100年住める「長期優良住宅」②認定要件は?
前回ご紹介したように、長持ちする家「長期優良住宅」には金銭面でも、エコロジー面でも大きなメリットがありました。しかし、そもそもどういう家が「長期優良住宅」として認定されるのでしょうか。認定に必要な条件を満たす家=長持ちする家の良いモデルととらえてご説明したいと思います。
「長期優良住宅」の認定要件
「長期優良住宅」は前回まとめたように、国が「この家は長持ちする良い住宅です!」と保証してくれる制度です。数世代にわたって使える丈夫な構造躯体、耐震性、間取りの変化などに対応する可変性などの条件を兼ね備えた住宅だけが認定されます。
この認定要件は非常によくまとまっており、その通りに自宅を設計していけば住宅ストックとして資産価値の高い家がしっかり建てられるようになっています。
具体的には
- 数世代にわたり、少なくとも100年程度使用できる構造躯体であること
- 耐震性があること
がまず求められます。
また、長持ちさせるためには
- 躯体(家の構造)よりも耐用年数が短い、内装や設備の維持管理がしやすいこと(設備配管を躯体に埋め込まないなど)
が必要です。
家自体だけが長持ちしてもそこに住まう人に合わせて変えることができなければ住み続けていくことはできないため、
- ライフスタイルの変化によって間取りの変更ができること
- 将来バリアフリー改修ができるよう、廊下などに必要なスペースが確保されていること
といった可変性も重要視されています。
その他住宅の機能面で、
- 断熱性能など省エネルギー性能が高いこと
- 景観や環境に配慮し良好な居住環境が維持・向上できること
なども求められます。
面積が一戸建てで75平方メートル、マンションなど共同住宅では55平方メートル以上あることや、建設時から将来に向けての定期的な点検・補修計画が考えられていることも必要です。
「長期優良住宅」はメンテナンスが重要!
認定を受けた後は、申請内容通りに建築することはもちろん、計画通りにメンテナンスを行っていくことが大切です。
とくに、長期優良住宅所有者には、法律に基づき、建築やメンテナンスの状況を記録し、保存しておく必要があります。
この記録があれば、メンテナンスを依頼する業者が変わってもスムーズに引き継げますし、売却する際にも住宅の性能や管理状況がわかるので安心です。
まとめ
30年ごとに新しい家を建て替えていく、という従来の日本の住宅に対する考え方は、結局時間、お金、資源の無駄につながってしまいました。
100年住める「長期優良住宅」は丈夫な躯体と、間取り変更が可能な可変性を持っています。これは以前コラムでご紹介した「スケルトン&インフィル」の考え方ともぴったり合っています。
家づくりにかけられる時間や資金は限られているもの。どこにリソースを割くべきか考えるのは何よりも大切なことです。
「長期優良住宅」や「スケルトン&インフィル」という具体例をもとに、家に対する優先順位について一度考えてみてはいかがでしょうか。
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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