家づくりのプロが選ぶ設計事務所、工務店に共通する10のポイント(前編)
家づくりコーディネーターである筆者は、これから新築の一戸建て住宅の建設もしくは中古住宅のリフォーム、マンションのリノベーションを考えているお客様から、「おすすめのつくり手を紹介してほしい」と相談を受けることがあります。お客様に推薦できるつくり手を選ぶ基準で最も重視していることは、「自分(筆者)が施主でも、この人、この会社に依頼したい」と思えるかどうかです。そう思える家のつくり手には、実は意外すぎるほど共通点があるのです。
家づくりコーディネーターが厳選する設計事務所、工務店の共通点とは?
1.会社の「トップ」が優秀
設計事務所なら「所長」、工務店なら「社長」が優秀なことが、まず大前提です。トップがあまり優秀でなくても社員が支えている会社もありますが、家づくりに関していうとトップの裁量や能力、経験値が最も重要になりますので、まずはトップの資質で判断しています。
2.お客様に対して「親切」である
当たり前のことに思われるかもしれませんが、実はこの要素が欠けているつくり手が少なくないのです。設計あるいは施工にこだわりが強すぎるがあまり、本来はお客様を見て仕事を行うべきなのに、目の前の図面や現場に夢中になりすぎてしまうのです。つくり手側に悪気は無いので、お客様は気づきにくいのですが、家づくりのコーディネートをしている立場からすると、このような人、会社はおすすめしないようにしています。
3.常に「勉強」している
家づくりの世界も、関係する法律や基準の改正、毎年のように変更される施策への対応、新しい技術や建材への対応など、常に情報収集や勉強をしていかないと、お客様に価値あるサービスを提供することはできません。つくり手の中には業務多忙を言い訳に、どうしても対応しなくてはいけない「義務」のことには対応しますが、「任意」で対応すればよいことには消極的な人が多いのが現実です。プロとしてお客様により良いサービスを提供する意思があるかどうかが現れる点ですので、筆者はここを重要な基準として判断するようにしています。
4.お客様に「営業しない」
優秀なつくり手は紹介や評判などで常に相談や依頼が絶えないことから、新規の仕事を積極的に受注していく必要がないということもありますが、それ以上にすまい手との家づくりに対する「共感」を重視しています。価値観が合うか、お互いにリスペクトできるかなどで決まってくるため、「ぜひ当社に依頼してください」と積極的に言ってきたりすることがないのです。こうしたスタンスの会社であれば、筆者も安心してお客様にご紹介することができます。
5.「設計力」がある
筆者が評価する「設計力」とは、お客様のニーズやウォンツと、「デザイン・機能・性能・コスト・メンテナンスへの配慮」が両立できる設計です。文章で書くと簡単に思われるかもしれませんが、実はかなり難しいことなのです。なぜなら、お客様のあふれるばかりの要望に対し、敷地の与条件や予算等と折り合いをつけながらまとめていく必要があるからです。相当なセンスと、家づくりの経験を積み重ねないと、なかなかたどり着かない領域なのです。絵(設計案)だけ上手に書ける人はいくらでもいるのですが、そうした設計者は全体の3パーセント程度というのが筆者の実感です。
まとめ
筆者は、起業前に多くの設計事務所や工務店と共に仕事をしてきました。住宅・建築業界で仕事をしていることで、親戚、友人、知人から家づくりの相談を受けることも多いです。相談される相手のニーズに合わせて、つくり手を紹介することもあります。
自分にとって大切な人につくり手を紹介することは、信用にも関わる話ですので慎重になる部分もあります。それでも「この会社を紹介して不満を持たれたらしょうがない。腹をくくろう」と思えるつくり手には意外なほど共通点があり、それをまとめたのが本コラムです。後編では、よりリアルな共通点をお伝えします。ぜひご覧ください!
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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