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2017.05.08

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耐震住宅

木造は弱くてもよい? 構造の専門家も指摘する木造住宅の大きな闇

木造に関する法律や基準、そして構造設計、構造計算、プレカット、施工技術に関しては、様々な問題が残っており、解決されていないのが日本の家づくりの現状です。本当に安心、安全な木造住宅を建てるためにはプロの判断に任せず、すまい手として耐震性という名の「保険」をかける判断が必要になるのです。

木造は弱くてもよい? 構造の専門家も指摘する木造住宅の大きな闇

木造における「壁量規定」と「構造計算」の違いとは?

日本の家の多くが、平屋もしくは2階建ての木造住宅です。ごくごく一般的な2階建て以下の木造住宅の耐震性が保証されていないのが事実なのです。実はその問題、建築基準法と関連する規則による2つの「落とし穴」から発生しているのです。

第1の落とし穴は、2階建て以下の木造住宅には、十分な耐震性があることを裏づける「構造計算」ではなく、簡単な計算と仕様を守る「壁量規定」だけを義務づけていることです。

第2の落とし穴は、その「壁量規定」をクリアしたことを示す資料は、建物をつくる際に必要な「確認申請」の際に、「4号特例」という規則により提出を免除されていることです。

上記2点の問題点については、行政、設計や施工の実務者、大学等の研究者や、住宅紛争に詳しい弁護士などから、様々な意見が出ています。特に大学で「構造」を専門に研究している専門家からは、下記のような指摘があります。

  1. 「壁量規定」の要求性能が「構造計算」による必要耐力とは違うこと。許容応力度計算(構造計算)における必要耐力のほぼ4分の3しかない。
  2. 「壁量規定」による必要耐力は2階建ての1階だと重い屋根で「許容応力度計算(構造計算)」における必要耐力の0.72倍、軽い屋根でも0.80倍にしかならない。つまり、壁量の検討で建てられた住宅は他の「構造計算」した建物と同じ性能にはなっていない。
  3. 住宅性能表示の構造安定性の「耐震等級1」と「建築基準法の最低基準」は実は一致していない。また、国土交通省の資料ではレベル3は建築基準法の“1.5倍の壁量”と説明されているがこれもちょっと違う。壁量ならほぼ2倍あり、ここは“1.5倍の耐力”という表現が正しい。

つまり、「壁量規定」の基準を満たしても、「構造計算」を実施した際の基準を満たすことはできず、「木造は他の建築物よりも弱くてよい」と法律が認めていることになるのです。

木造で耐震性の高い建築をつくるために必要なこと

木造に関する法律や基準、そして構造設計、構造計算、プレカット、施工技術に関しては、様々な問題が残っています。木造の場合、「法律や基準を守っている=木造住宅の耐震性の確保」という図式にならないことが最大の問題点です。

実務を担う建築士のスキルやモラルも重要なのですが、設計や計算をきちんとやっても適当にやっても取り締まられることがないため、「ほとんどの建築士の方に悪気はない」状態で家づくりが行われているのが実態なのです。

木造で本当に耐震性の高い建築をつくるためには、「構造計画、構造設計、構造計算、プレカット精度、施工方法」がセットで実現しないと無理なのです。

木造住宅における構造計算とは、耐震性という名の「保険」をかけること

住宅をつくる上で構造計算は必須なのですが、木造住宅で構造計算をすることが義務化されていないため、すまい手にインセンティブはありません。唯一のメリットは、「家の安全性(耐震性)を科学的な根拠に基づき検証できる」ことです。

すまい手が木造住宅に構造計算を行うかどうかの判断は、「海外旅行保険」の考え方に近いと筆者は思っています。

  • 保険に入るのは、あくまでも任意(強制ではない)
  • 自分が望む補償に応じて、金額が変動する(コストが上がる)
  • クレジットカードに付帯する補償でよい(万全ではない)
  • トラブルがなければ、もったいない(地震はいつ来るかわからない)
  • 料金は意外と安い(耐震性を高くするための性能アップのコストは家全体の金額からすると微々たるもの)

エンドユーザーのお客様に家づくりをお伝えする立場として、お客様に相談を受けた際には、

住宅に耐震性という「保険」をつけるかどうかを確認しています。そして「保険」をかけることを希望するお客様には、下記のことをおすすめしています。

  1. 「構造計算」を必ず行う(壁量規定はNG)
  2. 「耐震等級3」を確保する(可能な限り耐震性を高めておく)
  3. 「金物工法」を採用する(つくり手の力量を問わない)

まとめ

丁寧にわかりやすく技術面やコストアップについてご説明させていただくと、ほとんどのお客様が、「保険」をかけることを選択していただいているのが事実です。

木造の構造計算の問題が本格的に議論され始めたのは約20年前からです。1995年の阪神大震災が契機でした。その後も、いろいろな災害がありました。

HOUSE BASEは、当たり前のように上記の1〜3を実践している「つくり手」の皆様と、しっかりネットワークを構築していきたいと考えています。

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HOUSEBASE 代表取締役 植村将志

HOUSEBASE 代表取締役 植村将志

住宅・建築分野におけるリアルな情報発信や、役立つコンテンツやサービスの提供、実務者向けのソリューションを通じて、すまい手やつくり手にとって納得のできる家づくりを目指しています。

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