家づくりの通信簿!住宅性能表示を理解する
住宅性能表示は、国が定める性能評価項目・性能評価基準に基づき、登録住宅性能評価機関といわれる第三者機関が住宅を評価する性能表示制度です。住宅性能表示の役割は、あえて例えると「家づくりの通信簿」です。住宅性能表示は、国の住宅施策の性能評価のベースとなっており、今後住宅がストック市場に以降すると、これまで以上に住宅性能表示の価値が高まる可能性があります。
住宅性能表示は、住宅の基本性能を評価・表示するもの
新築住宅の住宅性能表示は、10分野33項目で住宅の基本性能を評価します。近年改正が行われ、4分野9項目が必須となり、その他の分野、項目は任意で選択します。以下に住宅性能表示の10分野を記載します。その中で下記1〜4の分野が必須項目となります。
住宅性能表示の分野 ※新築住宅の場合
- 構造の安定に関すること
- 劣化の軽減に努めること
- 維持管理・更新への配慮に関すること
- 温熱環境・エネルギー消費量に関すること
- 火災時の安定に関すること
- 空気環境に関すること
- 光・視環境に関すること
- 音環境に関すること
- 高齢者等への配慮に関すること
- 防犯に関すること
設計図書の審査による「設計住宅性能評価」と、その設計住宅性能評価書に示された性能が担保できているか施工現場で検査まで行う「建設住宅性能評価」の2つのタイプがあります。
建設住宅性能評価書が交付された住宅は、迅速に専門的な紛争処理が受けられる仕組みもあります。紛争処理にかかる費用も1万円と安価で、安心できる仕組みとなっています。
一般的な既存住宅の性能も幅広く評価できるようになっています。これにより国は既存住宅の性能評価の機会を増やし、中古住宅として流通する際に、価値を高める施策を拡充していく方針です。
既存住宅の場合、新築住宅を対象とした性能表示事項(10分野33項目)のうち、評価が可能な項目に限定して9分野28項目と、既存住宅のみを対象とした2項目が設定されています。
住宅性能表示は国の認定制度のベース
住宅性能表示は、国の住宅施策の性能評価のベースとなる制度です。
例えば長期優良住宅や認定低炭素住宅などの認定制度では、認定基準が住宅性能表示制度の等級をもとに策定されています。認定の手続きでも、自治体における技術的な審査の際に住宅性能表示を利用するようになっています。新築住宅だけでなく、リフォーム版長期優良住宅での技術的審査でも使われます。
また住宅性能評価を受けると、耐震等級によって地震保険の割引が受けられます。
住宅性能評価における地震保険の割引
- 耐震等級3:割引率 50%
- 耐震等級2:割引率 30%
- 耐震等級1:割引率 10%
この割引を利用するには、「耐震等級3で構造計算」を行なうというだけでは利用できないので注意してください。あくまでも「耐震等級3で構造計算」を行ない、住宅性能表示や長期優良住宅等の認定取得の際の技術的審査を登録住宅性能評価機関といわれる第三者機関で受けて、その認定書等を保険会社に提出することによって利用できる割引となっています。
まとめ
今後住宅がストック市場に以降すると、施工現場まで審査の対象となる建設性能評価の価値がこれまで以上に高まる可能性があります。例えば、住宅取得支援制度である「すまい給付金」では、瑕疵保険への加入住宅と並んで建設住宅性能評価書の交付を受けた住宅であることが受給要件になっています。
またストック住宅の流通時には建物の性能に関する情報の有無が評価されるようになりますが、設計図だけではなく施工現場の検査を受けていくことはプラスに評価されることはあっても、それ自体でマイナスになることはありません。検査情報の蓄積が価値として評価される市場に変化しつつあります。
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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