公開日:2019.10.30
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新建ハウジング様主催の工務店ダイアローグに参加
工務店ダイアローグに参加
新建ハウジング様主催の「工務店ダイアローグ」に参加しました。
新建ハウジング様の編集長が一押し工務店を選び、
第一部はそのゲストの講演、
第二部に取材するようにインタビューする、
企画です。
工務店レクチャー:パッシオパッシブ佐藤氏の講演
講師は、株式会社パッシオパッシブ代表取締役の佐藤大治氏です。
テーマは、「地域工務店の市場戦略と「かたまり=森」としてブランディングを考える」です。
講演のタイトルです。
パッシオパッシブ様は香川県で
「付加断熱+トリプルガラス」
を標準に年間18棟受注する工務店です。
佐藤社長は地元で「耐震・省エネルギー・エコロジー住宅を創る工務店ネットワークかがわ」(TSE)という性能指定のネットワークを立ち上げ、
・建材の共同購入
・性能基準の制定
・高性能住宅の施工勉強会
・グリーン化事業の補助金申請
・営業代行業
・地元まちづくりイベント
などに取り組まれています。
TSE=工務店の森
T耐震
S省エネ
Eエコロジー
です。
経営者としてまず考えたことは、企業理念だそうです。
パッシオパッシブ様の企業理念は、
「世の中にないものを創造し地域社会に貢献する」
です。
なんでもあり、の会社は弱いと感じており、理念を持ち、それをビジネスとしてやることを基本とされています。
レインボーオーシャン市場の創造
マーケットニーズではなく、潜在ニーズの領域があります。
それが、「レインボーオーシャン」です。
レインボーオーシャンの概念図です。
「元々そこにあった見えない価値=レインボーオーシャン」
一般には見えていない結界があるそうです。
現在の住宅業界のレインボーオーシャンの参入障壁の一つは、
「付加断熱+トリプルガラスのサッシ」
です。
高性能住宅を提供するためには、施主のライフプランのシュミレーションが
ポイントになります。
「良い家は安い」という事実を伝えることに徹しているそうです。
住宅業界の寡占化の未来です。
現在の市場を100とすると、半減した市場は50です。
そのシェアには、いろいろなシュミレーションが考えられます。
工務店が生き残るべき理由も常に考えているそうです。
キーワードは、下記です。
・寡占化に対抗する多様性の維持
・地元への貢献
地域社会に貢献する、地元の建材を利用する、地元の職人への委託などで地元に仕事をつくるという考えです。
1社では市場はつくれないので、
同じ「やりとり」を持つ仲間と生き残り、
「工務店の森」をつくられています。
「良い家は、安い」ことを伝えるには、性能の検証が重要です。
まとめのメッセージです。
第二部 ダイアローグ
講師と参加者による対話型のトークイベントです。
新建ハウジング様の司会により、進行されました。
TSEの取り組みにおいて、パッシオパッシブの佐藤さんは、地域の同業他社にも何も隠すことなくノウハウを公開しているそうです。
自らレインボーオーシャン市場のネットワークを広げておられます。
佐藤さんの今の活動につながるきっかけは、ドイツに行かれたことだそうです。
地域の工務店として高性能住宅をつくり続ける強い決意をされたそうです。
工務店の価値とは何かを常に考え続けているそうです。
住宅の性能、エネルギーの問題は、ユーザーにとって絶対条件です。
工務店のビジネスモデルは、決して儲かる仕事ではありません。ただその地域で家づくりを行いたいという想いで経営している工務店が多いと思われます。
全国的にみても、工務店間で技術力や知識量の差が大きくなっています。
家族、親戚、友人、知人などからの紹介が年々減っているのも、そうした理由があります。
戸建住宅のシェアについては、下記の傾向です。
・ハウスメーカーは伸びていない
・ビルダーは会社による
・工務店は減少傾向
その他に印象的だった話は下記です。
・1社では勝てない、ネットワークで勝負する
・クライアントがTSEのネットワークの中で依頼先を選んでいる
・商圏はできれば会社から20分以内にしたい
・TSEの中で設計提案では競わない
・営業力は強い
良い家は安い、とシンプルに訴求
伝える力はとても大切
・レインボーオーシャンにお客様を連れてくる
お客様に合わせることはしない
競争することは家づくりにプラスにならない
・プランは一度しか出さない
見積りも一度しかしない
そのための努力は最大限行う
・ネットワークの共有
大工さん、職人さんの共有が始まっている
・ドイツ
森が正しく管理されている
森は水を溜める役割がある
・家づくりから都市計画がやりたい
家づくりの未来を深く考える、貴重な機会となりました。
新建ハウジング様、佐藤様、ありがとうございました!
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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