家づくりを任せられる設計事務所は限られる!失敗しない設計事務所の選び方
こだわりの注文住宅を建てたいと考えた時、設計事務所に家づくりを依頼したいと考える方も多いのではないでしょうか?設計事務所は、何となく敷居が高いイメージもあり、どんな人なのかもホームページではわかりにくいかもしれません。実は家づくりを安心して任せられる設計事務所は限られているのです。このコラムでは、家づくりのパートナーとして頼りにできる設計事務所の選び方のポイントをお伝えします。
家づくりを任せられる設計事務所の条件とは?
筆者が考える家づくりを任せられる設計事務所とは、原則として下記の3つの条件を満たした設計事務所と考えています。
1.コミュニケーション能力
まず家づくりの主役が施主(お客様)であることを、きちんと認識していることです。 当たり前のような話ですが、意外とこの認識が薄い設計事務所が少なくないのです。すまい手に寄り添い、注文住宅という目に見えない高い買い物を行う気持ちの不安を和らげ、言葉にできない想いや要望を感じ取りつつ、プラスアルファの提案を行いながら設計をまとめ、現場監理を行うためには、経験に裏打ちされたコミュニケーション能力やアイデアの引き出しが重要になります。
2.設計監理能力
設計事務所として、家づくりの間取り、デザイン等の設計能力はもちろんのこと、建築関連法規や建材、工法に関する高い知識や、住宅としての性能確保のノウハウ等も必須となります。現場監理では、工務店と綿密なコミュニケーションを取りながら、設計で示した性能を確保できるように、高い見識を持って監理する必要があります。
3.実務能力
すまい手の予算と建設コストの調整や、設計から引渡しまでの全体的なスケジュールの管理等の能力です。特にコストコントロールは重要です。注文住宅を建てるすまい手の要望はとても多く、予算内で全ての要望を実現することが難しいからです。優秀な設計事務所は、すまい手との話し合いを通じて優先順位を明確にして、顧客満足度の高い家づくりと予算を合わせることを両立しています。家づくりは設計事務所単体では行えませんので、工務店や他の関連する会社との調整能力も必要になります。
家づくりを任せられる設計事務所が限られている理由
家づくりに関わる設計事務所(建築士)は、上記の画像のように分類されます。
カテゴリーA:アトリエ系
業界の中では、「アトリエ系」と呼ばれる設計事務所です。著名な建築家の設計事務所などで修行した後、独立して斬新な設計を得意とする設計事務所です。このアトリエ系の設計事務所は、トップである所長が有名な建築家であることが多いです。雑誌やテレビなどに登場する機会も多いです。建築系の学科のある大学などで、教鞭をとっている方もいます。
特徴としては、斬新な設計を得意としており、常に前衛的な姿勢で設計に取り組んでいます。注目を浴びる存在でもあることから、同業者である他の設計事務所との差別化も常に意識しています。独創的でオンリーワンのデザインや空間を求める場合に依頼されることが多いです。
注意する点としては、住宅がその建築家の「作品」になってしまう恐れがありますので、その点をふまえて相談する必要があります。また住宅以外の建築の設計を手がけることがメインの設計事務所が多く、必ずしも住宅の設計が得意というわけではないことです。
カテゴリーB:自社受注限定系
設計事務所として、自社で仕事を受注できる力がある設計事務所です。仕事の依頼は、雑誌掲載記事や自社WEBサイトからの問合せ、プロデュース会社からの紹介、過去のお客様や友人・知人の紹介などから発生しています。
注文住宅を設計事務所に設計監理を依頼する人のほとんどは、この「自社受注限定系」の設計事務所に依頼しています。理由としては、住宅の設計を主体にしていて実績も多く、自社WEBサイトも家づくりに特化して作成しており、すまい手としても存在を知りやすく家づくりを相談しやすいことにあります。
注意する点としては、注文住宅の設計者として必要な「コミュニケーション能力」、「設計監理能力」、「実務能力(コストやスケジュールの管理等)」の3点を兼ね備えた設計者は限られているということです。「設計は得意」という方は多いのですが、その他の点については能力や経験値、人柄の問題もあり、かなり個人差があります。
カテゴリーC:オールラウンダー系
設計事務所として、他の住宅会社や不動産関連の会社等の設計や申請業務を行いながら、自社単独の仕事もてがけている設計事務所です。30〜40歳代の比較的若手の設計者が独立して、いきなり自社単独の仕事を受注することは困難です。オールラウンダー系の設計事務所は、他社から依頼を受けた仕事を手掛けつつ、コツコツと実績を積み重ねて「自社受注限定系」の設計事務所を目指している会社がほとんどです。
このオールラウンダー系の設計事務所は、他社の仕事を多く経験していることもあり、コミュニケーション能力や実務能力が比較的高い傾向にあります。「アトリエ系」や「自社受注限定系」の設計事務所とは異なり、設計に対するスタンスも柔軟な設計者が多いため、すまい手が設計事務所と共に一緒に設計をまとめていきたい場合などはおすすめです。
カテゴリーD:外注系
設計事務所として自社単独の仕事は行わず、ハウスメーカーやパワービルダー、地域の工務店等から依頼される図面作成と確認申請等の業務に特化して活動している設計事務所です。設計監理というよりも業務として図面作成や申請業務に関する仕事をしており、注文住宅の設計監理を依頼する相手としては向いていません。
カテゴリーE:その他
建築士の免許を持ち設計事務所の登録はしているものの、設計事務所としての仕事ではなく、民間の審査機関や保証会社などに「検査員」として登録して、検査業務などを主たる業務にしている設計事務所です。
正確な統計データが存在しませんので、筆者の個人的な経験値でお伝えすると、住宅系の設計事務所の各カテゴリーにおける全体に対する割合は、下記となります。
- アトリエ系:1%
- 自社受注限定系:4%
- オールラウンダー系:15%
- 外注系、その他:80%
上記カテゴリーのうち、現実的に家づくりを任せられる設計事務所は、「自社受注限定系」「オールラウンダー系」のいずれかの設計事務所になります。その中で、「自分の設計スタイルや作風を訴求するよりも、お客様の満足度を重視する設計事務所」を選ぶことがポイントです。
まとめ
家づくりに関する価値観はさまざまですが、お客様に設計事務所を紹介する立場からお伝えすると、デザインや性能、機能面など設計者としての実力と、顧客満足度の高い家づくりサービスを両立できる設計事務所に依頼することを強くお勧めします。
家づくりを任せられる設計事務所に共通しているのは、「コミュニケーション能力」「設計監理能力」「実務能力」の3点を高いレベルで身につけている会社です。設計だけ上手にできる人は多いのですが、能力・経験・バランス感覚のある設計者は全体の3パーセント程度というのが筆者の実感です。
ハウス・ベース株式会社では、人柄が良く、実力・実績がある設計事務所の方を厳選してご紹介しています。設計事務所選びに悩んだら、お気軽にご相談ください。
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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