公開日:2019.11.21
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「転職=裏切り」の思考法が終わり、新たなキャリア形成の時代に
会社と個人の関係を再定義する、令和時代の働き方を模索
令和という新しい時代に突入し、企業と個人の結びつきが大きく変わろうとしています。
昭和と平成を貫いてきた企業と個人の関係が曲がり角を迎えています。
会社と個人の関係を再定義する、令和時代の働き方とは何かを自問自答しています。
すでに現在進行形でこの変革が起きています。
終身雇用が前提ではなくなった今、
個人としてどのような働き方を選択するのか。
まさに「ワークライフチョイス」が求められています。
なぜ、このようなことを深く考えているかというと、
「人財採用」
という大きな課題を当社も抱えているからです。
人財採用を考えるということは、会社のガバナンスや組織マネジメント、福利厚生、そして社員の多様な働き方を考える機会になります。
いろいろと思うこと、調べたこと、起きていることなどについて備忘録としてまとめて書きました。
住宅・建築業界の高齢化や人手不足感は、年々深刻に
住宅・建築業界の高齢化や人手不足感は、年々深刻になっています。
マクロなデータからは、シンプルに人口が減っていることがわかります。
ある調査では、中小企業が新卒者を採用することは、大企業の約10倍の競争率になっているとも言われています。
採用に力を入れたいけど従来の方法ではなかなか厳しいという現実もあります。
そのため、求人専用サイトを別に設けたりする必要もあるかもしれません。
住宅・建築業界の実態を見ていると、
なかなか人財採用できない理由として、
採用する側の「昭和の価値観(雇ってやる、修行させてやる)」と、
応募する側の「令和の価値観(やりがい、安定を強く求める)」による
ミスマッチがとても大きいと感じています。
「ヒト・モノ・カネ」から「T・T・E 」へ
古くからの経営資源と言われる「ヒト・モノ・カネ」。
この3 つが事業を大きく育てていくためには欠かせぬ存在とされていました。
しかし、その定説が覆されようとしています。
『T I M E T A L E N T E N E R G Y ― 組織の生産性を最大化するマネジメント』
<著者: マイケル・マンキンス、エリック・ガートン( プレジデント社)>
によると、
新しい経営資源は
「T・T・E 」が
「ヒト・モノ・カネ」に代わる3 つの要素であると書かれています。
「T・T・E 」を訳すと
- 「TIME(時間)」:放っておけば浪費されがちな就業時間をうまく管理すること
- 「TALENT(人材)」:優秀な適材を見極めて、最も効果を発揮できる部署に配置すること
- 「ENERGY(意欲)」:社員のやる気をいかに引き出すかというシステムと組織づくり
となります。
この3 つをうまく管理すれば組織の生産力は飛躍的に高まるということです。
「個の時代」に必要なのは「軽いフットワーク」と「面白がる力」
令和の時代はもっと企業と個人の関係がオープンになると思います。
終身雇用は流動雇用に、
年功序列は即時清算に、
そして新卒一括採用は常時採用へと変わっていきます。
この変化に伴い、個人も「企業に属する」という意識を変える必要があるはずです。
また就職活動だって、これまではまず企業が情報を発信し、それを見た個人がどこに応募するのか選んでいました。
けれどこの先は、個人が発信した情報を企業が見て、直接アクセスするようになることだってあり得ます。
就職活動というものが、単に職を探している間だけの、企業と個人の情報共有ではなく、常に自分がどういう状態かを周囲にオープンにしていくものになのではないでしょうか。
「転職」は実は前向きな行為である
そもそも転職って、悪いことではありません。
「転職=悪」「転職とは裏切り行為である」という思考そのものが、昭和を引きずっているのではないでしょうか。
「一生、死ぬまで働き続けると契約したのに、どうしてほかに浮気するんだ」というのがかつての転職のイメージでした。
今後は日本も労働人口が減っていきますから、人材を探す方法はこの先、随分と変わっていくはずです。今は、転職したいと思っている人が、専用の転職サイトなどに登録して活動します。
