プロが止める!「住宅の設計を依頼してはいけない設計事務所」3つの特徴
自分らしいオリジナルな家を実現するために、大手住宅会社や地元の工務店にはないデザイン力や提案力を求めて、設計事務所に家づくりを相談しようと考えている方も増えてきました。
ただ全ての設計事務所が「家づくり」が得意なわけではないのです。お客様の家づくりを支援している立場から、「依頼してはいけない設計事務所」について触れておきたいと思います。
お金のことが苦手、関心がない
あくまでも一般的な傾向としての話ではありますが、設計事務所の中には
- 家づくりの資金計画はお客様任せ(お客様の予算や資産について遠慮してヒアリングしない)
- お客様からの住宅ローンの相談に対し、適切なアドバイスができない
という会社もありますので注意が必要です。
設計事務所はあくまでも「設計のプロ」であり、住宅の設計・監理業務がメインの仕事ではあるのですが、お客様の資金計画や住宅ローンの内容をふまえた上で計画を進めていかないと、お客様の予算に応じた設計案は作成できません。お客様の家づくりの要望は多岐にわたりますし、設計事務所もプロとしての提案をしていくと、多くの場合で見積りをした結果、大幅な予算オーバーという事態になります。そうしたことを防ぐためにも、「お金」に対する意識が重要なのです。
現在の日本の建築教育では、ファイナンスに関することは教えられていないので、建築家も社会に出てから実務を通じてお金に関することを仕事の中で経験します。しかし、土地契約や住宅ローン手続きは設計事務所の本来の業務ではないため、やんわりと「敬遠」している設計者が多いのです。
それでも家づくりの経験が豊富な設計者や、自分自身で自宅を購入する際に住宅ローンを組んだ経験のある設計者の中には住宅ローンの基礎知識がある方も多いので、初期の面談の中で確認することをおすすめします。
スケジュールを守る意識が薄い
家は、計画、設計、施工などのプロセスを経て完成します。その流れを共有するためにスケジュール表など作成してくれる設計事務所も多いのですが、いくつかの理由により、お客様とお約束した家の引き渡し予定が大幅にずれてしまうということも起きやすいのです。
設計事務所としては、せっかくお客様から設計を依頼されているので、お客様のためにより良い設計をするために時間をかけたい、お客様にもじっくり考えてほしいということもありますが、実は設計以外にもコスト調整などでスケジュールがずれてくることが多いのです。
家づくりの時間軸を関係者で共有し、守っていくためには下記の点に注意しましょう。
- 引き渡し予定が絶対に延期できない場合(仕事や子供の転校等) は必ずその旨を伝える
→設計事務所に、引き渡し予定から逆算して設計、申請、見積り、工事の段取りをしてもらう - 設計打合せの中で施主として決めなくてはいけないものは早めに決断する
→家の仕様が決定しないと見積りを依頼できないなどの弊害がある - 基本設計段階で、工務店に概算見積りを依頼し、設計案と予算のバランスを早期に把握する
→設計が全て完了してから見積りを行うと、大幅な予算オーバーの場合、工程が遅れる
工事費に関するコスト調整力が弱い
建築工事費は、おおまかに言うと下記の3つの合計金額で決まります。
- モノのお金:使う建材等の「単価×数量」の合計
- ヒトに払うお金:大工さん、職人さんなど「つくる人へ支払う金額」の合計
- 工務店に払うお金:諸経費と言われ、「現場作業以外の人件費や広告費、会社費用、工事関連費用の金額」の合計
※家の工事費について詳しくは↓
「設計事務所に家づくりを依頼すると金額が高くなる」というイメージもあるかと思いますが、見積り金額が高くなってしまう傾向にあるのは、主に下記が理由です。
- 予算に対して、家の規模が大きい
- お客様の要望を優先した結果、仕様のグレードが高い
- 造作家具が多かったり、特注の建材を採用している場合
- 建材の価格は常に変動しており、職人不足による工事費高騰もあり、実勢価格がつかみにくい
住宅をコンスタントに設計している建築家であれば、上記の理由に対して設計段階から配慮し、コストダウンのための知恵の引き出しが多いので、工事費に関するトラブルになりにくいです。気をつけなければならないのは、住宅設計の経験が不足している建築家や、久しぶりに住宅を設計することになり実勢価格の感覚がない建築家には注意しましょう。
まとめ
設計事務所には、住宅設計が得意な会社もあれば、マンションや事業系の建物の設計が得意な会社もあります。家づくりの依頼先として設計事務所を検討する場合は、住宅設計が得意な会社の中から選ぶようにしてください。設計だけではなく、お金やスケジュールの管理も重要なことですから、そうした力量があるかどうかを契約前の面談で知ることがとても大切です。
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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