建築家選び8つのポイント⑦本音でお金の話ができるか?
良い建築家を見極める8つのポイントをお伝えしている連載もいよいよ終盤。
今回は家づくりで避けられない「お金の話」。
ここで逃げずに、「誠実に」かつ「現実的に」応えてくれる建築家なら、ひとまず安心。いい人と出会って、家づくりの長い旅に出かけましょう!
【ポイント7】本音でお金の話ができるか?
家づくりの「お金の話」は頭が痛い問題です。
やりたいことがすべてできるわけではありません。
要望と予算を微調整して折り合いがつくならいいのですが、例えば予算が大幅に足りない時に、建築家が「何とかしましょう、一緒にがんばりましょう!」と精神論で励ましてきたらどうでしょう? うれしいですか?
でもそこで、運命の相手だ!と舞い上がり設計を依頼する…というのは絶対にダメです!
精神論ではなく、「建築場所を検討し直して土地購入費を抑える」「家の面積を動線でフォロー、小さくても希望に沿うように」など、コストを圧縮するための引き出しをいろいろと見せてくれる人が信頼できる建築家です。
また、建築家は、家づくりにかかるすべての費用を把握しているものです。
建築家、工務店、不動産会社と支払先は異なっても、家づくりに関わる費用はすべて設計に関係しているからです。
また、経験豊富な建築家は話している中で、施主がどういうタイプかを判断しています。
打ち合わせを重ねるごとに要望が増え、コストが膨れ上がる可能性も予測できています。
それが「設計者の勘」というもの。
理想をすべて実現するにはお金が足りない…という事実に直面したときに、すまい手の意気込みをクールダウンさせるような「マイナス」を、包み隠さず正直に本音で話してくれるかどうか。
それを見極めてください。
【方法】
まず、自分の家づくりにかけられる全体予算を把握しましょう。
用意できる自己資金と、住宅ローンで借りてもよい金額(借りられる上限いっぱい、ではありません)を想定することで、予算は自ずと決まります。
次に建築家との家づくりにかかるお金の配分をざっくり考えます。
建築家との家づくりのお金は、大きく分けて以下の4つです。
- 「土地購入費」 ※土地を購入しない場合は不要
- 「設計監理料」建築家に支払う。建築工事費の10%程度
- 「建築工事費」工務店に支払う。家本体+付帯工事の代金。
- 「諸費用」各種申請費用、住宅ローン関連費用、引っ越し代などその他すべて。建築工事費の10%程度
※家づくりのお金について詳しくは→「家づくり費用は「坪単価」では出せない! 「建築工事費」徹底解説」
建築家には早い段階で2だけではなく1~4のすべてを相談します。
建築家に財布の中身を晒すことに抵抗があっても、まずは「理想と現実の折り合い」をつける目的があります。
家づくりにかけられる金額と家についての要望を建築家に伝え「その金額で実現できるか否か」を判断してもらってください。
この相談時の答えが「精神論」か、「具体案」または「厳しい言葉」なのかで建築家の誠実さがわかるわけです。
まとめ
施主にお金の話を正直に伝えると、建築家は仕事を受注できないリスクがあります。
それでも現実を伝えてくれるのは誠実だからです。
家づくりは自分の財産をかけた一大事業ですから、資金計画が成立しないのであれば仕切り直す勇気も必要です。
それをはっきり知らせてくれる建築家は良い建築家だと思います。
次回は最後のポイント、「建築家の自邸」について。お楽しみに!
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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