公開日:2016.03.31 / 最終更新日:2018.11.03
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つくり手が自ら実践する、ゆとりあるライフスタイル
松田さんのネパール時代の仕事や生活、生空感を設立するまでのいきさつに続き、この中編では松田さんの自邸兼事務所で実現されている、生空感の家づくりのコンセプト「食・浴・視・寝 住宅」について話をうかがいました。
生空感の松田さんに、家づくりについて聞いてみる。
松田さんは、地元であるつくばへの愛着が深く、この場所に根ざして建築設計の仕事をしている。
「つくばの、住民が街を新しくつくっていく感じが好きだったのです。今もまだ続いている部分もありますし」
多くの研究機関が集まるつくばには、日本中あるいは世界中から人が集まってきた。そうした多様性もこの街を好きになった理由のようだ。
松田さんは、地元でいろいろな建築を手がけながら、数年前に自宅兼事務所も建てた。
松田さんの家族が暮らす住宅と、事務所棟は隣接して建てられ、事務所のスタッフも家族のような関係性で仕事をしている。取材中に事務所にいても、アットホームな雰囲気が強く感じられる。
「敷地は、お花見の名所としても人気のある「福岡堰さくら公園」の近くです。この場所は、交通の利便性も良いところです」
「家を建てたいと思い、土地を探しました。この土地と出会うのに数年かかりました(笑)」
設計事務所に設計を依頼する場合に、大切なことがある。
土地から探して家づくりをする場合、土地を選んでから設計を依頼するのではなく、土地探しの段階から信頼できる設計者に相談したほうがよいことだ。設計者は土地の情報と施主の要望を検証し、その土地が購入するのにふさわしいかどうかの助言を迅速に行うことができる。
「土地を決める前から、気軽に相談してほしいですね」
設計者である松田さんも、場所の問題もあるが、自分たち家族が暮らす家について、具体的なイメージがあったようだ。そのイメージが叶えられる土地と出会うために、いろいろ探していたらしい。
設計者の自邸は、家に対する設計者の考えが表現されており、モデルハウスのような役割を持つ。この家を見学させてもらえると、生空感の家づくりが体感できるかと思い、松田さんの自宅も見学させてもらった。
「「食・浴・視・寝 住宅」のコンセプトに基づいて設計しました。」
平面形状は長方形で、2階建てとなっており、南側は全面LDKの空間。
「まずは食べる・視る空間の中心にオープンキッチンを設け、外部のウッドデッキに面して大開口をとり、アウトリビングも楽しめるようにしました」
木の構造材のあらわしなど温かみのある雰囲気と、蒔ストーブが設置されており、明るく開放的な空間構成になっている。
「浴室は光庭に面した場所に設けています」
「寝る場所である寝室は2階に設けられており、外から視線が届かない空間ですが、吹抜けを通して家そのものが一室空間になるようにしました」
「内装には吸着効果や通気性の高い安全素材をDIYで仕上げています」
これからの時代に必須なパッシブデザインも実践されている。
「夏には深い庇や大きな窓が、冬には太陽熱を蓄える床などが、暑さ・寒さを和らげてくれるようにしました」
なるべく地元の建材を使い、地元の大工さん・職人さんと協働してつくったらしい。設計コンセプトも造り方も、家の地産地消モデルとなっている。
家の外部は、敷地が広いこともあり、とても豊かだ。
縁側のようなウッドデッキが大きく敷かれ、植物も多く植えられている。
畑もあり、いろいろな野菜をつくっているそうだ。
自然素材を活かす設計による住宅と、自然を感じられる外部空間。
松田さん夫婦が実践するゆとりあるライフスタイルが、生空感のつくる家につながっている。
生空感の「つくり手が自ら実践する、ゆとりあるライフスタイル」はここまでです。
次回は、「家のつくり手が考えるこれからの家づくり」をお伝えします。
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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