公開日:2018.06.21
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ニセ建築士問題より「4号特例なので構造強度は不明」を騒がない不思議な国
先日、建築士の無資格者が、神奈川県に実在する建築士や設計事務所の名をかたって、戸建て住宅の設計や確認申請などを手がけていた事件がありました。
その「ニセ建築士」が実務を手がけた建物は少なくとも55棟はあるそうです。
事件が発覚したのは、民間の指定確認審査機関から県への通報で判明したそうです。
確かにニセ建築士の罪は大きいのですが、もっと闇が深いと思ったことは行政のコメントです。
「4号特例があるため、構造的に安全かどうかの確認を急がなければならない」
4号特例をご存知の方は理解できると思いますが、これが日本の木造住宅の実情です。
こうした建築士の問題が発生したときには、下記のことが問題視されます。
①建築士資格の有無
②その建築士が行った実務の内容(法規や性能など)
木造住宅に関する事件の場合、①を問題視されますが、②はあまり大きく報じられません。
建築士の有資格者でも、②の問題(特に構造に関する部分)を「正しく行われていない」ことも多い事実があるにもかかわらず、です。
建築士という資格の有無を問う前に、「住宅の安全性を担保していない=構造計算していない」ことをもっと問題視するべきだと思います。
確認申請を提出するときには、申請業務を行う住宅会社や建築士事務所は必ず施主から「委任状」の印鑑をもらいます。
その委任状に「4号特例で確認申請を提出します。」とか一文を入れてもよいかもしれません。
「4号特例」は、その建築士が責任をもって構造の安全性を確かめているので確認申請における構造の審査は省略するという「建築士の性善説」に基づき、運用されている不思議なルールです。
きちんと構造の安全性を確かめている建築士は堂々と施主から委任状を受け取り、「4号特例=構造の安全性を確認しなくてよい(構造計算をしなくてよい)」と勘違いをしている住宅会社や建築士は委任状をもらうことに勇気がいるはずです。
日本は、ニセ建築士を嘆くよりも、「4号特例なので構造強度は不明」を騒がない不思議な国です。
「木造の構造に関する認識」や「4号特例」は、建築士側に罪の意識が全く無いという部分で、本当に闇が大きいと思います・・・。
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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