ここがおかしい日本の家づくり②!すまい手とつくり手の「あいだ」が足りない
日本の住宅業界には、すまい手の住宅購入という「大きな決断」を行うことに対し、依頼先選定のコツを伝えたり、契約までの悩みに応えるなどのサービスがほとんどありません。理由の一つとして、つくり手側が、そうしたサービスの必要性を感じていないからです。すまい手とつくり手の「あいだ」には、いろいろとやるべきことがあるはずとHOUSE BASEは考えています。
「ユーザーに寄り添うサービス」が無い理由を、他業種と比較する
インターネットがこれだけ普及した現在においても、すまい手が住宅購入を考えたときに、依頼する会社を選ぶまでのサービスが圧倒的に不足しています。つくり手側からの「ウチの会社に頼んでくれたら良い家をつくります」というような情報発信ばかりです。自社で訴求したいことだけしか伝えていないので、すまい手側は自分なりの判断基準を持たない限り、とても選択しにくい状況が続いています。
「衣食住」で比較してみましょう。
まず「衣」(衣類)については、大手企業のショップから個人商店まで様々なお店があります。洋服も以前は試着したりする必要もあり、お店に足を運んで購入するものでした。しかし現在では、インターネットで服を購入できたり、コーディネートまで提案してくれたり、不要になった服を個人間売買できるというサービスが普及しています。その結果、服選びに多くの選択肢が生まれ、より楽しい購買体験を生み出しています。
「食」については、自分の食べたいものをお取り寄せできたり、料理のレシピを教えてくれたり、献立を提案してくれるサービスもあります。外食においても、食事をするエリアや料理の種類、予算等で店を検索で探せたり、実際に食べたお客様の感想や評価を読めたり、とても便利になっています。
「住」については、どうでしょうか?戸建住宅やマンションを探すとき、あるいは新築やリフォーム、リノベーションを検討しているとき、ネットで検索すると家づくりに悩んでいるユーザー向けに本当に必要な情報を提供してくれるWEBサービスや、「保険の窓口」のように対面型のサービスで家づくりの相談に乗ってくれるサービスは、あまり普及していません。
そうしたサービスが生まれない理由として、下記のことが要因として考えられます。
- つくり手は「ものづくり」にこだわる傾向が強すぎ、すまい手の悩みやニーズがわからない
- 住宅会社を探すことを、不動産系の会社が運営する情報サイトに依存している
- 住宅は専門性が高いため「情報の非対称性」が大きく、相互理解することを諦めている
家は工場で作れる訳でもネットで買える訳でもありませんが、「すまい手」の立場になって、家づくりを検討する際の悩みに寄り添うサービスが数多く生まれる必要があると思います。
具体的には下記のようなサービスが必要だと考えます。
- すまい手に、どのような「家づくりの選択肢」があるのかを伝えるサービス
- 資金計画や依頼先選定について「中立的にアドバイス」してくれるサービス
- すまい手がリアルに「家づくりを検討するためのツール」を提供するサービス
まとめ
日本は、人口減少や空き家などの問題を抱えています。一方で「暮らし」に対する価値観も多様化しています。すまい手の悩みを少しでも解消して、失敗しない家づくりを行うためには、つくり手側の意識改革と、すまい手に寄り添うサービスを生み出し続ける必要があります。
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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