あなたが選ぶ、「工務店」「ハウスメーカー」「設計事務所」
信頼できる依頼先探しが、家づくりのはじめの一歩です。みなさんが直接関わる家のつくり手には「工務店」「ハウスメーカー」「設計事務所」があります。それぞれの特徴を理解し、自分の家づくりにぴったりのパートナーを探しましょう。
「工務店」「ハウスメーカー」「設計事務所」の違い
家づくりは、すまい手(施主)とつくり手(建築業者)、両方がいないと始まりません。
実際に家を設計、材料を手配し建てる作業を担うつくり手たちには、大きく分けて
- 「工務店」
- 「ハウスメーカー」
- 「設計事務所」
の3つがあります。まずはそれぞれの特徴を見てみましょう。
「工務店」の特徴
地域に密着した建設会社を指します。
施工専門のところもありますが、家づくりの窓口になるのは設計・施工の両方を請け負う会社です。地元で長年仕事をしているのが何よりの実績です。
伝統的な木造在来工法を得意とすることが多いですが、新しい工法を導入して品質や性能の向上を図っている工務店や、設計・提案に力を入れる工務店も増えています。
- 親しみやすく家庭的
- 大工さんや職人さんの顔が見え、相談しやすく安心感がある
- 地元で施工した実例が見られる
- 地域に密着ていて、土地や業者の情報に精通している
- その土地特有の気候(例えば暴風や湿気、塩害)への対策ができる
→詳しくは「工務店」の種類と仕事を理解しよう![工務店との家づくり①]
「ハウスメーカー」の特徴
大手の住宅建築会社です。
組織力を武器に「長寿命」「環境にやさしい」など、すまい手のニーズが高い生活提案を含めて住宅を商品開発しています。独自の構造や工法を開発し、規格化された工業製品を組み合わせて建てられるので合理性が高まりますが、間取りも制限されることがあります。
窓口となるのは営業担当者で、その力量にも左右されます。
- 施工品質が安定し、耐震性や省エネ対策などの基本性能が確保されている
- 提携会社などのネットワークがあり土地探しや資金計画の相談もできる
- カタログやモデルハウスで、外観・インテリアのイメージがつかみやすい
- 規格化、合理化が進んでいて設計・工事期間が比較的短くてすむ
- 保証・アフターサービスの内容が明確
「設計事務所」の特徴
建築士が運営する事務所で、設計と工事監理※を専門に行います。施工は工事請負契約を結んだ工務店が担当します。設計事務所によって家の作風はさまざまなので、好みのデザインや家づくりの考え方が合うことが何よりも重要です。家づくりの期間も、余裕をもって長めに考えておいたほうがよいでしょう。
※工事監理 工事を設計図書と照合し、そのとおりになっているか確認すること
- 間取り・デザインにこだわった家が建てられる
- 変形敷地や狭小敷地など敷地条件に合わせて設計できる
- 見積りの金額調整や工務店選定などで、コスト削減の対策を提案してくれる
- プロの目から見ておすすめできる工務店を紹介してもらえる
- 設計どおりに工事が行われているか第三者の目で監理してくれる
→詳しくは「設計」だけじゃない、設計事務所のお仕事。「設計監理料」、「工事監理」とは?[「設計事務所」との家づくり②](後日公開予定)
こんな人にはこの依頼先がおすすめ!
私の経験もふまえ、どんな人がそれぞれの依頼先に向いているのかをまとめてみます。
工務店がおすすめ! 「地元とのつながりを大切にしている人」
顔が見える安心感を求める人にはぴったりです。地元に根づいた優良な工務店は、友人・知人からの紹介、地元の口コミ等で存在を知ることもあります。依頼すれば、地場産業の振興にもつながります。
- 「自分の要望が具体的に言える人」
要望を具体的に伝えれば、予算内で柔軟に相談に乗ってくれることが多いです。 - 「引渡し後のメンテナンスを気軽に相談したい人」
何より近いのですぐに駆けつけ、見てもらえます。
ハウスメーカーがおすすめ! 「スピーディーかつ合理的に建てたい人」
土地探しから家づくりまでをワンストップで任せることができるので、忙しい人にも向いています。家づくりそのものも高度にシステム化されているため比較的工期が短いです。
- 「大手企業としての安心感がほしい人」
大手ハウスメーカーには上場企業も多いです。経営状態などもしっかりチェックできます。 - 「性能や、最新の設備・工法等に関心が高い人」
組織力が高く研究力があるので、その最新の成果で家が建てられます。
設計事務所がおすすめ! 「フルオーダーでオンリーワンの家がほしい人」
せっかくなら、デザインも設備も世界に一つだけの家にしたいというこだわりを持つ人には設計事務所=建築士との家づくりが向いています。
- 「予算や敷地など難しい条件がある人」
力量ある設計者は、難しい条件を上手に解決してくれます。 - 「こだわりがあり、時間も比較的かけられる人」
自分の思いを伝えきるためには、設計者との打ち合わせ時間がかかります。
「建築プロデュース会社」という選択肢も
とはいえ、より多くの出会いの中から自分に合う依頼先を選びたいという人は、「建築プロデュース会社」に相談してみるのも良いでしょう。建築プロデュース会社は信頼できる依頼先を紹介してくれたり、コンペとして依頼先を募集してくれたりなど、色々な方法で候補を絞って提案してくれます。
HOUSE BASEでも「家のつくり手名鑑」として信頼できるつくり手の情報を公開します。
ここからはぜひ、情報収集を始めてください。
工務店や設計事務所に興味がある方は、それぞれのホームページを見てみましょう。家づくりの進め方に大きな違いはないはずなので、設計・施工事例で作風やテイスト、家づくりのスタンスに共感できるかという視点でチェックしてみてください。
→詳しくは「失敗しない工務店選び、10のポイント[「工務店」との家づくり②]
ハウスメーカーに興味のある方は、カタログを取り寄せたりモデルハウスに足を運び、最新の技術や情報に触れてみましょう。
よいつくり手と出会われることをお祈りしています!
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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