公開日:2019.11.27
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「2030年の世界地図帳」落合陽一・著を読んで
「2030年の世界地図帳」落合陽一・著を読みました
「2030年の世界地図帳」落合陽一・著(SBクリエイティブ)を読みました。
落合陽一さんは、ここで説明する必要もないほど、大活躍中の人です。
NewsPicksの「weekly OCHIAI」も毎週見ています。
特に先日の「禅・マインドフルネスを考える」はとても勉強になりました。
「2030年の世界地図帳」では、世界の人口推移、覇権の推移、テクノロジー、貧困、環境問題といったあらゆる視点で、これからの世界地図がどうなるのかがまとめてられています。
人工増減率やGDP成長率、貧困率等の各種統計を用いながら、世界の問題と日本の相対的地位の推移、課題と解決策を論じられています。
マクロな視点でデータとファクトを知るためにはとても良い本だと思いました。
「2030年の世界地図帳」が示すコンセプトと論考
本のベースは、SDGs、デジタル化、グローバル化、格差問題について書かれています。
「デジタル発酵」という新しいコンセプトも示されています。
「発酵」とは、<ある限られた領域の中で無秩序に混ざり合う内向きの力>のことですが、これがデジタルで起こった場合、何が生まれてくるのか。
閉塞感のある日本に、希望をもたらす論考が示されています。
「2030年の世界地図帳」の対談記事
二人のトップランナーと落合さんのそれぞれの対談記事も掲載されています。
<今、とても注目されている気鋭の経済学者である安田洋祐氏との対談>
それまでは先進国内の「高度な技術力」と「高価な労働力」によって製造されていた商品が、「高度な技術力」と「安価な労働力」を組み合わせたことで、より競争力を得たんです。多国籍化した企業が新興国にガンガン工場を作ってシェアを拡大していく。このコンビネーションは最強です。(安田洋祐氏のコメント)
<池上彰氏との対談>
これから台頭するアフリカについて、『アフリカビジネス入門』を著書に持つ池上彰さんと語る対談も面白かったです。
「2030年の世界地図帳」のポイント
個人的に印象的だったことを、以下に抜粋します。
・さまざまなテクノロジーが、その土地に根付いたモノやサービスと掛け合わされることで、新たな魅力と価値が現れてくる。それは、じめじめして朽ちかけた場所から生えてくる「新しい芽」のようなもので、一見奇妙に見えていても、そのユニークさにおいて外部に開放された、新しいローカリズムのあり方を示している。
・2016年から2030年(予測)の成長率予測は、1位インド 2位ベトナム、3位バングラデシュ
・アフリカ最大のナイジェリアの人口は、2030年には2億6000万人、2050年には約4億人にまで増加し、米国を抜いて世界3位になると予測
・知的生産の分野もリモートワークや、自動翻訳などの恩恵による安価なローカライゼーションができるとなると、国内コンテンツが、世界のトップに席巻される可能性もあり。
・社会や産業のソフトウェア化によって限界費用がゼロに近づくと、やがてその矛先はエネルギー産業へと向かうかもしれない。なぜなら、無料で提供されているソフトやサービスの限界費用をさらに下げようとすれば、コンピュータやデータセンターの電力コストの削減に行き着くから。
「2030年の世界地図帳」を読んだ感想
落合さんは、本の最後に
「視座を俯瞰し、対立軸の中で自分を固定せず、弾力的に捉えていくこと、それは我々の社会が次の可能性を見出すために不可欠なことだと私は信じています。」
と書かれています。
最新の議論、固有名詞がいろいろと登場し、まさに来年以降、問題となってくるポイントがズバリ示されています。
延命措置が限界を迎える今後の日本で、どう生きるか、どう働くか、たくさんヒントが詰まった一冊でした。
ぜひこれからの若い人に読んでもらいたいと思いました。
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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