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公開日:2016.04.11  /  最終更新日:2018.11.03

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住宅ローン家づくりと費用

家を買うのはちょっと待って!
これだけは考えてから家選びを

あなたはなぜ家を買いたいのですか?……そう聞くと、「いつかは自分の家を買いたいと思っていたから」と答える人は多いでしょう。でもその「夢」だけでは、家の購入と同時に「負債」が重く肩にのしかかった人生に転じかねません!
家を買う決断をする前に、「資産価値はあるか」「値下がりしにくい立地か」「相続する不動産の有無」をよく考えましょう。

家を買うのはちょっと待って!

「資産価値はあるか」——日本の住宅価格は下落の一方!

住宅価格が下落の一途をたどっている日本において、これから家を買うなら資産価値のある家に限ります。資産価値のある家とはズバリ、時代や住む人が変わっても対応できる、超寿命で可変性の高い家なのです。

国土交通省の「国土の長期展望(中間とりまとめ)」によると、2050年の日本の人口は推計9,515万人で、2004年のピーク時に比べて3千万人も減少することが予測されています。これは高度経済成長期の1960年代と同じくらいの値。これだけ人口が減少するのですから、仮に新築住宅が増えなかったとしても、不動産は余ることが想像できます。

空き家軒数の増加はすでに始まっていますが、2013年時点の空き家は全国で約820万戸(空き家率13.5%)。研究によると、2033年には約2,150万戸になることが推計されています。空き家率はなんと30%!3軒に1軒近くが空き家という事態に陥るかもしれないのです。

▼ 空き家数、空き家率の実績値と予測値
空き家数、空き家率の実績値と予測値

さらに、シンガポール国立大学不動産研究センターの清水千弘教授は、日本の住宅価格は2040年までに、2010年と比べて46%も下落すると推測しています。かなり衝撃的な数字ですね。 研究所や専門家がこのような先行きを示している中、「自分は本当に家を買うべきかどうか」を、今一度考えてみてください。

たとえば、子どもが産まれて家族が増えたことをきっかけに、賃貸から一戸建て住宅やマンションの購入を考える人は多いですが、産まれたばかりの子どもも20年もすれば独立を考えるでしょう。

それまでの期間のニーズのために、35年返済の住宅ローンを組む必要はあるでしょうか?

返済が終わる35年後には、不動産市場が現時点では想像もつかないような状況になっている可能性もあるのです。不動産の値下がりリスクをしっかりと視野に入れておきましょう。

それでも家を購入するという決断に踏み切ったなら、今の住環境の改善ばかりを考えるのではなく、家族のライフステージや住人構成の変化があったとしても、変わらずに住み続けられるような家づくりが必要。高い性能や可変性、ずっと住みたいと思うような美しいデザインを実現してこそ、長寿命で価値ある家づくりができるのです。

「値下がりしにくい立地か」——住む街によってはリスクを負うことも!

前の項でお話ししたように、今後の住宅価格の下落は避けられません。そんな中でも、「値下がりしにくい立地条件」である、利便性のいい場所や人口が減りにくいエリアを選べば、リスクを抑えることができます。

購入する家の場所を決めるには、自分の産まれ育った街、通勤・通学に便利な場所、住環境が整っている街など、いろいろな選択肢があります。どれが正解というわけではありませんが、国土の狭い日本では、立地条件が家の評価額を決める大きなポイント。値下がりしにくい立地の特徴には、次の4つが挙げられます。

●都市の中心部に近い

地方都市であれば、中心部まで徒歩または自転車で移動できる範囲内がベストです。電車移動のエリアでも、都市の中心部に近い駅周辺ほど値下がりしにくいと考えられます。

●公共交通機関へのアクセスがいい

電車や地下鉄などの交通環境が整備されている街で、駅に近い立地ほど有利です。交通機関では、特急や急行が止まる駅の近くが一番。次いで各駅停車の電車の駅、路線バスのバス停近くの順です。ただし、地方の場合は、駅やバス停よりも都市の中心部に近いほうが好まれる傾向にあります。

●土地の価格や賃料が高い

高級住宅地エリアや商業エリアなどの、もともと平均的に賃料が高い場所は、ほかと比較すると年数が経っても売却時の価格が下がりにくいことが、統計からわかっています。

●「立地適正化計画」に該当する街

2014年に改正された「都市再生特別措置法」に基づく「立地適正化計画」の動向に注目するのもひとつのポイントに。簡単に言うと、該当する街で「居住誘導区域」の中に住宅を集めようという政府の計画です。将来的には居住誘導区域内に人口が集中するため、このエリアの家は値下がりしにくいと考えられます。

家を購入する場所選びには、これらの立地条件を考慮するようにしましょう。

「相続する不動産の有無」——家を買うと損になる可能性が!

家を買うことと相続には、意外な関係があります。特にあなたが一人っ子の場合、ご両親が家を所有しているなら、新しく買うのは待ったほうがいいかもしれません。

家の購入を考える人が多い30〜40代の場合、ご両親は60〜70代が多く、まだまだお元気でしょう。ご両親が住んでいる家の相続について話し合わないまま、新しい家を購入してしまうパターンが多く見受けられます。

でも、子どもに持ち家がない場合に限って、親の家を相続する際に受けられる「小規模宅地等の特例」というものがあるのをご存じでしょうか?

これは、面積330平方メートルまでであれば、親が所有している家の土地の評価額を8割減らすことができるというもの。 相続税の節約にはもってこいの特例なのです。

これを知らずに新しい家を買ってしまうと、住宅ローンの上に相続税がのしかかり、せっかく受け継いだご両親の土地を売らなくてはならないことになりかねません。土地を売って譲渡益が出れば、さらに譲渡所得税もかかってしまいます。特にご両親の家が相続評価額の高いエリアにある場合は、よく考えるべきでしょう。

家を購入する前に、このようなリアルな情報を知り、家族と話し合って検討することが大切。これがクリアできれば、いよいよ家づくりのスタートです。家を持つことは目的ではなく、楽しく快適に暮らすための手段。その家で、その地域でどう暮らしたいかというゴールをイメージして、一歩一歩、進んでいきましょう。

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HOUSEBASE 代表取締役 植村将志

住宅・建築分野におけるリアルな情報発信や、役立つコンテンツやサービスの提供、実務者向けのソリューションを通じて、すまい手やつくり手にとって納得のできる家づくりを目指しています。

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