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2016.08.09

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「あなたにお願いしたい」という言葉が私のモチベーションです!

広島市安芸区と大阪市中央区に事務所を持ち設計活動を行っている「アトリエセッテン一級建築士事務所」。代表の進藤勝之(しんどう・かつゆき)氏は、2016年春より住まいを大阪から出身地である広島に家族と共に移し、活動の場を広げています。新たなスタートを切った進藤さんに家づくりの話を聞いてみました。

日本で一番新幹線に乗っている設計者かもしれません(笑)

私はもともと広島県の出身で、広島で暮らす両親の年齢的に近いうちに訪れるであろう健康や環境の変化のことを考え、両親が元気なうちに思い切って家族と共に地元に戻る決断をしました。就職したのも独立したのも大阪ですし、仕事も関西エリアを中心に動いていますので、たいへん悩みましたが、今まで3時間程度の移動は普通にしていましたので、大丈夫だろうと、思い切って決断しました。今は広島事務所を中心に、関西や他の地域へ、打合せや工事監理に向かう日々を過ごしています。もしかしたら、日本で一番新幹線に乗っている設計者かもしれませんね(笑)。

設計事務所開設という目標

広島事務所は自宅と併設、緑の中にある
広島事務所は自宅と併設、緑の中にある
生まれも育ちも広島で、大学を卒業するまで広島にいました。野球はもちろん「広島カープ」ファンです(笑)。社会人になって大阪に住むようになってからも、関西で行われる広島戦によく観戦に行っていました。

子供の頃から絵や図画工作が得意で、大学進学の際に建築学科を選びました。

大学4年生のときにゼミの先生の勧めもあり、日本を代表する建築家の一人である仙田満氏の設計事務所に、オープンデスク(学生が夏休みなどに設計事務所で仕事を体験すること)で受け入れてもらえることになり、東京に行きました。そこでの仕事は毎日が刺激的で、たくさんのことを学ばせていただきました。

仙田さんの設計事務所での刺激的な体験をすることで、いつかは自分も独立して設計事務所を開設するという目標ができました。仙田先生をはじめその時にお世話になったスタッフの方々には今でも本当に感謝しています。

サラリーマン時代の住宅リフォームの経験が大きな財産

たくさんのリフォーム相談の経験を設計に活かす
たくさんのリフォーム相談の経験を設計に活かす
大学卒業後、2つの設計事務所で建築設計業務の実務経験を積みました。住宅や公共建築、リゾート施設など様々な建物の設計を担当しました。担当する仕事にやりがいを感じる日々を過ごしながらも、心の中には常に「独立」という言葉があったと思います。

その後、独立する前に住宅のように直接お客様と関われる仕事を経験したいと思い、大手不動産会社に転職し、4年間、住宅リフォーム部門で仕事をしました。この4年間は自分の仕事に対する意識を大きく変えることになりました。具体的には、すべての仕事はお客様のニーズがあって成り立っているという事実を強く認識したことでした。設計事務所時代は、所長が仕事を受注してきた案件を担当者としてサポートしながら設計監理を行えばよかったわけですが、リフォームの仕事では私自身が相談や調査から、設計、見積り調整、工事など全体的に関わることになりました。何より多くのお客様と直接、接することになりましたので、お客様が本当に求めていること、プロとして丁寧に対応しなければならないこと、設計や工事に携わる人をうまくまとめることなどを、「住宅のリフォーム」という仕事を通じて経験することができました。以前勤めていた2つの設計事務所の経験と合わせて仕事の価値観となり、私の大きな財産だと思っています。

