公開日:2016.03.28 / 最終更新日:2018.11.03
4634
言葉ではなく、仕事で語る
HB PRESSによる、「株式会社リモルデザイン」代表取締役の菅沼利文さんへのインタビュー。お客様のために「てまひまかけた家をつくる」ための話に続き、この中編ではリモルデザインの技術へのこだわりやお客様に対する姿勢について詳しく話をうかがいました。
菅沼さんにリモルデザインに家づくりを依頼するお客様について聞いてみた。
「技術に関心が高い方で、ハウスメーカーに相談したが提案内容や見積り金額などに不満がある場合に、ホームページなどからお問い合わせをいただくことが多いです」
「お客様の年齢層は30代、40代の方が多いです。お客様の親の世代はハウスメーカーや建売住宅の家を購入して住む人が多かったと思いますが、成熟社会の現在では自分で主体的に家づくりをしたい方が増えており、そうしたお客様にご相談をいただく傾向があります」
お客様とのエピソードはいろいろあるらしい。
「打合せ中にお客様夫婦が設計内容で口論になってしまい喧嘩の仲裁をしたことや、あるお客様との打合せではフローリングの種類を決めるのに1日かかったこともありました」
懐かしい思い出を笑って話す菅沼さん。自社案件のお客様は全て社長である菅沼さん自らが対応するため、お客様も安心して相談しやすいかもしれない。
お客様が、なぜリモルデザインに依頼することを決めたのかを聞いたことはありますかと菅沼さんに尋ねます。
「相談した会社の中で、一番しつこくなかったからと言われます(笑)」
このように言われることが少なくないらしい。
菅沼さんの人柄をあらわすエピソードかもしれない。
「お客様との初回面談では、自社の家づくりの姿勢のほか、家の基本性能をきちんと確保することや、住宅関連の優遇施策などを丁寧に伝えることを心がけています」
あえて追客しないことでお客様からの信頼を得られ、受注につながっているようだ。この職人的なスタンスはお客様からすると相談しやすいかもしれない。
他の工務店との違いについても聞いてみる。
「木造耐火建築の実績も多いことで、ご相談をいただくことがあります」
最近注目され、需要も高まってきた「木造耐火建築」。街の中心部などで建物が密集している区域などでは「防火地域」という指定がされており、建物に火事の際に火が燃え広がらないようにすることが求められている。
木造でも火災があっても1時間は倒壊せずに耐えられるようにすることが求められる仕様だ。特別な仕様・認定となっており、高度な技術力も求められるため、対応できる会社は限られている。リモルデザインはそのうちの1社だ。
「日本木造住宅産業協会の木造耐火については、登録申請は日本で3番目、完成した現場は日本で2番目でした」
まさに木造耐火建築のパイオニアだ。
木造耐火建築の住宅を設計している設計事務所からの相談も多いという。
現在は、自社のホームページのリニューアルを検討中とのこと。
「よりお客様目線で、家づくりの姿勢を伝えていきたいと考えています」
リモルデザインへの家づくりの相談については、自社のホームページからのお問合せというかたちが多いそうだ。
リモルデザインの現在のホームページや会社案内等を見て、気づいたことがある。施工事例の写真が中心で、あまり言葉で語られていない。
それが逆につくり手の姿勢というか、つくったもので判断して欲しいという姿勢が表れているように感じた。
リモルデザインには明らかに同業他社と違うところがある。ブログやフェイスブック等で情報発信をしていない。理由を菅沼さんに聞いてみる。
「お客様への配慮です。仕事の様子などを情報発信すると、上棟式などのイベントなどをお伝えすることもあります。イベントなどはあくまでも任意ですので、お客様のご判断です。そうした様子を他のお客様が知った時に、自分たちもやらなくてはといったような気持ちにさせたくないので・・・」
お客様に気遣いをさせたくない気持ちが伝わる理由でした。
リモルデザインの実際の家づくりの考え方を聞いてみる。
「特定の建材や工法を訴求しません。お客様が望むことを正確に把握し、限られた予算で実現することに注力しています」
「家づくりは大きなお金がかかるのでお客様は正直不安だと思います。全てのリスクを排してお任せしたい人は大手ハウスメーカーに依頼するのがよいかもしれません。自分で主体的に家を建てたい人、家に対してなんらかの想いがある人には、ぜひ弊社で家づくりをお手伝いさせていただきたいですね」
つくり手として、これからつくっていきたいのはどんな家なのだろう。
「デザインや間取りなどもありますが、性能確保や将来のリフォーム対応がより重要になってくると感じています」
「ゼロエネルギーの住宅を手がけていきたいです。省エネで基本性能が高い家を、外部とのつながりは確保したかたちで実現していきたいですね」
株式会社リモルデザインの「言葉ではなく、仕事で語る」はここまでです。
後編は、「設計のプロから信頼される見積りと施工への姿勢」をお伝えします。
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
最新記事 by HOUSEBASE 代表取締役 植村将志 (全て見る)
- 4号建築物も構造図書の保存義務化へ - 2020年1月10日
- 耐震等級の徹底解説!住宅性能表示の構造の安定とは? - 2019年7月29日
- 住宅のリフォームは「健康性能の強化」が必須な理由 - 2019年6月15日
- 工務店は「事業承継できるかどうか」で選ぶ時代に - 2019年5月20日
- 省エネルギー住宅の「全館空調」はエアコンのみで実現できる - 2019年5月19日