家づくりは工務店を特命するとお得!優良な設計事務所が実践するコスト調整法
注文住宅の設計契約をコンスタントに受注している優良な設計事務所に共通しているのは、施工者である工務店を特命して、概算見積りから協働してもらっていることです。設計事務所にとっては、信頼関係が構築されている工務店に依頼できることで仕事や行いやすいメリットがありますし、建築主に対しても早い段階から根拠のある見積りを提示できるため、予算とコストのすり合わせが行いやすくなるメリットがあり、予定通りのスケジュールで家づくりを進めることができます。このコラムでは、優良な設計事務所が実践するコスト調整法である「特命で概算見積りを行うことのメリット」についてお伝えします。
家づくりの概算見積りは信頼できる工務店に依頼する
設計事務所案件における工務店選定においては、設計を依頼した設計事務所がその工務店に複数回仕事を依頼し、信頼関係が構築できている工務店に概算見積りの相談をすることがポイントです。
その工務店の工事の進行と工期の管理、建築主への対応、現場で設計変更が生じた際の工事後の追加金額の妥当性など、施工者としての能力に加え、設計事務所の仕事や立場を理解しているかどうかを見極めることが重要です。
実力、実績のある工務店では、上記の条件をクリアしていることが多いので、基本設計段階での概算見積りにおいても、信頼して相談できる相手となります。
工務店選びは相見積りよりも特命で相談したほうが安くなる理由
あまり知られていませんが、設計事務所と工務店の信頼関係が構築されている場合、基本的に特命の見積りは相見積りよりも安くなります。なぜなら、営業的なかけひきも必要なく、現場でのさまざまなことにおいてもお互いに誠意をもって対応できる関係のため、工務店としては経費を余分に「保険」として見積りしておく必要がないからです。
特命の場合、他の工務店との比較検討や相場の確認はできないことだけ注意してください。設計事務所が項目や数量、単価などの見積りはチェックしますのでその査定を信頼しましょう。リスクも含めて具体的に情報を共有し、建築主、設計者、施工者で納得の上で、概算見積りによる工事金額の検証を行いましょう。
特命で工務店に概算見積りを依頼するメリット
特命で工務店に概算見積りを依頼するメリットは下記となります。
- 詳細な概算見積りにより、実施設計後の設計変更が少なくて済む
- 概算見積書の内容が具体的であるため、すまい手の要望が多すぎる場合に予算的に厳しいことがリアルに把握できる
- 設計事務所も知らなかった安くて良い材料を、工務店から提案してもらえる
- 工務店への技術的な相談、打合せが設計段階から可能になる
- 工務店に工事の予定を入れておいてもらえるので、スケジュールが守りやすい
特命で工務店に概算見積りを依頼する唯一のデメリットとしては、1社の見積り金額しか提示できないため、金額の比較検討ができないことです。ただ、設計事務所と工務店が共に仕事をしたことがある関係であれば、前回の仕事までのデータもありますので査定は行いやすいはずです。
概算見積りはあくまでも目安であることを理解する
基本設計段階における概算見積りは、設計完了時の本見積りと同様に詳細な積算を行うことがポイントになります。設計で仕様が確定していないところについては、「想定」で内容を仮決めし、概算見積りに費用を含めることになります。
概算見積りで注意することは、工務店がよかれと思って「予算設定のための項目、金額入力したもの」に対して、その金額だけに反応して疑心暗鬼になってしまうことです。あくまでも設計や仕様を決めるのは建築主であり、設計者ですので、冷静に見積書を確認するようにしましょう。
概算見積りを依頼した工務店に打合せに参加してもらう
設計事務所が信頼している工務店に概算見積りを依頼した場合には、設計打合せの段階から必要に応じて工務店にも打合せに参加してもらうことがおすすめです。
建築主と設計者、施工者が早い段階から顔を合わせて話し合うことで、互いの信頼関係が築きやすくなり、工務店に対して見積書や工事に対する不信感も生じにくくなります。
施工者である工務店に打合せに参加してもらうことで、納まりや施工方法などについて相談しながら設計を進めることもできます。
まとめ
基本設計段階における概算見積りでは、図面や仕様書など見積りの資料が不足していることがほとんどです。その場合、より正確な概算見積りを算出するためには、過去の事例のデータが図面情報と同様に重要になります。
過去にその設計事務所と仕事をしたことのある工務店であれば、過去の事例の資料からその設計事務所の納まりや建材の選び方などに「癖」がありますので、そのことをふまえることでより精度の高い概算見積りを行うことができます。
今回ご紹介させていただく優秀な工務店
リモルデザインは、設計事務所案件の見積り依頼や施工の実績が多い工務店です。リモルデザインは、設計者が考えるデザインの意図を把握し、施工図(造り方を指示する図面)等で納まりを検討して、現場で指示することを常に心がけています。
リモルデザインの場合、限られた情報でも内訳書を含めて20枚以上となる精度の高い概算見積書を作成しています。その概算見積書には、何にどれだけお金がかかっているかが明確に示されているため、設計事務所が設計案と予算の調整を行う際の有効なデータとなります。設計事務所に設計を依頼しているお客様にとっても、優先順位を検討でき、金額の増減について把握しやすくなると思います。リモルデザインが設計事務所から評価を受けている大きな理由です。
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
最新記事 by HOUSEBASE 代表取締役 植村将志 (全て見る)
- 4号建築物も構造図書の保存義務化へ - 2020年1月10日
- 耐震等級の徹底解説!住宅性能表示の構造の安定とは? - 2019年7月29日
- 住宅のリフォームは「健康性能の強化」が必須な理由 - 2019年6月15日
- 工務店は「事業承継できるかどうか」で選ぶ時代に - 2019年5月20日
- 省エネルギー住宅の「全館空調」はエアコンのみで実現できる - 2019年5月19日
こちらから(コメントフォーム)自由にコメントください!