良い工務店は「予約」する時代に!賢い工務店選定のコツとは?
筆者は家づくりコーディネーターとして設計事務所、工務店の双方から本音を聞く機会が多いのですが、工務店選定に関わるリアルな情報をまとめてみました。キーワードは「良い工務店は予約する」ことです。
設計事務所案件に対応する工務店のメリット・デメリットとは?
そもそもなぜ設計事務所案件に対応する工務店は限られているのでしょうか?
工務店の視点によるメリット、デメリットについてまとめてみます。
工務店が設計事務所案件に取り組む主なメリット
- 営業コストをほとんど必要とせず、見積りをするだけで仕事を受注できる
- 設計事務所案件を手がけることで、自社の実績につながる
- リピーターの設計事務所が増えることで、受注のパイプを太くできる
工務店が設計事務所案件に取り組む主なデメリット
- 設計案が予算を大幅に超過することが多く、見積り時にVE提案やコストダウンの要請が多くなることから、打合せや見積り業務の負担が大きい
- 図面や仕様書等の不備により追加の費用が発生しやすいが、追加の請求を認めてもらえない
- 設計事務所業界の慣習で特定の工務店と協働関係になることに抵抗がある設計事務所が多く、リピーターの設計事務所と関係構築が行ないにくく、毎回上記デメリットの1もしくは2の負担を受け入れながら仕事を受注せざるを得ない
設計事務所案件に対応できる工務店とは、技術力をベースに、設計事務所とのタフな交渉ごとにも耐えられる会社でないと、継続して受注していくことは難しいのです。そのような結果、設計事務所案件に対応できる工務店が減っていくのです。
それでも良い工務店に施工を依頼するためには?
これから家づくりを行うすまい手にとっては、つくり手側の事情を踏まえた上で、最適な選択をしたいですよね。そこで家づくりコーディネーターとして、お客様や設計事務所に工務店選定をアドバイスしている立場として、3つのポイントをお伝えします。
1.良い工務店は「予約」する
お気に入りの設計事務所が決まり設計の打合せが始まる段階で、設計事務所とも相談した上でまずは工務店に見積り、施工の「予約」をしておきましょう。実力、実績がある設計事務所であれば、おすすめの工務店が必ずあるはずです。実際の施工は半年以上先になりますが、あらかじめ予約しておくことで、工務店もいろいろな段取りができます。
2.相見積りをしない
上記のように特定の工務店を予約するということは、その他の工務店に相見積りを依頼しないことを意味します。相見積りは、競争原理が働き価格も安くなることが期待できそうですが、家づくりに関しては逆になることが多いです。
相見積りの最大の問題点は、「工務店側に断る理由を与えてしまう」ということです。なぜそれが問題なのかというと、設計事務所案件の見積り、施工をしてくれる工務店が限られている現状からすると、「予約したいような優秀な工務店に辞退されてしまうことにより、同等の工務店を探して改めて依頼しても対応してくれる確約がとれない」ことにあります。
特定の工務店1社により依頼をすることによる金額の査定の問題もありますが、設計事務所に設計・監理を依頼しているのであれば、設計事務所がプロの視点でしっかりと査定してくれるはずです。優秀な工務店ほど、あらかじめ声をかけていただいたことを意気に感じて、より適正な見積りを心がけてくれるはずです。
3.工務店に見積り依頼前に会う
設計事務所案件の場合、見積りの結果で工務店が選定されるため、多くの場合で請負契約の時に初めてお客様と工務店が会うということも少なくないようです。それでは遅すぎますので、ぜひ早めのタイミングで顔合わせの機会を持つようにしましょう。
工務店は、自分の家を実際に建ててくれる存在でもあり、住み始めてからも点検やメンテナンス等で長い付き合いになりますから、相性もとても重要です。設計事務所の方にも同行してもらって、できれば工務店を訪問してみましょう。
工務店の社長や担当してくれる現場監督さんとも顔合わせを行ない、「ぜひこんな工務店に施工してもらいたい」と思えれば、そのまま予約を継続してください。どうしても依頼したくないような違和感を感じた場合には、再度、工務店選定を行ってください。その段階ではまだ工事着工までには数ヶ月はあると思いますので、新たな工務店を「予約」できる可能性が高いのです。
まとめ
設計事務所に設計を依頼するということは、家づくりに対するこだわりが多い方だと思います。そのこだわりを実現するには、優れた施工技術やコミュニケーション能力の高い優秀な工務店との協働が必要となります。設計事務所と工務店のそれぞれの得意技をうまく活かすことが、「満足できる家づくり」につながります。
HOUSEBASE 代表取締役 植村将志
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