構造計算で安全性の確認ができない住宅は設計ミス!瑕疵担保履行法の落とし穴
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)から瑕疵担保履行法へと、住宅の瑕疵に対する備えは進んできました。実は瑕疵担保履行法には、大きな落とし穴があります。瑕疵保険が適用されるのは、「建築基準法に適合している住宅」のみであるということです。仮に瑕疵が発生した場合の調査において構造計算を要求された結果、安全性の確認ができない場合は、瑕疵ではなくて「設計ミス」となり、保険金が出ないことがあるのです。
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)から瑕疵担保履行法へ
2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」の柱の1つに、構造部分の瑕疵担保期間の10年間の義務化があります。
目的は消費者保護ですが、実際に瑕疵が発生して瑕疵担保責任を果たそうとしても、構造部分の瑕疵は住宅全体に影響することが多く、請負者(建築業者)が資力不足から義務を果たせずに倒産して、消費者保護に繋がらないケースが多々発生しました。
そうした状況を受け、2009年に瑕疵担保履行法が施行されました。瑕疵担保履行法は、瑕疵担保期間の10年間義務化を果たすべく資力の確保を一つの目的としております。その資力の確保方法には「供託」と「保険」があり、木造住宅業界の大半は「保険」を選択しています。
瑕疵担保履行法の大きな落とし穴
この瑕疵担保履行法には、大きな落とし穴があります。
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)が構造部分の瑕疵担保期間の10年間の義務化を規定しているのは、「建築基準法に適合している住宅」であることです。建築基準法の誤った解釈や四号特例により「構造計算を行っていない木造住宅」は保険の適用がされない可能性があります。
仮に、ある住宅で瑕疵が発生した場合、瑕疵の確認や原因の追求が行われます。施工や材料の瑕疵なのか、設計の問題なのかを調べられます。構造計算を要求された結果、安全性の確認ができない場合は、瑕疵ではなくて「設計ミス」となり、保険金が出ないことがあるのです。
結果として、その瑕疵による責任を追うのは、保険会社でも施工会社でもなく「設計者」です。
瑕疵保険の現場検査に合格しても建築基準法に適合した住宅とは言えない
構造計算を行っていない木造住宅で発生した瑕疵は設計ミスの可能性がとても高いのです。設計ミスであれば保険金は支払われません。
建築実務者の中には、「現場検査をしているのだから保険金が出ないはずがない」と思われる方も多いのですが、現場検査用の図面は設計者が当然のこととして建築基準法に適合した図面を作成しているという前提で、保険会社の検査員が現場検査を行います。
現場検査の項目は、図面通りの部材、施工方法を確認することによって、構造耐力の確認や構造計算の確認をするものではないのです。
まとめ
建築基準法の誤った解釈や四号特例により「構造計算を行っていない木造住宅」は、保険の適用がされない可能性があります。構造計算を行うことで、すまい手に対しての安全性の備えを果たしつつ、設計者のリスクヘッジにもなるのです。
今回ご紹介する優秀な設計事務所
お客様の「感性」や「ライフスタイル」に合わせて、巧みに設計案に表現する引き出しの多さが魅力です。木の家の良さにこだわって暮らしたい人、衣食住すべてを自分らしく楽しみたい人、日々の暮らしに緑を感じて暮らしたい人にとっては、信頼して家づくりを任せられる設計者です。
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
最新記事 by HOUSEBASE 代表取締役 植村将志 (全て見る)
- 4号建築物も構造図書の保存義務化へ - 2020年1月10日
- 耐震等級の徹底解説!住宅性能表示の構造の安定とは? - 2019年7月29日
- 住宅のリフォームは「健康性能の強化」が必須な理由 - 2019年6月15日
- 工務店は「事業承継できるかどうか」で選ぶ時代に - 2019年5月20日
- 省エネルギー住宅の「全館空調」はエアコンのみで実現できる - 2019年5月19日
こちらから(コメントフォーム)自由にコメントください!