転職は、誰かにとがめられるような後ろ暗い行為ではなく、もっと前向きなものです。
そういう価値観が広がればいいなと思っています。
人材育成のためにはマネジャー側のスキル開発が急務
社員は
「私はこの会社でどういう風に成長できますか」
「この仕事は私にとってどんな意味がありますか」
という意識で働いています。
一方で、教育する上司や先輩は、「まず君たちは文句を言わず、我慢して目の前の仕事をやればいい。するとやがて会社が良くしてくれるから」という雰囲気で接してきます。
このギャップは深いです。
経営者やマネジャー側のスキル開発が急務だと思います。
現在の40~50代はちょうど、昭和の価値観と令和価値観の間に挟まれていて、昭和時代の文化は残っているけれど、変わらないといけないとも分かっています。
その上の世代のように定年退職まで逃げ切ることも難しいからです。
会社の「中」と「外」を分ける線がもっと溶けていく
この先、雇用の流動化がさらに進めば、みんなが転職に必要なサービスやツールを使うようになって、普段からいろいろな会社の情報が入るようになって、声もかけられるようになるはずです。
すると、働いている人にとってはもう、会社の「中」も「外」もあまり関係がなくなるはずです。
「中」の人でも常に転職する機会を探すようになるでしょうし、会社側だって「外」の人に伝えるのと同じように、社員にビジョンを示していかないと求心力がなくなってしまいます。
職業を選択する権利を持つ一個人に対して、いかに「共感」してもらうかです。
そのスキルを経営者やマネジャーは培わないといけません。
みんな、その思考の転換ができないまま、
「給料をもらっているんだから、黙って働けよ」という感覚に陥っている。
そこが大きな問題です。
キャリアのアップダウンを軽やかに乗り切る
キャリアは登山やトレッキングのようなものでいいのかもしれません。
登ったり、降りたり、いろんな角度から高みを目指して、自分の状況に合わせてパフォーマンスや仕事へのコミットメントを調整していけばいいのです。
これまで自分が培ってきたスキルが徐々に世の中に通用しなくなったなと感じているなら、別のことを学び直していいと思います。
当然、学校に通っている間などは収入が落ちる可能性もあるでしょう。けれどスキルを仕事に生かせるようになるとまた復活します。
個人の収入も経済そのものも、これからは右肩上がりに直線的に進み続けるということはあり得ません。収入だって経済だって上下します。
おそらく令和という時代は、そんな前提で環境変化に適応していくことが、個人にも社会にも求められるのではないでしょうか。
アップダウンを含めて軽やかに変化に適応していく。そんな前提でいると、未来は決して悲劇ではありません。
組織における「個」の重要性はどんどん大きくなる
組織から個人へという明確な流れがあるなかで、会社員であっても自分自身のキャリアは自分で描かなければいけません。これからの時代、セルフブランディングとまではいかなくても、自分のスキルや人となりをある程度発信し、ネットワークを築いていかないと、市場で埋もれてしまいます。
最近、ビジョン・ミッションの策定に注力する会社が多いのも、個々の社員が社を代表して語れるようになってほしいという思いがあると感じます。
組織における「個」の重要性はどんどん大きくなっていきます。
動き回るための体力と、自分の専門領域の外の話を面白いと感じるために、常に情報をアップデートし、教養を身につけることが求められています。
ビジネスの領域でもリベラルアーツの重要性が叫ばれていますが、要するに多様な人の感性を「面白がる」ためです。
自分自身の強みを知り、発信し、その領域の外へと軽やかに行き来することができれば、これからのビジネスにつながるアイデアや人脈を引き寄せられると感じています。
人財採用の活動しながら、まずは経営者として、己と会社を見つめ直したいと思います・・・。
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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