100年住める「長期優良住宅」①金銭面でのメリットは?
日本の住宅の平均寿命は約30年。せっかく時間もお金もかけて建てる家が一代限りで取り壊されています。「長期優良住宅」とは、長持ちする家をしっかり認定する取り組みです。認定されれば、税金の優遇など多くのメリットも。どんなメリットがあるのか見ていきましょう。
長期優良住宅って何?
これまで日本では、経済発展や人口増加で都市開発が進み、古い家を壊し新しい家をどんどん建てることが奨励されてきました。その結果、日本の住宅が利用される平均期間は30年という短い期間になってしまいました。アメリカでは家を平均55年、イギリスにいたっては平均77年建物を使っているというのに、日本では現在、せっかく建てた家が一代限りで壊されているのです。
一方、経済発展が緩やかになり人口・世帯数が減少していく成熟社会に入った現在、家を長く使うことが見直されてきています。国も良質で長く使える家を普及させる各種政策を進めています。
このなかの「長期優良住宅」認定制度は、数世代にわたって使える丈夫な構造躯体、耐震性、間取りの変化などに対応する可変性などの条件を兼ね備えた住宅を認定する取り組みです。
認定された住宅では税制面でもさまざまなメリットを受けられるため、新築するなら「長期優良住宅」を目指すことをお勧めします。
長期優良住宅の金銭面でのメリット
長期優良住宅に認定された場合、税金面で下記の優遇措置が受けられます。
- 所得税の住宅ローン減税の控除率が上がるほか、最大控除額も上がる
- 登録免許税の税率が一般の住宅よりも引き下げられる
- 不動産取得税の控除額が1200万円から1300万円に引き上げられる
- 固定資産税の軽減期間も2年間長くなる
けっこう大きなメリットですね。
ちなみに、①についてはローンを使用しないで購入した場合、住宅性能を強化するためにかかった費用の10% 相当を取得税額から控除することができます(投資型減税)。
さらに、認定されれば、最長50年の住宅ローン「フラット50」や、借入金利を当初10年間0.3パーセント引き下げる「フラット35S」Aプランが利用できます。(資料③)
そして、何よりも長持ちする住宅は資産としての価値が大きくなります。
きちんとメンテナンスをして世代を超えて良好な状態で住宅を引き継げば、一世代あたりの住居費負担は大きく減ります。
もし将来的に自分たちが住まなくなった場合、「長期優良住宅」に認定されていれば誰にでも性能がわかりやすく、住宅の持つ価値に見合った金額で貸したり売ったりすることがより自由にできるでしょう。
まとめ
住宅を建てるためには多くの資源を使いますから、家を長く使い続けることは地球環境的に見ても負担が少なくて済みます。
金銭面でも、エコロジー的にもメリットの多い「長期優良住宅」。
次回は「長期優良住宅」に認定されるためにはどうすればよいのかを見ていきます。
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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