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公開日:2017.08.25  /  最終更新日:2020.03.06

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土地家づくりと費用

実は土地の価格は下がる!住宅業界の「2022年問題」

全国の市街地には、「生産緑地」と呼ばれる土地が存在することはご存知でしょうか?生産緑地とは、一部自治体が指定した土地については、固定資産税が農地並みに軽減され、相続税の納税猶予が受けられる土地のことです。この税制優遇が2022年に期限を迎えます。そうすると、納税することが困難になった所有者が土地を売却し、住宅用地が一気に不動産市場に放出されると言われています。その結果として住宅地が大幅に増えることになり、土地の価格が大幅に下がることになるのです。

住宅業界の「2022年問題」

生産緑地制度とは?

生産緑地法は、本来は住宅不足解消のために、市街化区域内の農地の宅地化を促す目的で、大都市圏の一部自治体で、農地に対して「宅地並み」の課税を行うことにより、都市近郊の農地の大半が宅地化されることになりました。そのことにより、都市部に住宅街が広がりました。

一方で1992年の生産緑地法の改正では、一部自治体が指定した土地については、固定資産税が農地並みに軽減され、相続税の納税猶予が受けられる「生産緑地制度」が適用されました。この場合、生産緑地の所有者は建築物を建てるなどの行為が制限され、農地としての管理が求められました。

「生産緑地制度」が適用されたのは、主に東京23区、首都圏・近畿圏・中部圏内の政令指定都市です。生産緑地は原則として住宅が建設できる市街化区域内にあります。

市街化区域とは「すでに市街地を形成している区域」および「おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」であり、少なくとも「用途地域」が定められます。また、都市施設として少なくとも「道路」「公園」「下水道」が定められ、その整備が重点的に実施されるほか、土地区画整理事業や市街地再開発事業などによる面的な整備が進められるのも市街化区域です。

1992年の生産緑地法の改正の期限は30年後の2022年です。生産緑地の所有者は、この期限を迎えたとき、または所有者が病気などで農業に従事できなくなったり、死亡したりした場合、所有者は市区町村の農業委員会に土地の買い取り申請を行うことができます。

しかし市区町村が買い取らなかったり、生産緑地として買う人がいない場合には、この生産緑地制度は解除されます。これまで実績では、自治体の予算不足などの理由から買い取りの実績はほとんどありませんし、今後も期待はできないかと思われます。

その結果、固定資産税の金額が上がるため、多くの所有者は土地を維持できず、売りに出すしかなくなります。こうしたまとまった土地を購入できるのは、資金力のある大手の建売住宅関連企業やアパート建設会社、マンションディベロッパー等が予想されます。

2022年以降の土地事情

2022年以降に、生産緑地の大半が一気に住宅用地として市場に放出される可能性があります。このことは、東京23区、首都圏・近畿圏・中部圏内の政令指定都市に、多くの新築一戸建て住宅が建設できるようになることを意味します。マンションやアパートも建設できることになりますので、建設戸数は飛躍的に増大します。

大量の生産緑地が放出される可能性が高い2022年までに対応が遅れた自治体は、新築住宅の建設ラッシュという事態になることが予想されます。政府としても、都市農地の保全を強力に推進する方針を示していますが、どうなるかは全く不透明です。

資産価値の面からも、物件検討の際は、周辺の土地の活用状況や自治体の都市計画をよく把握しておく必要があります。

まとめ

生産緑地の大半が一気に住宅用地として市場に放出される可能性があることは、土地選びの選択肢が増えて、今よりも土地の価格が下がることが予想されます。これから家づくりを検討しているすまい手にとっては朗報かもしれません。

一方で、住み始めてからのその住宅の資産価値もそれに伴って目減りすることも想定されます。そのためには、土地の価格が下がりにくい立地を選び、将来的な売却までを考慮して、家づくりを行うことが必要です。

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HOUSEBASE 代表取締役 植村将志

住宅・建築分野におけるリアルな情報発信や、役立つコンテンツやサービスの提供、実務者向けのソリューションを通じて、すまい手やつくり手にとって納得のできる家づくりを目指しています。

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