公開日:2016.03.28 / 最終更新日:2018.11.03
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人が集まる場をつくり、新しい価値を生み出すつくり手
畑山さんが設計者であり、プロデューサーであり、ディレクターであることを心がけている話に続き、この中編ではアンドロッジが中心となり新しい価値を生み出しているサービスについて詳しく話をうかがいました。
アンドロッジは、建築設計事務所でありながら、リノベーションやサブリースなどのソリューションを活用して、個人から事業系のクライアントに新しい価値を提案しつづけている会社です。
前編では、代表の畑山さんに生い立ちから起業までのストーリーをお聞きしました。今回の中編では会社の事業内容について、さらに詳しく話を聞いてみます。
畑山さんに現在の仕事の割合について聞いてみる。
「年にもよりますが、サブリース関連が約3割、残りが企画、設計等です」
アンドロッジという社名にも畑山さんの想いが詰まっている。
「ロッジは「集会所」という意味があります。人が集まる場をつくり、新しい価値を生み出していきたいという願いがあります」
「社会性を持ちたいので、早期に法人化しました。社員も雇用し、社会に貢献したいと考えています」
そんなアンドロッジのホームページは、独特の構成だ。
「あえて情報をランダムに配置し、いろいろなことをやっているのだと伝えたほうがよいかと思いまして」
そしてホームページの中には、アンドロッジの事業を示す概念図がある。
「将来的には、シンクタンクのような組織を目指したいです」
設計事務所としては世界的にも珍しい形態となるが、畑山さんの言葉や行動を見ていると、納得できるような気がする。
「このオフィスで、異業種交流会を3年間毎週開催していました。人と人の出会いの場をつくり、この場所から何かが生まれれば面白いと思って」
現在、会社のスタッフは畑山さんを含めて5人。
設計担当、デザイン関連担当、経理兼WEB担当、庶務兼企画広報担当というような役割分担で、いろいろな仕事に対応している。
また、アンドロッジは常に新しいトライアルをしているそうだ。
そのうちの一つが、シェアリングエコノミーとして注目されている「Airbnb(エアービーアンドビー)」へのチャレンジだ。
「自社のサブリースビルの1室をリノベーションし、Airbnbのサイトに登録し、旅行者向けに貸し出しを行っています」
部屋の貸し出しは、2015年10月から始めているという。
「何をしたらどうお金が動くかなど、ユーザーの要望や利用方法がわかることが勉強になります」
建築設計の実績についても聞いてみる。
新築の一戸建て住宅案件の中では、防火地域での木造耐火建築の住宅や、沖縄で手がけた住宅もある。
「沖縄では、別のオーナーさんより2棟目のご相談をいただいています」
また、マンションのリノベーションやオフィス、店舗設計などの実績も多い。
そして、アンドロッジの手がけるプロジェクトの中でユニークなものとして、「なべよこmap」という「街歩きが楽しくなる」をテーマにしたアプリ製作がある。
東京都中野区の中野駅南口エリアを対象にした街おこしを目的にしたアプリだ。
「元々、オリジナルの地図をつくってみたいと思っていて、築地の地図をつくったりしていました」
「リリース後には、地域で行われたイベントをアプリを使って検証するなど、地域の方が自ら企画、行動するようになりました」
街歩きが楽しくなることをテーマにしたアプリ製作を、設計事務所が手がけるというのもかなり珍しいと思われるが、アンドロッジの事業の多様性を示している。
このアプリは、地域の経済新聞に掲載されるなどして徐々に広がっているらしい。
アンドロッジは、「東京都経営革新優秀賞」を東京都より受賞している。
「サブリース事業が評価されました。そういった事業を設計事務所で行うということが革新事業として認可され、受賞に到りました。」
この賞への応募社数は、約300社。おそらく設計事務所のエントリーは珍しいのではないかと思う。
こうした公的な評価を受けつつ、アンドロッジの挑戦は続いていくのだろう。
株式会社アンドロッジの「人が集まる場をつくり、新しい価値を生み出す」はここまでです。
後編は、「ユニークな発想で生まれる新たなプロジェクト」をお伝えします。
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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