公開日:2016.12.13 / 最終更新日:2018.11.03
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飾るだけの美術品じゃなくて、使うほど愛着がわく工芸品。
神奈川県横浜市、港北ニュータウンを有する都筑区に社を構えるジェイホームズ株式会社。社員とパート従業員合わせて17名、専任の大工22名を抱える、工務店としては規模の大きな会社です。運命に導かれるように起業、そして業績を伸ばしてきたジェイホームズの軌跡を、代表取締役社長の牧野伸一(まきの・しんいち)氏に聞きました。
強みは人材。職人の腕が信頼につながっています
昔から、家づくりは「棟梁」の腕で決まるといわれてきました。棟梁の仕事は、現在では「現場監督(施工管理者)」と「大工の親方」が担っています。この2人の職人の技量が、家の良し悪しを大きく左右するんです。ジェイホームズには私を含めて6名の現場監督がいて、全員が10年以上のキャリアを持つベテランばかり。彼らが建物全体を統括するので、安心して家づくりをお任せいただけるでしょう。
そして当社では20名以上の専属の大工の親方を抱えています。「専属」というのはあまりほかでは聞かない話ですが、当社では優秀で信頼のおける専属の親方以外に施工を任せることはありません。そして親方のほうも、当社以外から仕事を請けることはないんです。群を抜いた腕のよさを他社に取られることなく、当社のためだけにフルに使ってもらっているわけですね(笑)。優秀な親方がそろっているからこそ、建物すべての施工を安心して任せられるんです。
私が考える優秀な親方とは、腕のよさはもちろん、いくらベテランになっても常に基本的なプロセスを意識して守る人。そして、作業が終わったらきちんと片付けて、現場をきれいに保つ人。結果、まじめで神経質な親方ばかりです(笑)。優秀な人材は探し回ってでも当社に入ってほしいと、常々貪欲に思っています。
建築の道に入ろうと決意したのは中学時代
お陰さまで順調に成長してくることができた当社ですが、私自身に「独立したい」「会社を大きくしたい」という野望があったかというと、そうではありません。思い返せば、建築の道へ入ろうと決めたのは中学時代。実はうちの親族には、おじが設計事務所をやっていたり、祖父が大工だったりと、建築・土木系の職種の人が多かったんです。その影響を受けたんでしょうね。おじが図面を書いているのを見て、「自分もやってみたい!」と思ったのが発端だったように記憶しています。かっこいいとか憧れとかというよりも、自分が思うように建物をつくってみたいと、漠然と思ったという感じでしょうか。
もうお気づきだと思いますが、実は私、現場監督よりも設計がやりたかったんです。設計事務所に入りたいと思っていましたが、大学時代にアルバイトで設計事務所に行ってその実態を見ると、先輩たちの中には親に仕送りをしてもらわないと生活できない人も。私の場合は仕送りを期待できるような状況ではなかったし、社会に出てまで金銭的に人の世話になりたくはなかったので、住宅メーカーに入社することに決めたといういきさつがありました。
順風満帆に思えたサラリーマン生活が一変!
住宅メーカーに入社後は、まずは現場の勉強をして、その後に設計を担当する予定になっていました。が、設計には行かずそのまま現場監督に。そのほうが性に合っていたんでしょうね。1980年に入社して、95年には横浜支店長に。この頃には現場よりも、マネジメントが主体になっていました。98年には建築部建築部長に任命されるという、王道の出世コース(笑)。2001年には別の住宅メーカーに建築部長兼首都圏営業本部工事部長としてヘッドハンティングされ、9名のスタッフを連れて転職しました。
順風満帆のように思えたサラリーマン生活でしたが、なんと2003年にこの会社が倒産。9名のスタッフを引き抜いた責任は私にありますから、みんなに行きたい会社を聞いて、名前が挙がってきた14社すべてに全員の経歴書を送りました。そのうち6社から反応があり、9人全員採用したいと言ってくれた会社に入社を決めたんです。でも2年後、今度はこの会社が経営悪化で部門を閉鎖することになってしまいました。こんな憂き目に遭って、とうとう私自身が起業することを決意。たった2週間での決断でした。
何かに導かれるようにジェイホームズを設立
実をいうと私は、組織の中で働くことが決して嫌いではなかったんです。イヤになって辞めるということは一度もなかったし、「いつかは自分で会社を経営してみたい」なんて、思ったことさえありませんでした。たまたま部門閉鎖で優秀な親方たちを手放すのはもったいない、じゃあ独立しようか、という流れ。運命に導かれたと言ったら大げさだけど、節目節目に下してきた自分の判断が積み重なった結果、2005年、ジェイホームズを設立することになったんです。