「愛着」がキーワード!リフォームが開く可能性

メーカー住宅の全面リフォーム。制約を受け入れることで可能性が見えてくる。
メーカー住宅の全面リフォーム。制約を受け入れることで可能性が見えてくる。
現在はリフォームやリノベーションに関心が高まっており、多種多様な選択肢がありますが、お客様がリフォームを選択する理由の根底には、「家そのものへの愛着」や「地域への愛着」が大きく作用しているのではないかと思います。家を金額や性能、スタイルなどの理由で判断する傾向が強まっている中、家族にとって今まで暮らしてきたかけがえのない家で暮らしたいという潜在的ニーズを大切にされていると感じています。前職から今まで、家の問題に関する相当数の相談を受けて、そしてたくさんの既存建物の調査や設計に関わらせていただきました。それらの経験によりリフォームにおける問題点を実感することができました。

問題点とは、「質」の問題です。この場合の「質」とは、ある程度の規模の会社になると、既存の状態との相性や適性を考えた材料や工法の選択肢が自社仕様に限定されているという問題、建材の規格寸法から決まってしまうプランの問題、「既存」という膨大な情報を整理し決定していく上でのコミュニケーションの取り方とその時間の無さです。

そうした問題点の解決を目指して、今まで蓄積してきたノウハウや経験を活かし、お客様の「愛着」という曖昧な想いを、既存の状況を読み取り、整理し、まとめ、プラスアルファを創造することで、お客様の思う「気持ちのいい居場所」を共に探していくことが私の役割だと考えています。

お客様に寄り添う設計者でありたい!

お客様に寄り添う設計者
家のカタチは十人十色
3社での実務経験を積み、念願の独立を果たしました。設計事務所として必要な実務経験は積んでいましたし、マーケティングなども勉強していましたが、いきなり仕事が舞い込むほど甘い世界ではありません(苦笑)。今だから言えることですが、事務所開設直後は、独立という目標を達成したということでなんとなく満たされてしまい「燃え尽き症候群」になってしまいました(笑)。

当然そんな状況ですぐに仕事があるわけではありませんので、とにかく人に会って話をするということにこだわり営業活動をしました。そんなある時「住宅展」というイベントに参加していた時のことです。

一人のお客様が直接リフォームの相談を持ちかけてこられました。「ハウスメーカー住宅をフレンチリゾート風」というものでした。独立をしたら新築住宅の設計がしたいと思っていた私は正直悩みましたが、せっかくのご縁でお客様と知り合うことができましたし、なにより「進藤さんに」と言って依頼をしてくれたお客様の力になれればと考えたのです。リフォームの仕事は前職での経験から自分の得意とする部分でもありましたので、お客様と打合せを重ね、工務店の協力もあり、完成したときに「あなたにお願いしてよかった」といってもらえた時の喜びは生涯忘れません。私が設計事務所の仕事をしている原点は、その時に経験したコミュニケーションとプロセスそしてその時できたエピソードにあると思います。

自分から言うことかどうかはわかりませんが、私が他の建築家と違って見えるところはリフォームの工事実績が多いというところがあるのかもしれません。

リフォームの仕事ではデザインや設計も大事なのですが、それ以上にコミュニケーション能力が求められると感じています。お客様の要望というものも、言葉にできていることだけではなく、言葉にはできていないけど心の中で漠然と考えていることなどが必ずあります。そうした顕在化してないニーズをうまく汲み取り、カタチや手段を提案し、工務店と協働して実現していくところが、リフォームの仕事の難しさであり、面白さでもあると考えています。

リフォームに取り組む場合、既存住宅の状態などにより、机上の計画案の通りには進みません。その難しい仕事を実現していくために、「考える力」を発揮する設計者と、「つくる力」を発揮する工務店という対等な立場での協働によるチームになる必要があると考えています。設計と施工の壁を越えたイコールパートナーを構築して、計画ごとにお客様と共にコミュニケーションをとりながら、最終的にはお客様も含めたパートナーシップを創り、リフォームを進めていく必要があると考えています。

一緒に仕事をしている工務店の社長からは、私の仕事に対するスタンスが他の建築家と違うということを言っていただいたこともあります。その工務店の社長曰く、建築家の中には設計事務所で数年修行してそのまま独立している人も多く、住宅リフォームの経験が少ない方がまだまだ多いとのこと。その点、私はそうした建築家と比較して、コミュニケーション能力も高いし、工事費に関するコスト感覚もあるということで、なかなかいないタイプの設計者だと施工者の立場から評価をいただき自信になりました。

