公開日:2017.09.29 / 最終更新日:2018.11.03
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家づくりは省エネ義務化を追い風にするつくり手に依頼する時代に
住宅を含めた建物の省エネ基準の適合義務対象は段階的に拡大していく予定です。社会の変化に伴い、住宅のすまい手の省エネ性能に関するニーズは着実に高まっている中、これからの家づくりは、省エネに関する数値をスペックとして使いこなしつつ、住み心地と直結する「性能」を、自らの体感も裏付けとして生かしながら実践できるつくり手に依頼することが重要です。
省エネ義務化は、「すまい手は大歓迎で、つくり手は及び腰」の理由
2017年4月から「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(建築物省エネ法)に伴う省エネ基準の適合義務や届出などの規制的措置が始まりました。2020年までを目標に、住宅を含めて対象は段階的に拡大していく予定です。
国策としてだけでなく、エコ意識の高まりや自動車、家電製品等のトレンドを見ても、住宅のすまい手の省エネ性能に関するニーズは着実に高まっています。
省エネ性能に特化した住宅会社の中には、大手ハウスメーカーを上回る着工棟数の実績を積み上げる会社も出てきました。そうした住宅会社の躍進は広告や営業の力ではなく、シンプルに「省エネ性能の確保(ZEHの取り組み)と、コストパフォーマンス」を訴求した結果と言われています。すまい手にとっては、家づくりにおいて、理屈抜きにエコでランニングコストが安くなることは大きな魅力だからです。
住宅のつくり手(特に設計者)のほとんどが、省エネをめぐる法律や施策に対して、「制約」と捉えていることを強く感じます。設計の自由度を損なう(実際にはそんなことはありませんが)、建設コストが上昇することにより受注や仕事がしにくくなるというのが主な理由です。
省エネルギー住宅やZEH(ゼッチ)は、イニシャルコストは通常の住宅よりも必要ですが、光熱費等のランニングコストが抑えられることがメリットです。その住宅の設計や仕様にもよりますが、お金に関する収支をトータルで考えると、省エネルギー住宅やZEHにしたほうが得になることも多いのです。加えて住宅の環境性能が高いことは、地球にも優しく、快適な温熱環境をつくれることから健康面でもメリットは大きいのです。
すまい手のことを本当に真剣に考えているつくり手は、上記のことをよくわかっていますので、すまい手のメリットや満足度を高めるために、省エネルギー住宅やZEHに積極的に取り組むのです。
家づくりは性能数値と経験値を両立できるつくり手がオススメ
住宅を社会の資産として捉えるならば、性能を客観的に数値化して見せることが必要です。
住宅設計では、すまい手が求める要望や予算、敷地や周辺状況といった与条件を総合的にひもとくところから始めます。つくり手は基本的に住宅の設計が好きな人達ですが、住宅設計の醍醐味は、設計の力ですまい手の暮らしを豊かにできることを実感として思っているからです。
設計事務所や工務店が提案する設計手法と、省エネ住宅としての性能を満たすことは、本来であれば矛盾する関係ではありません。設計やデザインなど目に見える部分も大切ですが、温熱環境のような住み心地や健康に関する点では目に見えないこともより重要だからです。
住み心地は、省エネに関する数値水準の高さだけで判断されるものではなく、差し込む日の光や風通しの心地良さなどの要素が大きいと思います。
専門家の間では、省エネに関する建材や設備の性能水準は多くがピーク近くに達してきているという認識があります。そうした状況の中、環境性能を確保できる設計力次第で、住宅の省エネ性能は大きく変わります。
家づくりを信頼して任せられるつくり手は、省エネに関する数値をスペックとして使いこなしつつ、住み心地と直結する「性能」を自らの体感も裏付けとして生かしながら、設計やデザインを実践できる人や会社です。
まとめ
住宅や建築物の省エネ化に対する気運や期待は、全世界で着実に高まっています。その中で家づくりにどう取り組むべきか、つくり手が試されている時代でもあります。これから家づくりを考えるすまい手として、省エネルギー住宅を希望することは自然の流れですので、省エネルギー住宅に取り組むことに「逃げていないつくり手」に依頼することが重要です。
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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