ズバリ、マンションを購入するときはこれだけは知っておきたいこと
首都圏を中心に、大手不動産会社のマンション販売が活況の中、マンションの抱える本質的なリスクが顕在化しつつあります。なぜ、低成長で人口減少が続く中で、新築・中古マンションの販売が増えているのでしょうか。このコラムでは、「マンションに本当に住み続けられるのか」をテーマにその問題点についてまとめてみます。
マンションの需要を支えているのは実はシニア層と投資家
マンションは各世代で購入者がいますが、実は需要を支えているのは実はシニア層と投資家だと言われています。シニア層である60歳代以上の購入比率が急増しているデータもあります。投資家については、主に外国からの投資マネーによるものです。
都市部で販売される新築のタワーマンションはかなり高額な案件が多いのですが、エリアにもよりますが購入層の多くがシニア層になるマンションもあります。購入する動機としては、老朽化した住宅から抜け出して、駅から近く利便性の高さや設備の良さを求めて、新築のマンションに住み替える動きが加速しています。
その結果、そのシニア層の人たちが住んでいた住宅はどうなるのでしょうか。一戸建ての住宅であれば、中古住宅として賃貸や売却も可能ですし、住宅を解体して更地にすることでより売買がしやすい状況をつくることもできます。
しかし、駅から距離があり築年数が30年を超えているような古いマンションに住んでいた場合は、複雑な問題が残ります。賃貸として貸し出すにしてもリフォーム等を行う必要があり、借り手が決まる保証もありません。売却するにしても、マンション全体の建て替えや大規模修繕が必要となるケースもあります。
マンションの場合、建て替えや大規模修繕のような重要事項は、法律で全戸の4分の3以上の同意がなければ実施することはできないことになっています。解体工事費や新築工事費が必要となることもあり、建て替えが実現したマンションは全国で200件程度しかないと言われています。
マンションの購入は管理組合と住民のコミュニティーを必ず確認する
マンションを購入する動機の一つに、戸建て住宅と比較して個別のメンテナンスや庭の管理などが必要ないという判断もあり、鍵があれば生活できると認識している人も多いようです。
都市部で駅近のマンション等を除き、マンションには必ず空き住戸が生まれます。その割合が増えると、マンション全体の建て替えや大規模修繕の合意形成がより難しくなる傾向があります。合意形成には、そのマンションに永く暮らし、愛着を持っている住民同士のコミュニティーが不可欠だからです。
現在、日本には共同住宅の空き家が470万戸ほど確認されています。それでも新築のマンションは増え続けています。日本は規制が緩いこともあり、不動産会社による過剰供給が止まりにくい状況なのです。
新築のマンションを購入する場合、同じ時期から入居することになるのでコミュニティーは形成しやすいという考えもありますが、逆な見方をすると、そんな年齢層の入居者が集まり、どんな管理者や組合が住民を束ねるのかは、購入段階では情報が不足しており判断しにくいと思われます。
中古のマンションを購入する場合には、マンションの管理組合で正常に機能しているところは限られていますので、専門の不動産コンサルティング会社に相談するなどして、マンションに関する情報を総合的に判断して購入を決断する必要があります。
まとめ
マンションに住み続けることを決めたならば、マンションの住民間の交流を密にして、強固なコミュニティーを構築する必要があります。特殊な事情ではありますが、地盤補強工事の問題で傾斜したマンションの問題も発生したケースでは、管理組合を中心に住民集会を重ね、「全棟建て替え」を実現しました。個人で解決することは難しい問題ではありますが、将来を見据えて購入を決断することがマンション選びの重要なポイントになります。
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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