公開日:2018.04.07
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家づくりの土地選びは「自治体選び」の時代に
家づくりの土地選びは「自治体」で決める時代になっています。少子高齢化が進めば、不動産価格は自治体のサービスや住民の集客力などに大きく左右されるからです。
不動産価格は「需要と供給」の関係で決まる
不動産に関する「選別の目」が強まっています。少子高齢化が今後いっそう進むと、不動産選びにあたって「自治体選び」の視点が欠かせなくなります。
少子高齢化が進むと、自治体の運営には、より大きな差が生じます。地域内の生産年齢人口が減少すれば、自治体の税収も減ります。税収が減れば、上下水道や道路といったインフラ改修もままならなくなります。
子育て支援サービス等にも影響が出ます。
その結果、自治体の魅力が薄まれば、地域の不動産価格は下落し、固定資産税収入も目減りするので、自治体の経営は厳しくなります。
こうした負のスパイラルに陥る自治体が増加するのは必至です。将来的には住み心地はもちろん、不動産の価値にも大きな差が生じるはずです。
特にかつて「ベッドタウン」と呼ばれた都市郊外は要注意です。こうした都市郊外には、戦後の高度成長期に団塊世代など人口ボリューム層が流入しました。しかし1990年代後半以降は、人口減や少子高齢化に見舞われる自治体が出始めています。
不動産価格はさまざまな要因で左右されますが、結局は「需要と供給」の関係で決まります。人口という需要側の最大の決定要因が大きく減れば、不動産価格も下がるしかありません。
家づくりの土地選びでは、どのような自治体を選べばいいのか
それでは、実際に家づくりの土地選びでは、どのような自治体を選べばいいのかということになります。
おすすめできる自治体選びのポイントは、人口を増やすための施策が実行されているかどうかです。自治体の首長が、自治体の運営を「経営」として捉え、マーケティングやブランディングの視点を行政に持ち込んでいるかです。
具体的には、以下のような課題に対し、施策を実行しているかをチェックしましょう。
1. 税収を確保するために子育て世帯を呼び込む施策
→子育て支援策を手厚くして人口増につなげ、市民税や固定資産税の増収につなげる
2. 公共インフラを充実させるエリアを限定し、行政サービスにメリハリをつける施策
→駅付近など利便性の高いエリアを決めて、「集まって住む」ことを奨励する
<まとめ>
日本の人口・世帯数はすでに減少に転じています。自治体間で、互いに人口を奪い合っているのが実情です。行政サービスを充実させて市民の住まいの快適さを求める自治体と、ただ手をこまねている自治体では、将来的に大きな差がつくことは「すでに起こった未来」です。家づくりの土地選びの場合は、個別の土地情報だけではなく、住みたい街の行政やサービスを必ず確認するようにして下さい。
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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