「デザイナーズ住宅」の注意点
個性的な間取りやデザインの家が、テレビや雑誌などで紹介されることが多くなってきました。画一的な住宅やマンションではなく、注文住宅で理想のマイホームを建てたいといったニーズは多いのでしょう。こうしたいわゆる「デザイナーズ住宅」と呼ばれる家には、デザインと性能が両立しているものもありますが、デザインを優先させた結果、問題が生じやすいこともあります。注意が必要なことをまとめてお伝えします。
デザイナーズ住宅のチェックポイント
デザイナーズ住宅に関心があり、これから設計を依頼する人も、すでに設計を依頼している人も下記の点についてチェックしてみてください。どんなにデザインにこだわっていても、家は長く使うもの。そこにはどうしても欠かせない配慮が求められるのです。
1.デザインと耐震性が両立できているか
- デザインを優先しすぎた場合、大きな窓の箇所数が多かったり、窓の位置(残りが壁の位置)のバランスが悪いことが多い。
- つくり手に構造計算を行っているかを確かめ、安全性の検証ができた上でのデザインであることの確認を怠らないようにする。
2.省エネに配慮されているか
- 温熱は外皮性能を強化しつつ、日射や通風を考慮したパッシブ設計になっているのかを、つくり手に確認する。
- つくり手が対応できていない場合、専門の会社に省エネ計算を依頼する。
3.メンテナンスができない家
- 建物の形状が複雑すぎる家は、それだけで雨漏りの可能性が増える。
- 建物の形状が複雑すぎる家は、修繕にかかる費用もアップする。外壁や屋根の修繕を行う場合、建物の外回りに足場を組むが、建物形状が複雑だと足場の費用が高くなる。
4.雨漏りの可能性が高そうな納まりの家
- 「軒の出」(建物から屋根が伸びている部分を「軒」)がない建物。軒の出が少ない場合、吹き込んでくる雨には弱い。それを補うような設計上の配慮が必須。
- 軒がないことで外壁が雨を直接受けることになり、その分、確実に外壁の劣化スピードは早まる。
5.可変性がない間取り
- 将来への備えとして、中古住宅としての売却を考えたときに、可変性がない間取りは買い手がつきにくいことが多い。
- 後から容易に間取り変更できるようにするなどの配慮をつくり手と相談。
まとめ
デザイナーズ住宅を建てたい場合は、今回挙げたような注意点をふまえた上で、デザインや性能、メンテナンスに配慮できる実力のあるつくり手に依頼することが必要です。
本当にデザイン性の高い住宅とは、飽きのこない普遍的なデザインと、耐震性や省エネ性などについて十分な配慮があり、可変性を高めることで売却時の価値を高められる家なのです。
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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