したり、新聞の折り込みチラシを行う会社もあります。

工務店は5人以下の人数で運営している会社が大部分ですので、広報活動を全て自社で行うことには限界があります。注文住宅を年間10棟以上受注しているような工務店は、広報を専門に担当する社員やパートさんが担っていることもあります。専属のスタッフがいない場合、多くの工務店では社長や社員が役割分担をして広報的な活動を担っています。

 

工務店がお客様に具体的に家づくりの相談を受ける「営業」

ほとんどの工務店には、営業担当者はおりません。ハウスメーカーやビルダーと違い、営業マンにしつこくアプローチされるということはほとんどありません。工務店の人員体制では、見積りや施工などの仕事に追われておりますので、現実的に「追客」できないのです。

営業担当のいない工務店の家づくりの窓口は、その工務店の社長になります。初回打合せからその工務店の代表者と話すことができますので、すまい手としてものその会社の評価がしやすくなると言えます。(→詳しくは、工務店選びのポイントは「営業しない会社」!その見抜き方とは?をを参照

工務店の社長は家づくりの経験が豊富ですし、いろいろな相談や質問に対応は可能です。ただ、工務店経営者の力量は個人差が大きいですし、当然のように相性の問題もあります。自分が重視したいポイントや会社の実績などを考慮して、最終的に判断するようにしてください。

その工務店で具体的に家づくりを検討したくなったら、下記の提案内容を精査して依頼するかどうかを判断します。

・新居の要望などを伝えて、設計提案(ファーストプラン)を受ける

・その計画案に基づき作成された概算見積書の内容を確認する

その計画案の間取りやデザイン、仕様を確認し、見積書の金額に納得でき、資金計画も折り合うようであれば、契約を行います。

 

工務店によって大きな差が出やすい「設計」

工務店は小規模で経営している会社が多く、ほとんどの工務店には「設計担当」がおりません。

工務店に設計・施工で家づくりを依頼する場合には、下記のいずれかの力量をを判断することが重要になります。

・工務店に設計力があるか

・その工務店と協働する設計事務所に設計力があるかどうか

設計では、打合せを重ねながら、間取りやデザイン、仕様などを順番に決めていきます。その決まった内容を設計図や仕様書にまとめていきます。

工務店の社長に設計に対する理解が深い会社は、優秀な設計担当者が在籍している、もしくは外部の優秀でコミュニケーション能力の高い設計事務所と協働しているケースが多いです。工務店の社長との面談で設計に対する考え方を確認し、提案される設計案を自分の要望をふまえてチェックすることが重要です。(→詳しくは、家づくりは設計力が重要!工務店の設計力を判断するために必要なことを参照)

 

工務店の主要業務は「施工」を務めること

現場監督

幅広い業態の工務店ですが、どの会社でも、その仕事の中心になるのは「施工」と呼ばれる業務です。この施工は、現場監督を中心に、実際に手を動かし家を作り上げる大工さんや職人さんを束ね、工事全体を管理する仕事です。現場監督の仕事は非常に多岐ですが、主なものは下記の3つです。

●工程管理

・工事を受注したら、予算やスケジュールを組む

・専門工事業者を手配するとともに、資材の発注を行う

・現場では具体的な指示を出しつつ、作業の段取りを組み、スケジュールを管理

・トラブルや変更が起きた時の調整役も担う

●安全管理

・大工さんや職人さんが安全で仕事をしやすい環境をつくる

・近隣住民への挨拶・説明や、通行車両の対応など

●品質管理

・工事が計画通りにきちんと行われているか確認

・資材のチェック、管理も担当

・法律で定められている検査の立会い等も行います。

 

上記のほかにも、小規模の会社では一人で何役も担う必要があるので、下記のような業務もあります。

・見積り業務

・地鎮祭等の手配

・施工用図面の作成

・引渡し資料の作成

工務店に家づくりを依頼した場合は、現場監督のもとで職人さんたちが作業をします。木造住宅の場合、職人の中心となるのは大工さんですが、電気設備工事や衛生設備工事の職人さんや、板金屋さん、塗装屋さん、左官屋さん、建具屋さんなど、多くの職人さんとコミュニケーションをとりながら、チームワークによって一軒の家をつくりあげていくのが、工務店の仕事です。

 

工務店は家守りとしてメンテナンスを行う「点検」という役割

工務店は新築住宅の工事の合間に、すでに引渡し済みの住宅の定期点検やメンテナンスなどの仕事も行います。

工務店には、手がけた住宅を長年にわたって保全するという「家守り」という役割があります。その住宅のことを最もよく知るのは「建てた工務店」ですので、とても重要な仕事です。

比較的規模の大きな工務店では、アフターメンテナンス専任の担当者がいることもありますが、多くの工務店では施工を担当した現場監督、もしくはその工務店の社長や幹部が対応します。

 

まとめ

自分で力のある工務店を探すのは本当にたいへんなことで、はじめは全く見当がつかない場合も多いと思います。

紹介されたり、見積り金額に魅かれたり、工務店に出会うきっかけはさまざまですが、最終的には「この人(会社)に自分の家を建ててもらいたい」と思えるかどうかが大切。(→詳しくは「失敗しない工務店選び、10のポイント[工務店との家づくり②]

工務店について理解することは、家づくりのパートナーを理解することです。

実際の家づくりでは、ぜひ、工務店の担当者と積極的にコミュニケーションをとってくださいね!

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HOUSEBASE 代表取締役 植村将志

住宅・建築分野におけるリアルな情報発信や、役立つコンテンツやサービスの提供、実務者向けのソリューションを通じて、すまい手やつくり手にとって納得のできる家づくりを目指しています。

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