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公開日:2017.03.28  /  最終更新日:2018.11.03

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省エネルギー住宅・ZEH

ZEHコラム No.6

省エネルギー住宅の重要アイテム!地中熱の活用法

地中熱という言葉も最近かなり使われるようになりました。
環境省も「地中熱利用のパンフレット」を出しています。
しかし「地中熱って一体何なの?」「住宅でうまく利用できるの?」と疑問だらけですよね。
でもこれはうまく使えばなかなか有効なのです。

省エネルギー住宅の重要アイテム!地中熱の活用法

 

地中熱:昔からの知恵

地中熱:昔からの知恵

地中熱は火山、温泉などのマグマの熱では有りません。地中5m程の深さの温度は一年中ほとんど一定で、その土地の年平均気温、東京近辺では約16度です。この安定した地中の温度を有効利用しようというのが地中熱利用です。

近頃はかなり社会的に認知されて来ましたが、以前は地中熱というと一体何の事という顔をされたものです。しかしこの地中熱、実は原始人の洞窟住居や縦穴住居など、昔から知られた知恵です。井戸水の温度、鍾乳洞の涼しさなどで体感できます。

 

地中5mは16度:その温度をどうやって利用する?

地中5mは16度:その温度をどうやって利用する?地表面では真夏は焼けるように暑く、真冬は凍るほど冷たくなります。しかし地中5mの深さでは一年中ほとんど温度が変わらないのは、5mの土が断熱材となって地表の寒暖の変化を和らげるからです。その温度はその場所の年平均気温、東京近辺なら16度前後です。この温度は、夏ならとても涼しいですし冬は外気に比べればかなり暖かく、上手く利用できればかなり省エネです。

しかし、5mの深さに地下室を作っても住宅としてはちょっと使えません。地上の建物にこの温度をうまく取り込めないものでしょうか。一般的なのは5mの深さまでパイプなどを張り巡らせてそこの温度を利用する方法ですが、5m掘るとなると工事費が高く、地下の深い部分のメンテナンスも心配です。多少効果は劣っても安いコストでメンテナンスの心配もないシンプルな方式は無いものでしょうか。

 

逆転の発想:これなら地中熱が使えます。

逆転の発想:これなら地中熱が使えます。その方法というのは「逆転の発想」とも言えるもの。16度の地中に温度を採りに行くのではなく、16度の温度部分を地表に持ってこようというものです。そもそもなぜ5mの深さは温度が一定なのか?それは5mの土が断熱材の役目をするからでした。ならその5mの土を高性能な断熱材に置き換えれば良いのではと考えました。

土の断熱性能は1mの厚さで断熱材の5センチ相当と言われていますから、5mの土は断熱材25センチと同じです。土を断熱材に置き換えてしまえば25センチの断熱材の下は地中5mと同じ16度!その断熱材の真ん中をこたつ布団のようにつまみ上げて空間を作り、そこを居住空間にすれば家の中まで16度が取り込めます。

 

実際はどんな感じ?:そこまで上手くはいきませんが。

実際はどんな感じ?:そこまで上手くはいきませんが。

実際には、断熱材の性能もむやみに上げることは出来ませんし、建物には窓やドアがあいていますから、どうしても外気温の影響は受けてしまいます。家の中では煮炊きもしますし、人の出入りもあります。ですので家の中がいつも16度という訳にはいきません。

実際には条件がよい場合で空調無しで冬に14度、夏は30度弱といったところが精一杯です。でもその位の温度がベースにあれば冷暖房の負荷はかなり減ります。ちょっとだけ冷房暖房をすれば省エネで快適な温度が実現できますね。

 

地中熱利用のポイント:これだけのことです。

地中熱利用のポイント:これだけのことです。

では、具体的に地中熱利用の住宅の構造はどこが違うのかというと、
・床下空間は室内:基礎を断熱し床下のコンクリートは断熱せず地面からの熱を受け取る。
・周辺地面からの熱の回り込みを防ぐため、スカート断熱という建物基礎周囲の断熱をする。
・建物全体の温度を均一にするための循環ダクトがある。(これは必須ではありません)

基本はそれだけです。したがって特別にコストもかかりません。メンテナンスの心配もいりません。ただし自然エネルギーを有効利用するため、無駄に熱が逃げたりしないように、建物の断熱性能は十分高い必要がありますし、パッシブデザインは必須です。十分な性能の建物ではじめて効果が発揮できます。

 

雑司が谷ZEHの地中熱利用

雑司が谷ZEHの地中熱利用

自邸である「雑司が谷ZEH」だけの特別なことはしていません。今まで手掛けてきた他の地中熱利用住宅と同じですが、地中熱をより効率よく利用するために次のような仕掛けがあります。
・床下空間は空気が良く循環するように出来るだけ障害物がないようにする。
地中熱を建物全体に効率よくまわすため、上下を結ぶ簡単な循環ダクトの設置。

循環ダクトはサーキュレーターの役目をします。特に3階建ての場合、上下の温度ムラを無くすのに効果的です。市販の換気扇とダクトを組み合わせたもので、25万円程度のコストが掛かっています。これで35坪ほどの住宅全体を床下にある10帖用のエアコン1台で暖房可能です。

 

まとめ

地中熱利用にはしっかりした断熱気密性能とパッシブデザインが前提ですが、ノウハウがあれば意外に簡単にできるものです。しかも、いくら使っても、地球からは請求書は来ません。
これを使わないのは「MOTTAINAI!!!」

 

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家づくりは人と人との信頼関係です。何よりも設計者と建築主とのコミュニケーションが大事だと思います。私たちの提案「パッシブデザイン・ゼロエネ住宅」「高い性能、使い勝手とコストのバランス」「庭づくり」に共感していただけるなら、いっしょに家づくりをしませんか。楽しい協同作業からは、大らかな空間を持つ素晴らしい住宅が生まれます。

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