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公開日:2017.11.14  /  最終更新日:2018.11.03

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耐震住宅家づくりと費用

家づくりの地震対策は地盤から。知っておきたい地盤の基礎知識

土地選びや家づくりにおいて、敷地の地盤条件は、地震対策や資金計画をはじめ家づくりの計画全体に影響する重要な問題です。必ず地盤調査を行ない、設計事務所や工務店のアドバイスを受けながら必要に応じて地盤改良工事を実施するなどの対応が必須です。このコラムでは、知っておきたい地盤の基礎知識についてお伝えします。

知っておきたい地盤の基礎知識

土地選びの際にまず地盤が軟弱地盤かどうかを調べる

土地選びの際に、敷地が軟弱地盤だった場合、地盤改良工事を行うなどの対策をとらないと、住宅の自重(重み)で不同沈下が起こり、住宅が傾くなど重大な事態を招きかねず、大きな地震の際に地割れや地滑りが起こるリスクも高まります。

地盤改良工事には、住宅の規模や地盤の状況に応じて、木造住宅の場合で100万円前後の費用が発生しますので、全体の資金計画を調整する必要があります。

また軟弱地盤の場合、地盤への負担を減らすために、鉄筋コンクリート造や鉄骨造を選択せず、建物の重量が比較的軽い木造で計画する必要も出てきます。

どのような土地を購入するにしても、購入する前に必ず土地の履歴を調べて、設計段階で専門業者に地盤調査を依頼することは必須となります。

気になっている土地を見つけたら、不動産会社や土地の売主に地盤調査のデータの有無を確認してみましょう。もしわからない場合は、役所に聞いたり、インターネットで調べると、ある程度は把握できます。

一般的に軟弱地盤のリスクが高い土地は、下記の条件に当てはまる土地です。

  • 河川の近くや海の近くなどの低地
  • 砂質地盤
  • 傾斜地の盛土部分
  • 埋立地
  • 水害が多い地域

上記の条件に当てはまらないような住宅地でも、昔は川や沼があり、含水率の多い軟弱地盤のことがあります。自治体の都市計画図などで土地の履歴を確認したり、不動産会社の「造成計画図」などを確認するようにしましょう。

土地の履歴を確認する場合、一概には言えませんが、地名に「沼、谷、沢、窪」などの文字を含む場合や、土地の登記事項証明書の地目の欄に「田、畑」と記載されている場合は、通常よりも軟弱な地盤が想定されることが多いようです。

地盤の主な調査方法

地盤調査方法は、木造住宅を建てる場合はスウェーデン式サウンディング試験が一般的です。費用は4万〜5万円ほどかかります。

スウェーデン式サウンディング試験は、スクリューポイント付きの鉄の棒を地面に垂直に回転させてねじ込みます。その際の荷重と回転数から地盤の硬さを測定します。地盤の正確なデータを取得するというよりも、費用を抑えた簡易な調査です。

規模が大きい建物や木造以外の建物の場合は、ボーリング・標準貫入試験や、鋼板を用い沈下量を測定する平板載荷試験が適しています。

軟弱地盤の改良方法

地盤調査の結果、地盤改良が必要になった場合、木造住宅においては主に下記のいずれかの地盤改良工事を行うことになります。

  1. 軟弱地盤が浅い場合は「表層改良」
    軟弱地盤の層が地表から2m未満など浅い場合には、セメント系固化材を土壌に混ぜて地盤を固めます。
  2. 軟弱地盤が2〜8m程度の場合は「柱状改良」
    表層改良ができない敷地や軟弱地盤が地表から2〜8m程度の場合は、良好な地盤の層までコンクリート杭を設け、住宅の基礎と連結させます。
  3. 軟弱地盤が深い場合は「鋼管杭改良」
    支持層までの距離が長い場合や、地盤の硬さが敷地内で不均一な場合には、鋼製の杭を良好な地盤まで打ち込み、基礎を支えます。

まとめ

土地選びや家づくりにおける地盤について悩ましいのは、地盤調査による考察の結果が「この地盤は、硬くもなく、柔らかくもなく」というような結果が出た場合の判断です。地盤改良工事には多額の費用が発生しますので、できれば工事を避けたいという心理も働きますが、一方で万一のリスクヘッジのために地盤改良工事を実施するという選択もあります。

一般的に地盤調査は地盤改良工事を行う会社がサービスとして展開しているため、地盤調査の結果を「地盤改良工事が必要」というように誘導しているのではないかという見方もありますが、筆者が今までに実務で経験した範囲ですと、あまりそのような実態はありません。

判断に困った場合には、地盤判定のセカンドオピニオンのサービスを実施している会社もあります。その会社では、独自の地盤判定の基準に基づいた地盤への保証を有償でつけることで、サービスとして成立させています。地盤改良工事はあえて自社では行っておりませんので、中立性もあるということです。

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HOUSEBASE 代表取締役 植村将志

住宅・建築分野におけるリアルな情報発信や、役立つコンテンツやサービスの提供、実務者向けのソリューションを通じて、すまい手やつくり手にとって納得のできる家づくりを目指しています。

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