家の形を決める「建ぺい率」「容積率」 間取りに関わる法規③
家の間取りを考える時には、同時に家の広さや高さなども考え合わせなくてはなりませんね。この家の広さや高さは「敷地の範囲内なら、自分の好きなようにしていい」…と思ってはいませんか。実は「建ぺい率」「容積率」という基準で、土地ごとにその最大値が決まってしまっているのです。
建物の高さや広さはまず「用途地域」で決まる
前回学んだ「用途地域」は、建物の目的(使用方法)ごとに、建ててよいエリアが決まっているというものでした(「建てられる建物は「用途地域」で決まる! 間取りに関わる法規②」)。
そのエリアによって、建物の高さや広さなどにも制限があったことを覚えてらっしゃるでしょうか。
この規制が実際に適用される際に使われるのが「建ぺい率」「容積率」です。
まずは「建ぺい率」とは何かを見ていきましょう。
「建ぺい率」とは漢字で「建蔽率」。つまり「建物」がその土地を「蔽う(おおう)」割合のこと。
建蔽率は建築面積を敷地面積で割って算出します。
建築面積とは「建坪(たてつぼ)」ともいわれるもので、建物の外壁や柱の中心線で囲われた部分を地面に水平に投影したもののことです。
建物を真上から見た時の面積をイメージするといいと思います。
例えば、面積が100㎡の土地の建ぺい率が60%だった場合。
その場合は、100㎡×60%=「60㎡」まで建物が土地を覆ってよいことになりますね。
ちなみにこの建築面積から除外される部分もあります。細かくは自治体によって違いますが、例えば突出が1m未満のひさしなどは除外対象です。
次は「容積率」です。
容積率とは、その家の床面積の合計を敷地面積で割ったもの。
例えば2階建ての家であれば、1階部分の床面積+2階部分の床面積を敷地面積で割って出します。
敷地面積100㎡に対して、容積率が80%だった場合はどうでしょうか。
100㎡×80%=「80㎡」が床面積の合計になるよう計画すればよいのです。
例えば2階建ての家にしたい場合。
建ぺい率が先ほどの例と同じで60%だった場合、1階は60㎡まで使っていいということになります。
ですから、例えば各階40㎡の家はOKです。1階60㎡、2階20㎡の家などもOKですね。
なお、床面積を考える時に、よく「延床面積」という言葉が使われますが、容積率を考える時は少し注意してください。いうのは、一見床面積のように見えても容積率の計算から除外される面積があるからです。
例えば車庫部分、小屋裏・地下室、一定条件内の出窓、奥行2m未満のバルコニーなどは一般的に算定されません(※除外部分は自治体によって違うので確認が必要)。
厳しい敷地条件の中少しでも広く建てたい、というような場合は、こういう算定されない条件を上手に使うことも重要です。
土地検討の際に自治体に問い合わせておきましょう。
まとめ
「建ぺい率」と「容積率」で、建てられる家の最大限の大きさが決まってしまうことがおわかりいただけたと思います。
とくに規制が厳しい住居系の用途地域では、建ぺい率の上限は30%から60%と非常に低く定められています。一方、商業系の地域は80%です。どちらの地域に家を建てるかによって、建てられる家は大きく変わってきます。
実際に間取りを考える時になって「できないこと」ばかり見えてくるのでは、がっかりしてしまいますよね。
建てる土地による規制をしっかり調べ、土地購入の際は理想の間取りが建てられる土地を選ぶように、土地がある場合はその範囲でできることを再確認するようにしてください。
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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