公開日:2019.02.05
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再構祭「建築と法」建築再構企画様の5周年を記念したイベントに参加
建築再構企画様主催の再構祭「建築と法 」 に参加
建築再構企画様の5周年を記念したイベントに参加しました。
主催者の佐久間さんの、いつもの独特なゆるーいトークで始まりました(笑)。
まずは検査済証の取得率が低い現状が、改修工事や用途変更を遵法で行う場合の大きな障害になっているという問題提起から始まりました。
最初の事例として、京都で事務所ビルをホテルに用途変更したプロジェクトを説明してもらいました。
佐久間さんのスタンスとして、デザインはせずに、法規や事業計画全般の専門家として、プロジェクトに関わられています。
弁護士の水野佑さんのプレゼンテーション
シティライツ法律事務所の水野さんの話です。
「法のデザイン 」という著書の案内もありました。
「ルーヴィス」様のカリアゲなどの法務サポートもされているそうです。
建築のリーガルデザインも、いろいろと手掛けられているそうです。
新たな気づきを頂いたのは、モビリティとリーガルデザインに置いて、モビリティ社会が始まると都市計画や不動産も当然変わるという話です。
建築という重いものを、需給に応じて、役割を変えていくような活動に興味があるそうです。
佐久間さんの著書も高く評価されており、敵対型ではなく協調型の行政との協議スタンスが素晴らしいとのことでした。
元国土交通省の佐々木晶二さんのプレゼンテーション
佐々木さんは、東大法学部出身で旧建設省、国土交通省の元官僚です。
退官後は、3つのミッションに取り組んでいるそうです。
国による法律改正は、いろいろな要素が絡み合い、とても難しいという本音の話を聞くことができました。
リアル過ぎてブログには書けませんが、とても面白かったです。
建築基準法の改正や関連する法律の話をわかりやすく解説していただきました。
行政のトップで働いてきた人の視点や情報は、とても貴重で勉強になりました。
再生建築研究所の神本豊秋さんのプレゼンテーション
神本さんは、建築の不可能を可能に、をテーマに建築の調査、企画、設計、運営に関するサービスを提供されています。
「ミナガワビレッジ」の紹介もありました。表参道ヒルズの裏に建つ古い共同住宅のリノベーションのプロジェクトです。
東急電鉄様とのコラボレーションです。神本さんのオフィスもここにあるそうです。場の運営者として、建物全体の管理もされているそうです。
ネガティブがポジティブに変わる瞬間をデザインしたいという素敵な言葉もありました。
出演者によるフリートーク
最後に、佐久間さん司会で、いろいろなテーマについてフリートークがありました。
既存の法律とルールの中で解決策を模索するアプローチと、新たなルールを作ることで突破口を見つけるアプローチの比較など、実務者同士の考えを聞くことができ、とても考えさせられました。
それぞれの法律が持つ主旨を考えると、いろいろな可能性があるとのことでした。
例えば容積率の主旨は、エリアのルールを定める話であり、単純なボリュームの話ではないとのことでした。
都市計画が硬直的になってることも、問題視されていました。
近年、建築家が都市を語らなくなりましたが、最近ではコンバージョンやリノベーションにより、建築家が都市の仕組みを一緒に考えて実践する人たちも増えてきました。
建築家がアドバイザーとして知見を活かしながら、床を作って終わりではなく、床を使って何ができるかを提案できるようになるとよいのではないかという提言もありました。
建築基準法は新築前提で作られた法律です。佐久間さん曰く、時系列の話に対応できないことが大きな課題ではないかという問題提起もありました。
現実的な課題として建築と不動産と金融のあいだも、なかなかコンセンサスが得られないという話もありました。
「再生建築基準法」のような新しい法律をつくる必要もあるのではないかというアイデアもありました。
建物の法律家、さまざまな活動を展開する弁護士、元官僚、建築の調査から運営まで手がける建築家による多様な話を聞くことができました。
素晴らしいイベントを開催してくれた、建築再構企画の佐久間さん、ありがとうございました!
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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