家づくりはもっと「ユーザーファースト」であるべき理由
住宅業界で働いている筆者は、自分の実務経験や、施主として自邸で家づくりを経験したことを通じて、とにかく日本の家づくりは「不親切」だと感じています。つくり手側の「仕事の質」を問題視しているのではなく、すまい手に対して「ユーザーファースト」ではない点です。いろいろな局面で、こういうのはダメなのではないか、こういう事をしていると先がないのではないか、と感じます。
つくり手側が主導権を握りやすい「住宅」という分野
起業する前に、筆者は身近にいた友人、知人から住宅業界の現状に問題提起をされる機会が何度かありました。その内容は、今の住宅業界に関わっている人の大半は、例えば仕事を頼んだ時でも、ユーザーに対してあまり情報を開示しないで、つくり手側だけで勝手に進めてしまうきらいがあるのではないかという指摘です。
住宅や建築の仕事は、新築でもリフォームでもリノベーションでも、「想いや要望を、カタチにする」仕事ですので、見えないものから見えるものをつくるという独特の難しさは確かにあります。
ただ家づくりも「ビジネス」ですので、本来「ユーザーファースト」でしっかりユーザーの意向を汲み取った上でのサービスを提供するものですが、住宅業界のつくり手は、ユーザーにわかりやすい説明やサービスが欠けているという指摘もありました。
つくり手側の最も苦手なことは、お客様に必要なことをわかりやすく伝えること
筆者が多くの設計事務所や工務店と接していて強く感じるのは、つくり手側の最も苦手なことは「お客様(発注者)の立場になり、お客様が知りたいことや必要としていることをわかりやすく伝える」ことです。筆者も設計事務所や工務店で実務を経験しておりますが、正直なところあまり自覚はありませんでした。
なぜ苦手なのかを考えると、つくり手側に決して怠慢や悪気があるわけではなく、下記の理由が考えられます。
- 自分自身が「お客様(発注者)になったこと」がないので、お客様の悩みがわからない
- つくり手としての実力を訴求せざるを得ないので、結果としてお客様に寄り添うことが難しい
- 学校や会社での教育の中に「お客様(発注者)」に役に立つプログラムが準備されていない
筆者は起業するにあたり、もっときちんと家づくりのサービスの質を高めて、すまい手との間に対等なビジネスモデルを構築するのが必要なのではないかという課題を自分に課しました。
事実、筆者が経験してきた中でも確かに思い当たる節がありました。簡単に言うと設計事務所や工務店が主で、仕事を依頼しているユーザーが従という関係性です。実際に現場で仕事をしてくれる、大工さんや職人さんなども待遇が悪いとか、そういった話も耳にしました。
つまり非常に閉ざされた業界であったわけです。これをもっとオープンな、風通しの良いカタチに変えていかない限り住宅・建築業界の先は本当にないのかとも考えています。今のシステムを漫然と続けていけば間違いなく衰退してしまうかもしれません。
まとめ
もっとオ−プンに情報を発信してエンドユーザーとの接点を構築していく事が重要だと考えています。日本の家づくりで圧倒的に不足していると思われるのは、ユーザー視点による情報提供です。どんな会社があってどのように選定すればよいかなど、エンドユーザーにお役に立つサービスをつくり続ける必要性を感じています。
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
最新記事 by HOUSEBASE 代表取締役 植村将志 (全て見る)
- 4号建築物も構造図書の保存義務化へ - 2020年1月10日
- 耐震等級の徹底解説!住宅性能表示の構造の安定とは? - 2019年7月29日
- 住宅のリフォームは「健康性能の強化」が必須な理由 - 2019年6月15日
- 工務店は「事業承継できるかどうか」で選ぶ時代に - 2019年5月20日
- 省エネルギー住宅の「全館空調」はエアコンのみで実現できる - 2019年5月19日
こちらから(コメントフォーム)自由にコメントください!