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公開日:2019.11.11  /  最終更新日:2019.11.12

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改正民法の衝撃!住宅会社の建築工事請負契約書、約款の見直しが必須に

改正民法への備えを!建築工事請負契約書、約款の見直しが必須に

企業や消費者の契約ルールを定める債権関係規定(債権法)に関する改正民法が2020年4月1日に施行されることが決定しています。

この改正民法により契約重視に大きくかじが切られ、「契約不適合」が生じた場合の住宅会社の責任は今まで以上に重くなりますので、改正法が施行するまでに契約書や約款などを見直していく必要があります。

最近、お付き合いのある工務店様にお会いした時に必ず聞くことは、

「弁護士などの専門家に相談して、改正民法に備えて建築工事請負契約書、約款の見直しを進めていますか?」

という質問です。

見識が高く、優良な工務店は、すでに顧問弁護士の指導などにより、建築工事請負契約書、約款の見直しを進めています。加えて、社員への周知徹底も同時に行なっています。

 

改正民法で杞憂していること

今回の改正民法は、契約重視、消費者保護の観点からは、大きな変革の第一歩になると思われます。

難しいと感じているのは、住宅は人間がつくるものである以上、「100点満点」は不可能ということです。

あえて極端な言い方をすると、

つくり手が実力と知見を最大限駆使して設計・施工した住宅でも、

すまい手から「契約と違う!」と思われてしまえば、

訴訟リスクなどを抱えるということです。

 

個人的に懸念していることは、

一部の悪質なすまい手(つくり手への敬意を著しく欠く人、何らかの理由でそのように変化してしまった人など)が、

優良なつくり手(勉強熱心で知見も高く、実力、実績のある優秀な工務店など)を、

何らかの些細な設計・施工の不備などを理由に、改正民法を盾にした訴訟などにより、つくり手を追い詰めることです。

(つくり手側に問題がある場合は論外ですが・・・。)

 

優良なつくり手でも、このようなことが起きれば、精神的にも疲弊します。

経営リスクにもなり、最悪の場合は、倒産や廃業もありえます。

ただでさえ、事業承継が難しい事業分野であることに加えて、

仕事のやりがいや誇りを奪われるようなことが続くと、

自ら廃業を選択する経営者も増えると思われます。

こうなってしまうと、住宅業界全体の負のスパイラルにつながります。

 

そのようなことにならないようにするには、最低でも下記のような備えが必要になるかと思われます。

(私が工務店の経営者なら最低限実施すること)

・改正民法に備えて建築工事請負契約書、約款の見直しを行なう

・施主との契約内容(約束すること)を基に、自社の仕事内容やフローを見直す

・仕事のチェックリストを整備するなどして、ミスを徹底的に防ぐ体制をつくる

・自社が提供する住宅の性能(耐震性、温熱環境など)を明確にした上で正しく実践する

・今まで以上に施主と良好な関係を構築できるようにサービスを磨く

・現場の管理や検査を厳格化する

 

この改正民法により、住宅会社は、

「契約内容に合致した欠陥のない目的物を給付する義務がある」

とされ、契約書の内容に合致していない場合、追完や代金減額、損害賠償、契約解除を施主から請求される可能性が出てきます。

 

ハウス・ベース株式会社では改正民法のセミナーをすでに開催済み

ハウス・ベース株式会社では、2018年3月に住宅関連分野にとても詳しい弁護士の先生を講師にお招きして、関連セミナーを開催しました。

<そのセミナーで主にお伝えしたこと>

住宅・建築分野に関連する従来の民法の在り方、民法改正の全体像

民法改正が、実務・法務に与える影響、改正から浮かび上がる民法改正後のリスクや課題

契約社会を生き残るために自社に最良の契約書等を整備していくには

 

改正民法への対応次第で住宅会社は大きな経営リスクを抱える

これまでは瑕疵担保保険に入っていれば、引き渡し後10年間の施工時の不良は保険で対応する程度の認識で良かったと思いますが、今後の契約はそれでは上手くいかなくなります。

実際の工事に瑕疵があった場合は、仮に20年後であってもお客様から補修を要求される可能性が出てきます。

例えば構造に関する部分だとすると、多額の費用が発生します。

アフターメンテナンス対応というより、経営リスクになります。

 

そのようなリスクを回避するためには、契約書、約款などを作り替えないといけません。

参考図書は、住宅業界で著名な匠総合法律事務所の秋野卓生弁護士の書籍である
『改正民法対応 住宅会社のための建築工事請負契約約款モデル条項の解説』
です。

 

間接的に影響が出てくるのが、住宅系の設計事務所かと思っています。

工務店側は、改正民法による経営リスクを考えた時に、設計事務所案件の施主や設計内容などを今まで以上にシビアに判断せざるをえないと予想されます。

明らかにトラブルが予想される案件については、相談も見積りも対応しないという判断も生まれます。

 

住宅会社にとっては、本当に大変な時代に突入しました・・・。

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HOUSEBASE 代表取締役 植村将志

住宅・建築分野におけるリアルな情報発信や、役立つコンテンツやサービスの提供、実務者向けのソリューションを通じて、すまい手やつくり手にとって納得のできる家づくりを目指しています。

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