こうした言葉をお客様や施工者からいただいたことで、自分が大切とする「お客様に寄り添うかたちでの家づくり」という姿勢を貫いていこうと思いました。リフォームが得意な設計者という立ち位置を明確にすることで、お客様からみても相談しやすい建築家を目指そうと考えるようになりました。

お客様の中にある「デザインエッセンス」を引き出す

お客様のデザインエッセンスがカタチになる喜び
お客様のデザインエッセンスがカタチになる喜び
私は自分の作風を前面に出していく設計スタイルではなく、お客様の情報から設計やデザインを決めていくスタイルです。お客様の要望に耳を傾けていると、空間やカタチを決めていくエッセンスのようなものが見えてくる瞬間があるのです。

例えば、子育て中のお客様からのリフォームの相談では、子供が遊ぶときにおもちゃなどで部屋が散らかるのは当たり前ですが、それを子供に注意して片付けさせるということよりも、「ここであれば好きに遊んでいいよ」と言えるような場を家の中につくってあげたほうがいいのではないかというアイデアから、間取りや空間が決まっていくこともありました。お客様ごとにライフスタイルや子育てなどの考え方は違うので、その考えを具体的な建築的アイデアに変換し、実現することで、お客様も「自分の考えがカタチになった」という愛着が生まれ、暮らしの満足度も高まると思うのです。

弊社のホームページでは「お施主様の声」というページをつくって、今までにご依頼いただいたお客様の感想を伝えさせていただいています。新築やリフォームと言っても、家族の数だけスタイルがありますので、ぜひ読んでいただきたいですね。設計事務所のウェブサイトというと事例写真を中心に掲載していることが多いのですが、私は文章も重視しています。一般の方が見てもわかりやすいウェブサイトを目指しています。

住まいを愛でる心の芽生えを大切に

お気に入りの家での暮らしが愛着をつくる
お気に入りの家での暮らしが愛着をつくる
現在は、新築の仕事も少しずつ増えていますが、リフォームの仕事の方がまだ多いですね。お客様からのご紹介や自社のウェブサイトからのお問い合わせからご相談を頂いたり、プロデュース会社のイベントに参加してご相談を頂くことが多いです。プロデュース会社との仕事では、各地域で活躍する新しい工務店との出会いもあります。工務店といってもいろいろな会社がありますが、「ものづくりが好きで前向きにコツコツと仕事をしてくれて、社長との距離が近い会社」とは相性が良いと思っています。そうした工務店をお客様にも勧めるようにしています。

これからは広島での仕事も徐々に増えてくると思いますので、広島の工務店ともお互いに敬意を払いながら良い関係をつくっていきたいですね。広島でも今までと変わらず、私なりの家づくりのスタイルを伝えていきたいです。

この仕事をしていて感じていることは、家のこと(リフォーム、建て替え、新築など)を考え始めた時に、客観的な視点で相談できる相手が少ないということです。工事を請け負わない建築家だからこそできるセカンドオピニオン的な立場になれるのではないかと思っています。

今までのお客様との出会いを通じて、愛着のこもった家は住み継がれていくことを実感しています。家づくりのプロセスで生まれた住まいに対する愛着をすまい手が持てば、それを家族で分かち合いながら暮らしていくことになり、その家で育つ子供たちに「住まいを愛でる」という心が芽生え、手を加えながら次の世代に家を残していくということになると思います。これからも、お客様とのコミュニケーションを大切にした愛のある家づくりを実践していきたいですね。

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HOUSEBASE 代表取締役 植村将志

HOUSEBASE 代表取締役 植村将志

住宅・建築分野におけるリアルな情報発信や、役立つコンテンツやサービスの提供、実務者向けのソリューションを通じて、すまい手やつくり手にとって納得のできる家づくりを目指しています。

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