家づくりの現場に行ったら必ずチェック!構造見学会でわかること
新聞の折り込みチラシや、インターネット・SNS広告等で、地元の住宅会社による構造見学会というイベントの案内を見ることがあると思います。または既に相談に行ったことのある設計事務所や工務店から「構造見学会のご案内」が来ることもあるでしょう。このコラムでは、家づくりを検討中の方が、構造見学会でここだけは必ず見ておきたいチェックポイントについてお伝えします。
1.現場がきちんと清掃されているか、お客様を案内するための安全対策がされているか
見学会はお客様に見せるために開催するイベントですので、基本的には掃除や整理整頓はされていると思います。見学会を開催する工務店は、現場監督や大工さんに掃除や準備を指示すると思いますが、「お客様をお招きする」ということに鈍感な担当者ですと、準備に不備があることがあります。
わかりやすいのは、現場でのお客様に対する「安全対策」です。構造見学会の段階では階段がついていないことが多いので、はしごで昇降することが多いのですが、はしごが動かないように固定されていたりするかなどの配慮がなされているかを確認しましょう。2階に上がった際には、階段や吹き抜けの部分は床の合板が貼られていないので、落下防止用の対策がされているかどうかも大切です。
2.家の基礎をチェックする
基礎の立ち上がり(地面から外壁までの間にあるコンクリート)に、目立つようなヒビ(髪の毛ほどのものであればそれほど目くじらを立てる必要はありません)が見つかれば、コンクリートと水の配合方法や、養生期間(コンクリートが硬化するまでの間に急激な乾きや寒さ、あるいは雨風から守る期間)に問題があった可能性があります。
そうしたヒビを見つけた際には、現場で案内している工務店の担当者に、さりげなく「基礎にヒビがありますね」と質問してみてください。大きなヒビにもかかわらず、基礎の施工方法の手順やコンクリートの性質などの説明をすることなく、「コンクリートにヒビは入るものです」と答えるようでしたら注意しましょう。
コンクリートを全くヒビなく打設することは現実的には難しいのですが、建築基準法や各種基準を遵守しつつ、配合と打設と養生をきちんと行えば、構造的に問題のないコンクリートの基礎をつくることができます。あくまでも「施工」と「管理」の問題です。
3.構造躯体の見るべきポイント
戸建て住宅はほとんど「木造」の建物が多いと思いますので、ここでは木造住宅の構造躯体のチェックポイントについてお伝えします。
筋かいに専用の金具がちゃんと付いているか
柱と梁のほかに、耐震性をあげるために「筋かい」という斜め材を配置します。その筋かいは、専用の金具で取り付けるのが一般的になっています。筋かいを入れてあるだけでは、耐力壁の要素としては圧縮側に効くだけで引っ張りには効果が少ないため、半減します。少なくとも金具が付いていれば多少つけ方が違っていてもある程度の効果は見込めると思いますので、有無を見るだけでもよいと思います。案内してくれる人が工務店の社長や現場監督の場合には、なぜこの場所にこの金物を使っているのかなど質問してみるのもよいでしょう。
構造用合板の釘が打ち抜かれていないか
筋かいがない場合は、耐力壁を構造用合板で確保しています。この合板を打ち込んでいるほとんどの釘が合板を打ち抜いてしまっているようであれば、その壁の耐力は半減しますので、構造耐力の低下を見過ごしていることになります。これは大工さんの意識、技術と、現場監督の管理不足です。
まとめ
家の構造躯体は、耐震性を確保するために最も重要な部分です。その内容がわかる構造見学会には必ず参加するようにしましょう。構造見学会を開催する工務店は、「構造にこだわりがある会社」という見方もできます。家が完成してからは仕上材に隠れて見ることのできない構造躯体を確認しておくことは、失敗しない家づくりの必須事項です。
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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