失敗しない工務店選び、10のポイント[「工務店」との家づくり②]
新築一戸建ては、その約8割が工務店によって建てられています。
あなたのお家を建てるパートナーになる確率が高いと言えますが、どの会社が良い工務店なのか、見極めるのはなかなか難しいですよね。大切なパートナー選びに失敗しないために、確認しておくべきポイントをまとめました。
家づくりを工務店に依頼することに決めた場合、雑誌やインターネット、知人からの紹介など様々な情報をもとに依頼先を検討されると思います。
けれど、出会った工務店が本当に良いつくり手かどうかを見極めるのは、かなり難しいことです。
工務店側が説明してくれる内容が抽象的すぎるとか、自分に合う工務店の基準がわからない、というようなこともよく聞きます。
お気に入りの工務店が絞られてきたら、下記の10個のポイントでチェックしてみてください。
これは私が実際の業務経験から学んだ、良い工務店の最低基準です。
全てを満たす必要はありませんが、満たす項目が多ければ多いほど、優良な工務店といえると思います。
1.webサイトを確認する
webサイトがある
サイトのない会社は候補から外す。自社の情報を伝える意志がないと判断。
家づくりのこだわりが感じられる
これだけは家づくりに欠かせない、というものがあるか。
施工事例のテイストが統一されている
家づくりへの考え方が一貫していて、経験も積み重なっている。
2.建設地からなるべく近い工務店を選ぶ
建設地を中心に半径50km以内もしくは車で1時間程度にある
地元で実績がある会社は、土地の風土や環境にあった家づくりをしている。建てた後のメンテナンスにもすぐに駆けつけてもらえる。
3.その工務店が手がける家を見に行く
・完成見学会(オープンハウス)に行く
家の内容の確認と、工務店スタッフの対応をチェック。
・工事現場を見せてもらう
丁寧な工事をする工務店の現場は、きれいに掃除され整理整頓されている。
・過去のお客様の家を見せてもらう
工務店との関係や、点検・メンテナンスの実態もわかる。
4.工務店の社長との相性を確認する
社長のブログやコラムがある場合、家づくりの考え方に共感できるかをチェック。
・直接会い、家づくりのこだわりや姿勢について質問する
答えてくれる様子と内容から、自分との相性をチェック。
家づくりの費用やスケジュールについて、わかりやすい言葉で丁寧に説明してくれる。
5.工務店の体制、事業内容を確認する
・世代交代ができる
後継者がいるかなど、長期間の継続的な関係が可能かどうかをチェック。
・建てたい家に必要な技術、経験がある
工務店は万能ではないので、得意技を確認する。
すまい手の要望を汲んだ上で、更に前向きな提案をしてくれるかをチェック。
6.長期優良住宅を建てられるか聞いてみる
※長期優良住宅=「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」の基準を満たし認定を取得した住宅。各種税制優遇等がある。認定の有無で転売時の価格に差が出ると予想されている。
長期優良住宅の実績がある
技術力と法律知識の水準が平均を超えているのでおすすめ。
- 「長期優良住宅にすると建設費が上がる」と言う工務店は、普段はそれ以下の基準でつくっている。
- 任意の制度なので認定取得はすまい手の判断だが、工務店側が「後ろ向き」の対応でないかをチェック。
7.住宅完成保証制度を利用できるか聞いてみる
※住宅完成保証制度=住宅保証機構に登録された工務店が工事途中に倒産などで工事継続できなくなった場合、発注者(すまい手)が最小限の追加負担で住宅を完成できるようサポートする制度。
住宅完成保証制度を利用できる
- 住宅保証機構には経営状態の審査をクリアした会社しか登録できないため、工務店の経営状態を確認する目安になる。工務店の経営状況は会社の規模ではわからないので注意。
- 任意の制度なので利用はすまい手の判断。
8.構造計算をしているか聞いてみる
2階建て以下の木造住宅でも構造計算をしている
2階建て以下の木造住宅では義務付けられていないにも関わらず、構造計算をしている会社は良心的。
→詳しくは「構造計算の義務がない? 耐震性が保証されていない家に、あなたは住めますか?<前編>」
構造計算にかかる費用と、計算の必要性についてきちんと説明してくれる
家の骨組み=構造 だけは後から直せないので、工務店の意識の違いが最も顕著になる部分。
→詳しくは「第2の落とし穴、「4号特例」とは? 耐震性が保証されていない家に、あなたは住めますか?<後編>」
9.省エネ計算をしているか聞いてみる
省エネ計算をしている
2020年より全ての住宅で省エネ計算が法律で義務化(現在は任意)。対応できているかをチェック。
- 省エネ計算=温熱環境への取り組みは、工務店のレベルを知るための最もわかりやすい基準。
- 温熱設計は、地域や予算により手段は異なるので、おすすめの仕様や設計手法を聞くこと。
10.やっぱり「人」が大切
- 現場監督や大工さん、職人さんなど現場に関わる人が、家づくりが好きかをチェック。
- 何でも話せる雰囲気があり、質問にもしっかり答えてくれるかをチェック。
- 「私の家づくり」に関心を持ってくれる : つくり手のやる気をチェック。
実力、実績があり良心的な工務店ほど、すまい手との「相思相愛」を求めています。
なぜなら、工務店の仕事は家を作って終わりではないからです。
点検やメンテナンスを含めて、すまい手とは長い付き合いとなるため、双方の相性が大切であることが経験的によくわかっているのです。
例えば、優良な工務店ほど、お客様がオープンハウスや工事現場の見学に行った際に、工務店側からの一方的な営業はしないものです。
見学会を運営する工務店の願いは、すまい手に家づくりの姿勢がきちんと伝わることです。
すまい手に実際の家を体感してもらい、理解度に応じて補足的に説明をします。
そうしたやりとりを通じて「共感」してもらい、設計案や見積りの内容に「納得」してもらった上で家づくりを依頼してほしいというのが本音なのです。
結局のところ、工務店とも「人対人」のお付き合いです。
どんなチームを結成するのかも含めて、家づくりのプロセスを楽しんでください。
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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