公開日:2019.11.09
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週刊文春ムック本「温かい家は寿命を延ばす」を読んで
家づくりの世界にも「文春砲」!
週刊文春の文春ムック
ちょっとした工夫で我が家が「健康住宅」に変わる
(著者:笹井恵理子氏)
を読みました。
週刊文春が近年掲載している『住宅シリーズ』が一冊になって発売されました。
これから、住宅を考えられる人には、デザインやコストばかりに気を取られず、住宅の性能も考える必要があることが書かれています。
この分野ではトップランナーの研究者による専門的な知見も、データとファクトをベースにまとめられており、とてもわかりやすいです。
日本の住宅実務者は、この本で書いてあることを確実にインプットする必要があると思います。
その上で、それぞれの技術や知見、経験に基づき、アウトプット(=家づくり)を提示する必要があると考えます。
以下、この本のポイントをお伝えします。
(あくまでも私の主観です)
文春ムック本「温かい家は寿命を延ばす」を読んで
健康と温かい家(=断熱)には関係があります。
日本では交通事故で死亡する人よりも、住宅の中で死亡する人の数が多いという事実があります。
日本の住宅の多くが必要な断熱レベルに届いていない「寒い家」なので、こういった家ではヒートショックの可能性があり、発病リスクが上昇します。
いまだに多くの住宅会社は「温かい家」をつくることは性能を上げることになり、
「高性能住宅は高額で売りにくい」というイメージを持っていると思います。
しかし実際にデザインと性能を両立した「エコハウス」を建てれば、
光熱費は安く抑えられますし、
住宅の高寿命化にも寄与しますので、
ユーザーにとっては多大な恩恵を得ることができます。
ようやく断熱の基準が設けられた「省エネ基準説明義務化」が予定されています。
どのような運用になるかはまだわかりませんが、全体のレベルの底上げにつながることを期待しています。
文春ムック本「温かい家は寿命を延ばす」の概要
[室温と健康の関係]
温かい家は寿命を延ばす
室温は冬でも18度以上に/12度未満は頻尿リスクが5倍/窓から熱を逃がさない方法
[エアコンを上手に使う]
熱中症を防ぐ家
警戒ラインは室温28度湿度70%/マンション最上階は要注意/扇風機の回しっぱなしは×/エアコン「除湿」「冷房」の使い方
[換気を意識する毎日]
きれいな空気をつくる家
睡眠が改善/ぜんそく・鼻炎を防ぐ/学習効率向上/石油ストーブには要注意
[小・中・高校生、保護者、サラリーマン必読!]
頭がよくなる環境
室温は25度付近が最強/畳の部屋で集中力持続/机を置くのは窓際/勉強前の10分運動のすすめ
[部屋ごとの工夫が大事]
照明上手な家で元気になる
日本の家は日中暗く夜は明るすぎる/睡眠中は豆電球でも肥満リスク/リビングはLED寝室には白熱球
[高齢者ほど影響大夏でも、冬でも!]
快眠できる家
夏の冷房は睡眠前半がガギ/室内「乾燥」でいびきや覚醒の確率上昇/室温を上げる&維持する隙間対策
[一度試してみたくなる]
部屋の色の使い方いろいろ
1温かさと健康効果を兼ね備えたグリーン
2鮮やかな赤が集中力・理解力を高める
3家族仲良しにはオレンジ。一人暮らしの孤独感も和らげる
[室温/花粉症/カビ……月別クリニック]
春夏秋冬今すぐできる!住まいのライフハック
(1月)足元が寒い家は高血圧になりやすい
(2月)室温だけでなく「湿度」も重要要介護度や活発性が変わる!?
(3月)花粉症対策には「フィルター」&「ふき掃除」
(4月)老後に安心・安全・元気に動ける家とは
(5月)湿度の低い時期こそダニを一掃
(6月)肺炎を起こす白カビに注意せよ
(7月)室温を下げる方法1真夏の太陽光を防ぐ
(8月)室温を下げる方法2カンタン快適に〝冷〟を取る
(9月)台風対策は万全?晴れた日は窓から日光を
(10月)冬に備えよ!部屋ごとの温度差せめて七度以内に
(11月)冬季に急増する「入浴中の死亡」
(12月)「捨ててしまう食材」で年末の大掃除
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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