住宅ローン利用者は、「地震保険」加入がマスト!
2016年に起きた熊本地震。この地震で壊れた住宅や家財に支払われた地震保険料は、2016年6月6日時点で総額2724億円に上ります。これは783億円だった阪神大震災の3倍以上。
どれだけ悲惨な被害だったかわかるとともに、仮にみなさんのご自宅が地震の被害にあった場合、地震保険での補償ができるか確認しておく必要も示唆してくれました。この機会に「地震保険」の加入について考えてみませんか。
火災保険にセットして、地震の被害を補償する「地震保険」
家が建ってから忘れてはいけないのが「火災保険」の加入。
数千万円をかけて手に入れた家でも、恐ろしいことに火災では一瞬で消えてしまいます。運よく命があっても住宅ローンの残債で二重ローンに陥るなんてことがあっては困りますよね。
火災保険に入っておけば補償金で生活を再建できるので、家を手に入れた後はあちこちから「火災保険に入ったほうがいい!」と言われるのです。
同様に、一瞬で家が壊れてしまう災害で忘れてはならないのは地震です。
火災については煙草の火の不始末やコンロの扱いなどの不備という、自分が気を付けて防げる原因もありますが、地震については防ぎようがありません。
けれど、この地震による被害は実は火災保険の対象外。
それを補償するのが「地震保険」なのです。
「地震保険」は、人が住んでいる建物とその家財について、地震や噴火、それに起因する津波で起きた火災、損壊などの損害を補償してくれます。
重要なのは必ず「火災保険」とセットで加入しなければならないこと。「火災保険」に入っていれば、後付けで「地震保険」に入ることができます。
一度に巨額の被害が出るから…「地震保険」の特徴
熊本地震でもそうですが、大地震では一度にたくさんの家が被害を受けますよね。
万が一、巨額な補償費になってしまい、民間保険会社が補償金を払いきれなくなった場合に備え、各損保会社は政府の再保険に入る仕組みになっているのです。
国のお金ですので、一度に支払われる限度額は決まっていて、2016年4月現在で民間会社の保険責任額との合計で一回の地震に支払う限度額は11.3兆円になっています。
冒頭でお話したように今回の熊本県地震で支払われた金額は総額2724億円。現段階でこの額のはるか下ですので、今後想定される巨大地震でも円滑に保険金が支払われるよう考慮されている額とは言えるでしょう。
そして、大きな補償額の支払いが予想されることから、「一戸あたりの補償額が大きくない」という特徴も生まれます。
建物では5000万円、家財では1000万円が限度額で、かつ火災保険料の30%から最大でも50%までしか補償できません。
また、家が全損で契約金額の100%(時価ベース)、半損で契約金額の50% (時価の50%が限度)、一部損で契約金額の5% (時価の5%が限度)となっているので、はっきり言って同レベルの建物の建てなおしまではできない額ですね。
この額では、家がなくなっても生活に困らないほどの蓄えがある場合、加入しなくてもよいかもしれません。
けれど住宅ローンを組んでいる場合や、資産が少ない場合は必ず入っておきましょう。生活再建の足掛かりになるからです。
2017年1月に保険料が値上げ!? 早期加入のススメ
2017年1月、地震保険料が値上げされる予定です。加入希望者はもちろん、値上げの前に入っておくのがベスト。
気になる保険料は都道府県ごとの一律です。
今回大きな被害に遭った熊本県の額は、実は東京の約三分の一の額でした。地震のリスクが低いとされていたためです。
参考までに、全国の保険料を表にまとめたものを載せておきます。
リスクが低いと言われながらも大地震が起きた熊本県の例もありますので、仮に安ければお得、と前向きに加入を考える材料にしてください。
割引制度も紹介しておきます。
「建築年割引」と「耐震等級割引」、「免震建築物割引」、「耐震診断割引」の4種類が設けられており、それぞれ10%~50%の割引が適用されます(重複不可)。
また、地震保険料控除により、所得税(国税)では最高5万円、住民税(地方税)では最高2万5千円を総所得金額等から控除できます。
まとめ:リスクに備えましょう
とにかく地震については「必ず起きる」と明言されていますから、その備えについて考えておくことは無駄ではありません。
まず耐震性のある建物を建てる、または補修で自信に強い家にする。そのうえでそれでも起こる万が一に備え、地震保険についても考えましょう。(→地震大国・ニッポン!その恐ろしさ、本当に知ってる?)
大きな買い物であればあるほど、いざという時の補償も必要なのです。
とくに住宅ローンを背負っている方。絶対に入っておきましょうね!!
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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