この時期に取り組んだのが、これまでいた住宅メーカーの問題点の確認。そして、もっとも重要なのは、私自身が本当に何をやりたかったのかを再認識することでした。住宅メーカーは良くも悪くもシステマチックで、大げさに言えば図面と注文書と検査で家が建つというイメージ。設計事務所やデザイン事務所、建築家が手がけるような個性的なデザインの仕事は請けません。私は、そんな仕事こそやってみたいと思いました。自分たちの知恵と能力と汗と涙を注ぎ込んで、世界にたったひとつだけの家をつくりたいと。幸運なことに、当社はそれを成し遂げることができる優秀な親方たちに恵まれていました。どこにも負けない、精度と美しさを兼ね備えた住宅をつくる会社に成長していこうという決意を胸に、業務をスタートしたんです。
営業マンがいない、「作品」をつくることに特化した会社
営業マンがどんどん仕事を取ってくるような工務店は、売上げも伸びるでしょう。でも当社は私ともう一人の設計担当社員が多少営業らしい業務を掛け持ちしているだけで、専任の営業マンはいません。建てる人たちのマンパワー以上の受注はしないし、その必要はないと考えています。「この人になら任せられる」と思える現場監督を採用することで、徐々に事業を拡大してくることができたんです。
当社では手がけた建物を「作品」と呼んでいます。心血を注ぎ込み、時間をかけて生み出した愛着のある作品。自慢できる作品は建築のプロからも評価され、それを見た人が設計事務所を紹介してくれるなどといったこともあります。創業から12年目の現在までに、80棟以上の建築家案件を担当し、多くの建築家からリピートオーダーを受けているんですよ。私の自宅も今年になって二世帯住宅に建て直して、1階と地下をショールームにしているんですが、建築中の建物と看板を見て、設計事務所にデザインを依頼してきたお客さまがいました。この方は大手ゼネコンの技術者をされている方だったんです。当社の場合、作品そのものが営業マンだと言ってもいいかもしれませんね(笑)。
私たちの作品は、「美術品」ではなく「工芸品」
当社が手がけるのは、ほぼすべてが木造の新築住宅です。一生に一度あるかないかの家づくりを担うのですから、デザインと住み心地が調和していなければなりません。そこでコンセプトにしているのが、「Jhomesスタンダード」という考え方。飾っておくだけの美術品なら、デザインや流行を重視してもいいでしょう。でも家は何十年も住むわけですから、その時よければいいというものではありません。逆に、メンテナンスのしやすさをはじめとする機能ばかりを追求すれば、画一的な日用品のような味気ないものになってしまうでしょう。
私たちが手がけるのは、美しさと機能の調和が取れた、使うほどに愛着がわく工芸品。デザイン住宅とオーダー住宅それぞれの長所を取り入れた注文住宅建築で、工芸品のような家づくりを目指します。それが「Jhomesスタンダード」なんです。
自分たちがダメだと思えばやり直す。妥協は一切なし!
私自身、失敗して学んだことはたくさんあります。恥をかいたり痛い目に遭うと、それに懲りて次に失敗しないようにするにはどうしたらいいかを考える。それで技術が磨かれたり、知恵がついたりするものだと思っています。正直に真摯にお客さまに接して、「こうするべきだ」と思ったことに妥協はしません。だから、ダメだと感じたら帳尻を合わせるようなことはせずに、最初からやり直す。この姿勢は、社員にも親方たちにも浸透していますね。
こうした姿勢の影響もあり、当社の検査は非常に精度が高いものです。クリアランスを狭くして、厳しい目で検査を行うようにしています。竣工時に加えて、6ヶ月後、1年後、2年後に定期点検を実施。アフターメンテナンスにも妥協は一切ありません。
「うちで建てたお客さまは幸せになるはず」と信じて
当社にご相談に来ていただいたお客さまには、ヒアリングをもとに、希望するデザインがもっとも得意な建築家を紹介しています。お医者さんに内科、外科といった専門があるように、デザインにも建築家それぞれの専門や強みがありますからね。望みの家づくりのために最も相性のいい建築家をプロデュースできるのも、建築家案件に強い当社ならではの特徴だといえるでしょう。
当社の考える一番の社会貢献は、家づくりを通じてお客さまの幸せに尽力することです。どの会社よりも、当社を選んで家を建てたお客さまは幸せになるはずだと信じて、喜びや感動をお届けしたいと切に願っています。
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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